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【プラント設計基礎③】プロセスフロー図(PFD)、マテリアルバランス

こんちには。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回はプロセスフロー図(PFD)及びマテリアルバランス(Material Balance/MB)について解説したいと思います。

また、合わせてユーティリティーフロー図(UFD)ヒートバランス(Heat Balance/HB)についても解説します。

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プロセスフロー図(PFD)とは

プラント基本設計業務においてプラントの設備概要が定まり、基本設計条項(Design Basis)を定めたら、プロセスフロー図(以下:PFD)ユーティリティーフロー図(以下:UFD)を作成します。

また、PFD、UFDを作成するにあたり、マテリアルバランスヒートバランスも同時に作成します。

 

プラント設計業務の概要については、こちらの記事も参照ください。

PFD、UFDは以下の特徴を持ったフロー図(系統図)です。

PFD、UFDの特徴

① 原料から製品を製造するために、機器・装置がどのような構成されているか記載する。
② これら機器・装置がどのように配管で接続されているか記載し、運転パラメータ(温度、圧力、流量など)を記載する。
③ どのような制御ループで運転を制御しているか記載する。
④ 物質収支、熱収支が分かるようにマテリアルバランス、ヒートバランスを記載する。

 

また、PFDはプラントのメインプロセス(原料~製品)について上記の情報を記載したものに対し、UFDはユーティリティー設備(蒸気、水など)について、上記の情報を記載したものです。

そのため、PFDとUFDとでは、対象流体が異なるだけで、本質的には同じ目的を持った図書です。

 

一言でPFD、UFDがどのような設計図書かを記載するなら、この設計図書一つでそのプラントのプロセス(運転・制御)が分かる図書です。

また、PFD、UFDは、基本設計業務の中で下流工程すべてに紐づいており、根幹となる設計図書です。

この設計図書が変更となると、下流の設計工程(詳細設計含む)すべてに影響を受けるため、大きなインパクトとなりますので、変更することはなるべく避けなくてはなりません。

しかし、PFD、UFD作成時には想定していなかった条件が判明したり、詳細設計段階における客先からの急な仕様変更で、設計変更せざるを得ない場合があります。

 

プロセス設計担当のプラントエンジニア(プロセスエンジニア)であれば、恐らくP&IDと同じくらい関わりのある設計図書になると思います。

プロセスエンジニアの業務については、こちらの記事を参照ください。

それでは、詳細を解説したいと思います。

PFD、UFDの名前はよく聞くけど、位置づけがいまいちよくわかっていない方や、プロセスエンジニアの業務に興味がある方はぜひご一読下さい。


機器、設備構成の記載

PFDと一例として蒸留塔廻りのPFDについて解説していきます。

また、設定を簡単にするために、原料を蒸留塔の入り(Feed)、製品を蒸留塔の缶出液とするプロセスにしています。

このプロセスでは、原料から不純物を分離するために、蒸留塔で分離することを選定しました。

また、蒸留塔の運転に必要な加熱源として、蒸気を熱媒としたリボイラを選定しました。

よって、機器・設備構成としては、蒸留塔+リボイラとすることになりました。

実際の業務ではプロセスエンジニアは、蒸留塔の設計(段数計算、サイジング、必要熱量(Heat Duty)計算など)やリボイラの熱交換器の設計(型式選定、伝熱面積の計算、サイジングなど)を実施し、機器リストの作成(機器の簡単な仕様と共にリスト化したもの)も実施しますが、今回の解説では省略します。

 

接続配管の記載、運転パラメータの記載

機器、設備の構成が決まったら、これらが配管でどのように接続するかを記載します。

PFD、UFD上だと線で表現されます。

今回の解説例では蒸留塔が1基だけの単純なフローなので、記載に迷うことはありませんが、実際には、ドレン配管、バイパス配管、ベント配管など、PFD、UFDでは表現しきれないたくさんの配管があります。

これらの配管をどこまで記載するかは、会社の設計基準やそのプロジェクト方針に従いますので、よく確認する必要があります。

なお、管理人の理解は「運転(スタートアップ、通常運転、シャットダウン)を理解するのに必要最低限の配管を記載すれば良い」と考えています。

 

また、PFD、UFDの配管上には運転パラメータ、及びStream No.を記載することが多いです。

 

