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【計装】プラントで使用される調節弁の種類と特徴の解説

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回はプラントで使用される調節弁の種類と特徴の解説について解説します。

調節弁は制御弁(Control Valve / コントロールバルブ)とも呼ばれており、プラントの特定の運転パラメータ(流量、温度、圧力など)を設定した値にするためにプロセス流体の流れを自動で制御するバルブです。

プラントにおける調節弁は大きく分けると以下の通りです。

調節弁の種類

・グローブ弁
・アングル弁
・三方弁
・ゲート弁
・ダイアフラム弁
・バタフライ弁
・ボール弁

ラボスケールでない限りはどのプラントでも調節弁は設置されているでしょう。プラントは今後も省力化、自動化が進むことが予想されてますから、調節弁の選定、設計はますます重要になります。

次項からそれぞれの調節弁の種類と特徴について解説します。

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グローブ弁

出典:indiamart

グローブ弁はプラントの調節弁では最もよく使われるタイプの調節弁です。ボディが玉形をしていることから、玉形弁ともよばれます。

調節弁の検討をする際、設置目的が遮断弁(オン-オフ弁)でなく、運転パラメータを制御することであれば、まずはグローブ弁の設置を検討します。

バルブを流れるプロセス流体はS字状となり、以下のような特徴があります。

グローブ弁の特徴

・ 本体の耐圧を高くすることが出来るので、高圧の系に適用可能。

・ 材質次第で低温サービスや高温サービスに適用可能。

・ 他のタイプ(バタフライ弁、ゲート弁)よりも高差圧の系に適用可能。

・ 圧力回復係数が高いので、蒸気圧が高くキャビテーションを起こしやすい流体に適用可能。

・ プラグの形状次第でバルブの流量特性を任意に変更可能。

・ レンジアビリティは30:1~50:1程度。

・ 粘性流体やスラリー流体に対しては不敵

補足:調節弁において、レンジアビリティとは制御可能な最大流量と最小流量の比のことです。そのため、比率が大きいほど制御範囲が広いバルブであることを意味します。調節弁の種類によって固有のレンジアビリティがあり、要求されるレンジアビリティによっても調節弁の種類が決まります。例えば、最大流量が100kg/h、最小流量が2kg/hであれば、レンジアビリティは50:1です。

グローブ弁をさらに分類すると以下の種類に分類されます。

グローブ弁の分類

・単座形弁
・複座形弁
・ケージ弁

単座形弁

最も単純な形式の調節弁です。そのため、単座形弁はグローブ弁の選定においては最初に検討される形式となります。

特徴は以下の通りです。

・ 弁の閉止性能に優れており、弁座漏れ量(シートリーク量)はCv値の0.01%以下。

・ 1つのプラグで全差圧を受けてしまうので、複座形弁と比べて、バルブの必要駆動力が大きくなる。そのため、空気駆動の場合、あまりにも高差圧のサービスだと適用不可となる。

