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プロセスエンジニアって何をする仕事?

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回はプロセスエンジニアの仕事について解説します。

 

管理人は普段、他業種の方や家族、友人に対しては「プラントエンジニア」と名乗ることにしていますが、社内や同業者に対しては「プロセスエンジニア」と名乗っています。

世間的には、「プロセスエンジニア」は半導体や装置などの組み立て工程のプロセス改善、開発を担当するエンジニアというイメージがあるようです。

しかし、エンジニアリング会社におけるプロセスエンジニアは、世間的なイメージとは少々異なりますので、この記事で詳しく解説したいと思います。

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プラントエンジニアとプロセスエンジニアとで何が違う?

管理人が勤めているエンジニアリング会社では、プラントの建設がメインなので、その建設プロジェクトに関わるエンジニアはプラントエンジニアです。

また、建設済みのプラントでも、そのプラントの運転、維持、管理、改善等に関わるエンジニアも、広義でプラントエンジニアです。

その中で、プラントの「プロセス」設計に関わるエンジニアがプロセスエンジニアです。その意味では、プロセスエンジニアはプラントエンジニアの役割の一つと言えることができます。

では、「プロセス設計」とは何を設計するのでしょうか。

プロセス設計って何?

「プロセス(Process)」の日本語訳は「工程」ですね。プラントエンジニアリング業界での「工程」とはプラントを構成する一連の機器、設備の流れを「工程」と呼びます。

例えば、Aという物質が化学反応を起こさせる機器(反応器)を通ってBという物質に変換される工程を「反応工程」と呼んだりします。

プラントは何十、何百もの工程が合わさって一つのシステムとなりますから、このプラントのシステム(プロセス全体)を取りまとめ、それをプラント建設の企画段階から設計・建設・試運転に関わる設計業務をプロセス設計と呼びます。

まだ具体的なイメージが湧かないですよね。続いてもう少し掘り下げてみます。

プロセス設計では具体的に何するの?

具体例な業務内容として重要なものを挙げました。

重要なプロセス設計業務

①プロセスフロー、マテリアルバランスの作成
②配置計画の作成
③機器データシート作成
④配管サイジング、P&ID作成
⑤試運転・性能試験立ち合い


概ね番号の順番通りに業務を行いますが、同時に行うこともよくありますし、順番が入れ替わることもあります。

それぞれ簡単に解説したいと思います。

詳細はこちらの記事を参照ください。

①プロセスフロー、マテリアルバランスの作成

原料から製品までのプラントの各工程をフロー図として表現すべく、主要機器とそれをつなげる線図で表した図面プロセスフロー図と呼びます。
(よくPFD/Process Flow Diagramと呼びます。)

また、プロセスフロー図における各Stream(機器と機器との間の矢印)上の運転条件(温度や圧力など)、組成、物性を表にしたものマテリアルバランス(Material Balance)と呼びます。
(よくマテバラと呼びます。)

 

プロセスエンジニアは、決められた原料から、製品の生産量、品質を満足するために、機器、設備構成や運転条件を検討します。その検討結果が反映されたものがプロセスフロー図やマテリルバランスです。

 

プラント建設において最上流にあたる設計図書で、これをもとに設計、建設が進んでいくため、最も重要な設計図書の一つです。

PFD、マテリアルバランスについて解説した記事はこちら↓

 

②配置計画の作成

機器、設備構成が決まったら、それを敷地内のどこに置くか検討します。

プラントの敷地内にどのような機器、設備をどのように配置するか表した図面配置図です。(別名:LayoutやPlot Plan)

プラセスフロー図したがって無駄のないように機器・設備を配置します。

また、法規・規格定められた距離を設けることや、機器のメンテナンススペースの考慮、さらには建設時に重機が寄り付けるようなスペースを設けることも考慮しなければなりません。

配置計画も最上流にあたる設計図書の一つで、プロセスフロー同様、重要な図書です。

③機器データシート作成

プラント全体のマテリアルバランスや運転を考慮してデータシートを作成します。

プラントの規模や会社によって異なるかもしれませんが、機器の詳細設計や調達業務は別の設計部門が行います。その部門へプロセス設計情報をinputする役目がプロセスエンジニアの仕事の一つです。
(プロセスエンジニアが最後まで担当する機器もあります。)

④配管サイジング、P&ID作成

プロセスフローやマテリアルバランスを下に配管径の計算を行い、それを詳細に書き表した図面P&IDと呼びます。プロセスフロー図で省略していたすべての機器、配管だけではなく、計器、制御ループなどすべての情報を表記します。(そのためPiping &Instrument Diagramが正式名称です。)

 

この図面をもとにプラントの詳細設計が展開される他、建設、試運転時では現場での携行必須の重要設計図書です。

 

設計ステージによって記載する情報量が異なるほか、様々な部門や客先と関わりながら完成していく図面なので、プロセスエンジニアにとっても設計の初期から試運転まで最も付き合いが長くなる図書と言えます。

⑤試運転・性能試験立ち合い

プラントの建設が終わると、試運転・性能試験をクリアすることで、プラントの「完工」となります。

プロセスエンジニアは現地に赴き、自分が設計したプラントが設計通りに運転できるか確認、発生するトラブルに対応します。

最初は低い運転ロードから実際の原料で運転してみて、発生する不具合を一つ一つ対処していきます。

発生した不具合をすべて潰すことができれば、性能試験(Performance Test)を実施します。

運転ロードを100%に上げ、原料~製品の一連の運転が問題ないか、生産量、製品品質を満足するか確認します。

海外出張時の準備についてはこちらの記事を参照ください。



まとめ

・プラントエンジニアの中でプロセス設計担当のエンジニアをプロセスエンジニアを呼ぶ。

プラントのシステム(プロセス全体)を取りまとめ、それをプラント建設の企画段階から設計・建設・試運転に関わる設計業務をプロセス設計と呼ぶ。

プロセスエンジニアの仕事について簡単にですが、解説しました。

業務の詳細についてはこちらで解説しておりますので、ぜひご一読下さい。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在160記事、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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