運転パラメータは、温度、圧力、流量などです。それぞれ、丸や四角のシンボルを決めておき、そのシンボルに基づいて記載すると分かりやすいです。

ただし、全部の配管に記載すると見づらくなるので、運転の理解に最低限必要なパラメータを記載しておけば問題ありません。
(運転パラメータは、マテリアルバランスにも表記)

なお、ここに記載する温度、圧力は最高運転温度最高運転圧力を記載します。

また、運転パターンが複数ある場合(反応器廻りのPFDで通常運転と触媒再生運転がある場合など)は、PFDも分けて作成するのが一般的です。

最高運転温度、最高運転圧力についてはこちらの記事を参照ください。

 

Stream No.は後述するマテリアルバランス、ヒートバランスに対応した番号です。

原則、PFD、UFD上のほとんどの配管にStream No.が振られます。

制御ループの記載

機器、設備を接続する配管を記載した後は、その機器、設備がどのように運転、制御されているか分かるように、制御ループを記載します。

今回の解説例のPFDだと、Off gasラインの圧力制御(圧力計で圧力を計測し、それが一定になるように制御弁で流量調整)が一つの制御ループです。

また、蒸留塔の温度制御(中段の温度が一定になるように、リボイラ行き蒸気の流量制御)や蒸留塔のレベル制御(レベルが一定になるように缶出液の流量制御)も制御ループです。

これらの制御ループを記載することで、そのプラントがどのような運転、制御するか分かるようになります。

まとめると、解説例のPFDでは;

蒸留塔の圧力制御:Off gasラインの制御弁で制御
蒸留塔の温度制御:リボイラ行きの蒸気流量で制御
蒸留塔のレベル制御:缶出液の流量で制御

という運転制御思想となります。

 

また、実際の業務では、制御弁や計器のデータシートやバルブリスト、計器リストも作成しますが、今回の解説では省略しています。

 

マテリアルバランス、ヒートバランス


通常、PFD、UFDの下部にマテリアルバランス、ヒートバランスが分かる表を追記します。

主な表記項目は運転パラメータ(温度、圧力、流量)や、各成分の組成、物性(移動物性や熱物性など)です。

また、PFD、UFD上に表記するだけではなく、上記の情報を詳細に表で整理し、別図書としてまとめる場合もあります。

 

マテリアルバランス、ヒートバランスは、機器、計器、設備を設計するためには必須となるものです。

そのため、プロセスエンジニアはPFD、UFDを作成する際はマテリアルバランス、ヒートバランスも作成しなければなりません。

 

実際の業務で、マテリアルバランス、ヒートバランスを作成する場合、プロセスシミュレーションにより作成します。

プロセスシミュレーションを用いると、プロセスを決定(機器、配管構成の決定)する際に自動でマテリアルバランス、ヒートバランスも同時に計算される強力なツールです。

プロセスシミュレーションについては、別記事で解説したいと思います。

まとめ

今回の記事ではプロセスフロー図(PFD)、ユーティリティーフロー図(UFD)、マテリアルバランス、ヒートバランスについて解説しました。

PFD,UFDは以下の特徴をもった設計図書で、マテリアルバランス、ヒートバランスとセットで扱われる図書です。

PFD,UFDの特徴

① 原料から製品を製造するために、機器・装置がどのような構成されているか記載する。
② これら機器・装置がどのように配管で接続されているか記載し、運転パラメータ(温度、圧力、流量など)を記載する。
③ どのような制御ループで運転を制御しているか記載する。
④ 物質収支、熱収支が分かるようにマテリアルバランス、ヒートバランスを記載する。

これらの図書ではプラント設計の各工程と密接に関連している図書なので、最重要の図書で、プロセスエンジニアと最も関わりのある図書の一つです。

プラントエンジニアの業務としてもよく名前を聞く図書と思いますが、プラント設計業務の中の位置づけを理解して頂ければ幸いです。

 

プラント設計基礎④の運転法案(POD作成)についての記事を更新しました。

PFD~P&IDを繋げる重要な図書なのでぜひご一読下さい。

また、P&ID作成についてはこちらの記事をご一読下さい。

この記事が役に立てば幸いです。それではまた他の記事でお会いしましょう。




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Toshi

30代前半プラントエンジニア |ブログでプラントエンジニアリングの業務に役立つ内容を発信しています。| 旧帝大化学工学専攻卒| 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 | 海外化学プラント設計、試運転経験有り| 副業で 投資(高配当+インデックス投資)による資産形成もブログで報告しています。趣味は旅行とウイスキー。よろしくお願いします。

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