・ 一般的には小口径の調節弁に適用される。

複座形弁

出典:atamuse

2つのポートを持ったグローブ弁です。高差圧のサービスなど、単座形弁では適用できない系に使用されます。

主な特徴は以下の通りです。

・ 弁の閉止性能は単座弁と比べて少し劣り、弁座漏れ量はCv値の0.5%程度。

・ 上下のプラグにより不平衡力が打ち消されるので、単座形弁と比べて、バルブの必要駆動力が小さくなる。高差圧のサービスに適する。

・ 一般的には中~大口径の調節弁に適用される。

ケージ弁

プラグの周囲を籠状の構造(ケージ)でガイドしているグローブ弁をケージ弁と呼びます。

高差圧のサービスで特に騒音やキャビテーションを低減させたい場合に適用されるタイプです。

主な特徴は以下の通りです。

・ その構造から、単座形弁、複座形弁と比較して振動に強く、高差圧や圧力変動の大きい系に適する。

・ 弁の閉止性能は複座弁と同程度だが、シートの選定次第では低減させることも可能

・ 単座形弁と比べて、バルブの必要駆動力が小さくなる。高差圧のサービスに適する。

・ プロセス流体の縮流部を分散させやすく、低騒音弁やアンチキャビテーション弁として使用されることもある。



アングル弁

出典:SUYI

アングル弁はボディの入口と出口の中心線が直角で、プロセス流体の流れ方向が直角に変わる形式のバルブです。

グローブ弁と同様に高温、低温、高圧、高差圧の幅広いサービスに適用可能ですが、グローブ弁では適さない粘性流体、スラリー流体に適用可能です。

ボイラのブローダウン配管などに使用されることが多いです。また、配管レイアウトの制約により、グローブ弁を設置するスペースが確保できない場合に選定されることもあります。

出典:West Control Valve & Instrument

主な特徴は以下の通りです。

・ 横から入れて下から出る構造なので、粘性流体、スラリー流体に適用可能。

・ 圧力回復係数はグローブ弁よりは小さい。流体を下から横へ流す場合は圧力回復係数を大きくすることが可能。

・ キャビテーションが発生しても損傷箇所がボディの出口側にあるので、制御性や寿命への影響は小さい。

・ 弁の閉止性能はグローブ弁同等程度で、弁座漏れ量(シートリーク量)はCv値の0.01%以下。

・ 大口径、高差圧の場合、必要駆動力が大きい。

・ 弁容量は同一口径のグローブ弁よりも大きい。

・ 流量特性はグローブ弁同様に任意に変更可能。

・ レンジアビリティは30:1程度。

三方弁

出典:Shanghai Huixuan Valve

三方弁は流体の出入り口が3つある形式の調節弁です。

2種類の流体を混合する場合や、一つの流体を2方向に分離する場合に分けられます。

ただし、温度差、圧力差が大きい流体の混合やスラリー流体に対しては不敵なので、このような系については、それぞれの配管にグローブ弁を設置することが一般的です。

主な特徴は以下の通りです。

・ 弁の閉止性能は単座弁と比べて少し劣り、弁座漏れ量はCv値の0.01~0.5%程度。

・ 流量特性はリニア特性となる。
(一定流量を混合、分離させることが目的のため)

・ 流れ方向はプラグを開方向に流すようにする。

・ レンジアビリティは30:1程度。



ゲート弁

出典:DECA

ゲート弁はディスクがりゅう帯の通路を垂直に仕切って開閉を行い、プロセス流体の流れが一直線になる構造をもった調節弁です。

調節弁としてもオン-オフ弁としての用途に優れているので、様々な口径の配管の遮断弁として用いられることが多いです。

主な特徴は以下の通りです。

・ 全開時は開口部が配管内径と同じになるので、バルブの圧損が小さく、弁容量が大きい。

・ 全閉では流体の差圧でディスクがシートリングに押し付けられるので、高い締切り性能を持つ。

・ 操作の必要駆動力が他のタイプよりも小さいので、大口径にも使用可能。

・ 流量特性はリニアになるが、ポジショナを変更することで、他の流量特性に変更することも可能。

・ 中程度の開度で使用していると、ディスクが振動、損傷することで締め切り性能が低下することがある。

・ レンジアビリティは15:1~20:1程度。

・ダイアフラム弁

出典:Indiamart

ダイアフラム弁はボディの中央にせきを持ち、ダイアフラムと呼ばれる膜の動作で流量を制御する調節弁です。

ダイアフラムによってプロセス流体とバルブ駆動部が接触しないので、腐食性の大きい流体やスラリー流体に適用可能です。ただし、寿命が短く、僅かな損傷も許されないので、日常的なメンテナンスは必須です。

