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【配管】マニュアルバルブ(手動弁)の選定基準について解説

今回の記事ではマニュアルバルブ(マニュアル弁/手動弁)の選定基準について解説します。

バルブにはゲート弁、グローブ弁、ボール弁、バタフライ弁など様々なものがありますが、プラントではそれぞれのバルブの特性に応じて適切なバルブが選定されています。

プラントの建設、改造案件でP&IDを作成する時は、指定された配管上に設置し、マニュアルバルブの種類を指定する必要があります。

基本設計においては、プロセス要求により必要なマニュアルバルブを選定します。

一方、詳細設計では配管レイアウトや操作性を考慮しながら、必要に応じてベント弁・ドレン弁を設置します。この時、配管設計部門とプロセス設計部門それぞれの部門にて確認をとりながら設置、修正し、工事に必要なブロック弁等を追加し、For constructionのP&ID(IFC)を完成させます。

本記事では基本設計時のプロセス要求によるマニュアルバルブの選定基準について解説します。周りに既設プラントしか無い場合は、設置されている各マニュアルバルブが選定基準に沿って設置されたものか、是非確認してみて下さい。

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ゲート弁

出典:Plant Automation Technology

ゲート弁は前開または全閉で使用されるバルブのため、絞り操作による量の調整が不要な箇所に設置されます。

一般的には以下の箇所に設置されます。

ゲート弁の設置場所

・ ドレン弁、ベント弁
・ 機器、計器のブロック弁
・ バッテリーリミット(B/L)の縁切り弁

※ドレン弁、ベント弁については、固結性のある流体については、Y型グローブ弁など特殊なバルブを使うことがあります。

グローブ弁

出典:Plant Automation Technology

グローブ弁は手動による流量の調整が必要な箇所に設置されます。

一般的には以下の箇所に設置されます。

グローブ弁の設置場所

・ 調節弁、制御弁のバイパス弁
・ ポンプのミニフローラインの流量調整弁
・ ホースコネクション
(開閉のみの使用をする場合はゲート弁を使用)
・ スプレーノズル上流側に制御弁がない場合のBlock弁
・ スチームトラップのバイパス弁
・ その他流量の手動調整が必要な箇所

※ポンプのミニフローについては、制限オリフィス+ブロック弁(ゲート弁)とする場合もあります。

※小口径の場合やグローブ弁がゲート弁より安価である場合、ゲート弁の代用として使用することがあります。

ボール弁

出典:Plant Automation Technology

ボール弁は、緊急の開閉操作が必要な系等に設置されます。また、スラリー流体など、閉塞の可能性がある系にも設置されます。

一般的には以下の箇所に設置されます。

ボール弁の設置場所

・ 緊急の遮断弁
・ 腐食性のある流体のブロック弁
・ スラリー流体のブロック弁

ボール弁はその構造上、全開・全閉で使用するのが一般的です。そのため、流量調整で使用する場合は、テフロンシートがエロージョンで損傷する可能性があるため、そのような目的で設置する場合は要注意です。

バタフライ弁

出典:Plant Automation Technology

バタフライ弁は水・温水・油・空気・蒸気・スラリーなど様々な流体適用可能です。また、オンーオフ制御’(遮断弁)としても、流量調整弁としても用いることが可能です。

しかし、その構造上、全閉にしても漏れやすいので、漏れが許容されない系について適用できません。

一般的には以下の箇所に設置されます。

バタフライ弁の設置箇所

・ 低圧力損失が要求される系
・ 配管サイズが大きな配管
・ タイトシャットオフの要求がなくもれがあっても許容できる系
・ 厳密な制御が必要でない系

※バタフライ弁は安価ですが、ゲート弁の代用してバタフライ弁採用する場合は、適用可能な配管サイズについて要検討です。

チェッキ弁

出典:Plant Automation Technology

チェッキ弁は逆流によるトラブルを防止することを目的として設置されます。しかし、完全な逆流防止は期待できないことには注意が必要です。

一般的には以下の箇所に設置されます。

チェッキ弁の設置箇所

・ 遠心コンプレッサーロータリーポンプ遠心ポンプの吐出側
・ 運転圧力、設計圧力が異なる配管の合流部
・ 機器や配管の洗浄、パージ目的で一時的に蒸気、空気ラインを接続するユーティリティコネクション

ニードル弁

出典:Indiamart

ニードル弁は、小流量の手動調節が必要な箇所に使用されます。

一般的には以下の箇所に設置されます。

ニードル弁の設置箇所

・ サンプリング配管
・ 高差圧の蒸気制御弁の孫弁
・ 薬品類の注入(薬注)配管

アングル弁

出典:Valveco

アングル弁は手動による流量調整が必要、或いは固結性のある流体で閉塞する可能性がある場合に適用されます。。

一般的には以下の箇所に設置されます。

アングル弁の設置箇所

・ 高差圧、高圧の系
・ スラリー流体、腐食性流体の調節弁

適用する場合は、内部構造を十分理解し、プロセス流体の性状や運転状態を配慮することが重要です。また、ハンドルの設置位置をP&IDに表記することが必要となります。

Y型グローブ弁

出典:Red Point

Y型グローブ弁もスラリー或いは固結性のある流体を扱う配管に使用されます。ゲート弁の項でも触れましたが、スラリー流体や固結性流体配管のドレン弁として用いることもあります。

一般的には以下の箇所に設置されます。

Y型グローブ弁の設置箇所

・ スラリー流体、腐食性流体のドレン弁
・ バルブの圧力損失を小さくしたい場合

ダイアフラム弁

出典:Saba Deilah Tech

ダイアフラム弁もスラリー或いは固結性のある流体を扱う配管に使用されます。

その構造上、プロセス流体と駆動部が直接接触しないので、シール性に優れています。しかし、ダイアフラム自体の弾力により流量の調整が難しいこと、高圧の系には使用できないデメリットがあります。

ダイアフラム弁の設置箇所

・ 低圧のスラリー流体、腐食性流体
・ 特に腐食性の大きい流体
・ 閉止の漏れを小さくしたい場合

まとめ

今回の記事ではマニュアルバルブ(マニュアル弁/手動弁)の選定基準について解説しました。

基本設計においては、プロセス要求により必要なマニュアルバルブを選定、詳細設計では配管レイアウトや操作性を考慮しながらマニュアルバルブを選定しますが、本記事では前者の基本設計時のマニュアルバルブ選定基準について解説しました。

本記事が参考になれば幸いです。また、周りに既設プラントしか無い場合は、設置されている各マニュアルバルブが選定基準に沿って設置されたものか、是非確認してみて下さい。ではまた他の記事でお会いしましょう。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在160記事、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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