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【配管】ガスケットの漏れはなぜ起きる?3大トラブルの原因と対策を徹底解説

今回の記事ではプラント配管のガスケットの漏れトラブルの原因と対策について解説します。

プラントの配管において、ガスケットからの漏洩トラブルは避けて通れない課題です。特に近年では、熟練技能者の減少により、締付け作業の質にバラつきが出ることが懸念されています。

実は、プラントにおけるガスケットトラブルのうち、約2/3は「施工不良」によるものだという調査結果があります。

本記事では、施工不良によるガスケットトラブルを「締付け不足」「過剰締付け」「片締め」の3つに分類し、それぞれの発生メカニズムと具体的な対策について、技術資料に基づき詳しく解説します。

ガスケットトラブルの3大要因

施工不良によるトラブルは、大きく以下の3点に大別されます

  1. 締付け不足(初期漏れ、運転中の面圧低下)

  2. 過剰締付け(ガスケットの圧壊)

  3. 片締め(部分的な変形・破損)

次項から、これらのトラブルがなぜ発生するか解説していきます。

締付け不足

現象とメカニズム

「締付け不足」は、締付け直後の初期漏れだけでなく、運転中に発生することもあります。これは「クリープ緩和」という現象が大きく関係しています。

クリープ緩和とは: 時間経過とともにガスケットが変形し、ボルトの締付力(面圧)が徐々に低下する現象です

漏れのメカニズム: 面圧が下がり続け、「気密限界面圧(シールを維持できる最低ライン)」を下回ると漏れが発生します

吹き抜け(Blowout): 面圧低下により摩擦力が減り、内圧に負けてガスケットが外へ押し出され、変形・破断するケースもあります

対策のポイント

クリープ緩和は避けられない現象ですが、初期締付け力を十分に確保することで、漏れるラインまで面圧が下がる時間を遅らせることができます

主な原因と対策は以下の通りです。

原因 対策
トルク管理不足 トルクレンチ等を使用し、数値で管理する。
不適切な工具 適切な長さのレンチやトルクレンチを使用する。
ボルトの摩擦(錆・無潤滑 錆を落とし、必ず潤滑剤を塗布して摩擦係数を安定させる。
ボルト強度不足 高強度ボルトを使用する(塑性変形を防ぐ)。
フランジ間が開いている 無理に締めず、面間を是正する(目安はガスケット厚の2倍まで )。

過剰締付け

現象とメカニズム

力を入れすぎると、ガスケットが「圧壊(圧縮破壊)」を起こします。多数の周状の亀裂が生じ、かえって締付面圧が低下して漏れに至ります。

特に注意が必要なのが、以下の「滑りやすい」素材です。

  • 膨張黒鉛シート

  • ふっ素樹脂(PTFE)ジャケットガスケット

これらは摩擦係数が小さいため、強い力で締めるとフランジとの間で滑ってしまい、圧壊しやすくなります。

対策のポイント

主な原因と対策は以下の通りです。

原因 対策
締付け管理不足 トルク管理を徹底する。
ペーストの過剰塗布 塗りすぎると滑りやすくなるため、薄く(数十μm程度)塗布する。
フランジ表面粗さの不適合 ガスケットの種類に応じた適切な表面粗さに仕上げる。

また、ペーストの過剰塗布やフランジの表面粗さが細かすぎる場合、フランジとガスケットとの摩擦力が小さくなり圧縮破壊を起こす可能性もあり、ペースト塗布量の管理やフランジメンテナンス時の過剰な磨きに注意が必要です。

ガスケットの当たり面を現場で修正する場合は、次の表を目安とし、手仕上げとするのが一般的です。

ガスケットの種類 仕上げの目安
・ジョイントシート
・うず巻形ガスクット
・PTFEガスケット
中目のヤスリ仕上げ
平形金属被覆ガスケット 中目のサンドペーパー仕上げ
リングジョイントガスケット 細かいサンドペーパー及びコンパウンド磨き仕上げ

また、推奨されるフランジ表面粗さの推奨値(Ra)は以下の通りです。

名称 フランジ表面粗さ(Ra)
ゴムシートガスケット
布入リゴムシートガスケット
12.5
ジョイントシートガスケット 液体:6.3、ガス:3.2
PTFEソリッドガスケット 液体:6.3、ガス:3.2
PTFE被覆ガスケット 液体:6.3、ガス:3.2
膨張黒鉛シートガスケット 液体:6.3、ガス:3.2
渦巻き型は助っ人 液体:6.3、ガス:3.2
リングジョイントガスケット 1.6

片締め

現象とメカニズム

片締めとは、ガスケットの場所によって「締付け不足」と「過剰締付け」が混在している状態です。

製品が部分的に変形・破損する事例が多く、トラブルの中で最も頻繁に見られます。

対策のポイント

正しい手順で締め付けること、そして配管のアライメント(位置合わせ)を整えることが重要です。

主な原因と対策は以下の通りです。

原因 対策
一気に締め付けている JIS B2251に準拠し、対角に、かつ段階的に締め付ける。
締め忘れ・緩み 周回締め(最後に全ボルトを回る)を行う。
無理な姿勢・環境 足場やスペースを確保し、正しく力が伝わるようにする。
フランジ精度不良 ASME PCC-1に準拠したフランジを使用する。
(軸差:最大1.5mm、直角度:最大0.8mm)

まとめ:トラブルゼロを実現する5つの鉄則

ガスケットの性能を最大限に引き出し、長期的な安全を確保するためには、以下の5つのポイントを遵守することが推奨されます

  1. 配管アライメントの適正化 フランジのズレ(軸差1.5mm以内)、開き(直角度0.8mm以内)などを修正してから作業に入る。

  2. ボルトの管理 錆を落とし、潤滑剤を必ず塗布する。適正な強度のボルトを使用する。

  3. 適切な工具の使用 感覚に頼らず、トルクレンチ等を使用する。

  4. 正しい手順での締付け JIS B2251(対角締め、多段階締め)を遵守する。

  5. ペーストの適量塗布 滑りによる圧壊を防ぐため、ペーストの塗りすぎに注意する。

ガスケットの推奨面圧は、ガスケットのメーカーやタイプよって定められており、通常はカタログに記載されています。施工の基本を守り、トラブルのないプラント運用を目指しましょう。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 技術情報を200記事以上執筆、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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