プラントエンジニアリング プロセスエンジニアリング 技術情報

縦型タンクの内容量の計算方法、タンクテーブルの作成方法

今回の記事では縦型タンク、縦型ドラムの内容量の計算方法について解説します。

こちらの記事では横型タンク、横型ドラム内容量の計算方法やタンクテーブル作成の目的について解説しておりますので、是非ご一読下さい。

合わせて読みたい

・横型タンクの内容量の計算方法の解説~タンクテーブルの作成~
・タンク、ベッセルの排水時間の計算方法の解説
・タンク,ドラムの液面計ノズル位置と滞留時間の決め方の解説
・プロセスエンジニアって何をする仕事?

・プラントエンジニアはブラックか?プラント設計概要と共に解説
・化学工学ってプラントエンジニアリングのどんな場面で使われる?
・化学メーカーとプラントエンジニアリング会社はどう違う?【就職・転職】
・海外出張って何を持っていけばいい?必携の持ち物、準備物を徹底解説
・【転職】(前編)化学メーカーからプラントエンジニアリング会社への転職で有利な点とは?
・【プラント設計基礎①】基本設計条項(Design Basis)
・【計装】プラントで使用される液面計(レベル計)の種類と特徴の解説
・【気液平衡】プラント設計で使用される気液平衡の推算モデルの解説

・プレコミッショニングとは?プラント試運転準備作業について解説
・【計装】差圧・圧力伝送器 (流量計、圧力計、レベル計) のトラブル事例と対策について
・【撹拌】Pv値とは?攪拌槽のスケールアップの留意点について解説
・【物性推算】沸点から蒸発熱、臨界温度を求める方法。「トルートンの規則」と「Guldbergの通則」について解説
・【物性推算】プロセスシミュレーションで使用される物性推算モデルの適用範囲の解説
・プロセスシミュレーションのモデリングにおける各機器の圧力損失の設定方法
・プラントで使用される保温材・断熱材の種類と特徴について解説
・保温材・断熱材はどんな基準で選定する?選定時の留意点について解説
・【配管】エロージョン速度とは?エロージョンを引き起こす配管流速について解説
・【配管】プラントで使用されるスプレーノズルの設計方法の解説
・プラントのプロセス制御性と最適な制御方式の考え方について解説

縦型タンクモデル

上図のように、内径Dの縦型タンクを考えます。また、鏡板は一般的な半楕円形の鏡であると仮定します。このタンクの高さがHの時の液の容量について考えます。

基本的な考え方は横型タンク同様に、鏡板(左側)と銅(右側)に分けて考えます。液面がH1未満の場合は鏡板の容量のみを計算すればよく、液面がH1以上の場合は鏡板の容量に胴の容量を足せば全体の容量を求めることができます。

鏡板の容量

 

鏡板の容量の計算式は日本鏡板工業株式会社のカタログで公開されています。

鏡板の容量をV1とすると、計算式は以下の通りです。

$$V_1=4π\biggl(\frac{D}{4}{H_1}^2-\frac{1}{3}{H_1}^3\biggl)$$

V1:鏡板の容量
D:タンクの内径
H1:液面の高さ

これで鏡板の容量V1が求まりました。

鏡板が半球の場合

 

 

鏡板が半球の場合は、分割した鏡板をあわせると、球形になることから、鏡板の容量を求めることは球冠の体積を求めることと同値です。

 

$$V_1=π\biggl(\frac{D}{2}{H_1}^2-\frac{1}{3}{H_1}^3\biggl)$$

V1:鏡板の容量
D:タンクの内径
H1:液面の高さ

 

以上より、鏡板が半楕円場合、球の場合につて、鏡板の容量V1が求められました。

胴の容量

胴の容量は内径D、高さHの円柱の体積を求めることと同義です。

胴の容量をV2とすると、計算式は以下の通りです。

$$V_2=\frac{π}{4}D^2H_2$$

V2:胴の容量
D:タンクの内径
H2:液面の高さ

これで胴の容量V2が求まりました。

タンク容量の計算

タンク容量は鏡板の容量に胴の容量を足すことで求められるので、タンク容量をVとすると、

※数式表示が途切れている場合はスライドすると表示されます。

<鏡板が半楕円の場合>

$$V=V_1+V_2=4π\biggl(\frac{D}{4}{H_1}^2-\frac{1}{3}{H_1}^3\biggl)+\frac{π}{4}D^2H_2$$

<鏡板が半球の場合>

$$V=V_1+V_2=π\biggl(\frac{D}{2}{H_1}^2-\frac{1}{3}{H_1}^3\biggl)+\frac{π}{4}D^2H_2$$
V:タンク内の液容量
V1:鏡板の液容量
V2:胴の液容量
D:タンクの内径
H:液面の高さ
H1:鏡板の高さ
H2:胴の高さ

となります。

これでタンク内の液容量を求めることが出来ました。

なお、液が鏡板にしか溜まっていない場合はV1のみを計算すれば問題ありません。

まとめ

今回の記事では縦型タンク、縦型ドラムの内容量の計算方法について解説しました。

タンク、ドラムを新設する場合は自分でタンクテーブルを作成する必要がありますが、タンクテーブルを作成するためにはある液面の高さにおける液体の容量を計算で求める必要があります。

計算サイトでは、タンクの径、長さ、液面の高さを入力すれば自動で容量が計算されるものがありますが、万が一計算が誤っている可能性もあるため、エンジニア自身が計算の中身を知っておくことは重要です。

こちらの記事では横型タンク、横型ドラム内容量の計算方法やタンクテーブル作成の目的について解説しておりますので、是非ご一読下さい。

今回の記事が参考になれば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在160記事、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

-プラントエンジニアリング, プロセスエンジニアリング, 技術情報

© 2024 プラントエンジニアのおどりば Powered by AFFINGER5