出典:WANTONG

主な特徴は以下の通りです。

・ 腐食性の大きい流体、スラリー流体に適用可能。

・ ダイアフラムの材料は様々で、流体の種類に応じて天然ゴム、ネオプレン、ブチルゴム、テフロンなどが用いられる。

・ 流体の漏れ量はCv値の0.001%~0.005%程度。

・ 操作に必要な駆動力は他のタイプと比べて大きく、高差圧の系には不適。

・ リニアな流量特性を持つが、低開度における制御性は良くない。

・ レンジアビリティは他のタイプよりも小さく、15:1程度。



バタフライ弁

出典:Indiamart

バタフライ弁はバルブボディ内のステムが軸となってディスクが回転する形式の調節弁です。

バタフライ弁は他のタイプと比較して経済的に優れるため、調節弁、遮断弁として広く用いられます。特にコストメリットから大口径の配管に用いられることが多いです。

主な特徴は以下の通りです。

・ 全開時はバルブの圧力損失がほとんどなく、かつ弁容量が大きいので、大口径・低差圧の配管に適する。

・ 調節弁として用いる場合は、バルブ開度0~60%程度、遮断弁として用いる場合はバルブ開度0~90%程度で運用することが多い。

・ 構造がシンプルなので、ライニング施工が容易。

・ 弁の閉止性能は他のタイプよりは劣り、弁座漏れ量(シートリーク量)はCv値の1~3%程度。ただし、ディスクの工夫によりグローブ弁同等のシール性能を持たせることは可能。

・ 流量特性はイコールパーセント(Eq%)となる。

・ レンジアビリティは15:1~30:1程度。

ボール弁

出典:Zhejiang Linuo Valve

ボール弁はバルブボディ内に流路として貫通孔を持ったボールを入れ、これを回転させることで流量を調整するバルブです。

バルブの開閉速度を早くできるので、プラント異常時の緊急遮断弁として使用されることが多いです。

主な特徴は以下の通りです。

・ 全開時は流路が配管内径と同じなので、弁容量が大きい。

・ 回転がスムーズで操作距離は1/4回転で全閉、全開にできるので、急速操作が可能。

・ 締め切り性能に優れており、弁座漏れ量(シートリーク量)はほぼ0にすることができる。

・ プラント火災で非金属部品が焼失しても開閉操作が可能なので、危険物流体を保持するタンクの遮断弁として使用可能。

・ 配管に設置したままバルブの部品を交換可能。

・ 流量特性はイコールパーセント(Eq%)となる。ボールの開口部の形状を工夫することで他の特性に変更することも可能。

・ レンジアビリティは他のタイプよりも大きく、100:1程度。

まとめ

今回の記事ではプラントで使用される調節弁の種類と特徴について解説しました。

主な調節弁の種類

・グローブ弁
・アングル弁
・三方弁
・ゲート弁
・ダイアフラム弁
・バタフライ弁
・ボール弁

プラントをトラブル無く、安定的に運転するためには、プロセス流体の性状や制御目的に応じて適切なタイプの調節弁を選定することが重要です。

しかし、プラントの新設、改造案件の検討初期段階で、調節弁に対して特別な要求使用が無い場合は、メンテナンス性、制御性、価格を念頭に入れて選定します。

調節弁選定指針

・ 構造が簡単でメンテナンスしやすい
・ 制御性が良い。
・ 価格が安価

具体的には、流量、温度、圧力などの運転パラメータを制御するための調節弁としてはグローブ弁を遮断弁としてはボール弁かゲート弁を選定しておくと、プラント設計が進んだ後に調節弁仕様を変更するリスクを小さくすることが出来ます。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。



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  • この記事を書いた人

Toshi

30代前半プラントエンジニア |ブログでプラントエンジニアリングの業務に役立つ内容を発信しています。| 旧帝大化学工学専攻卒| 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 | 海外化学プラント設計、試運転経験有り| 副業で 投資(高配当+インデックス投資)による資産形成もブログで報告しています。趣味は旅行とウイスキー。よろしくお願いします。

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