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【計装】調節弁のバイパスライン要否の考え方について解説

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回の記事では調節弁バイパスラインの要否の考え方について解説します。

配管に調節弁を設置する場合、バイパスラインが設置する場合と設置しない場合があります。

バイパスラインの設置要否は、特に要求の無い場合は、安全性、操作性、保全性、経済性などを考慮して、P&ID作成者(プロセスエンジニア)によって判断されますが、プロセスライセンサーや客先の要求事項で決まることもあります。

そこで本記事ではどのような場合にバイパスラインが必要か、設置要否について解説します。また、バイパスラインを設置する場合の留意点についても、合わせて解説します。

バイパスライン要否の基準は、考え方を纏めた図書に明記し、さらにP&IDのレジェンドシート(リードシート)に記載することで、プロセス設計部門と配管設計部門が共通認識を持ち、設計に確実に反映しなければなりません。

バイパスラインを設置する場合

バイパスを設置するのは、プラントの運転中に調節弁のメンテナンスを行うことを想定する場合です。

大型のプラントで、スタートアップやシャットダウンに時間を要してしまう場合は、その時間分の製品の生産量をロスしてしまうことになりますから、運転継続を優先するためにバイパスラインを設置することがあります。

補足:高差圧の調節弁などの周りに設置する均圧ラインや均圧弁については、設置目的が上記とはことなるため、本記事で解説ような配慮は不要です。

このような場合は、調節弁のメンテナンスをする時、調節弁前後のブロック弁を閉めて、調節弁取り外し、バイパス弁の開度を手動で調整することで流量調整、プラントの運転制御を行います、

ただし、バイパスラインを設置するということは、それだけ誤操作、漏れのリスクが高くなるため、いくつかの注意点があります。

バイパスライン設置の留意点

・ バイパス弁のCv値
・ バイパス弁の誤操作対策
・ バイパス弁の操作性

バイパス弁のCv値

バイパスラインの手動弁は開度調節を行う必要があるため、基本的にグローブ弁が選定され、原則としてCv値は調節弁と同じものが選定されます。

ただし、運転ケースによつては、必要に応じて低開度域、高開度域をカバーするようなバルブを選定する必要があります。

バイパス弁の誤操作対策

運転中にバイパス弁をご操作によって不用意に開けてしまうと、運転が乱れ、プラントの故障、緊急停止につながるリスクがあるため、バイパスの誤操作の防止、あるいは万一誤操作しても対応できるような設計にする必要があります。

例えば、プラント運転中はバイパス弁の手動ハンドルを外すことや、Locked Open/Close(ハンドルに鍵をかける)仕様とすることは誤操作防止に有効な対策です。

また、誤操作でバイパス弁を開けてしまい、その弁を伝って逆流させた場合についての影響を検討することも重要です。逆流が許容できない場合は上流側に遮断弁を設置するなどの対策が必要となります。

バイパス弁の操作性

 バイパス弁を操作する上で必要な現場指示計(圧力計、温度計)が、操作位置から見える場所に設置されるように考慮する必要があります。そのためには、対象となる現場指示計には、P&ID上で「In View」などと注記して、対象のバイパス弁との関係を明記するといった配慮が必要です。

また、調節弁の保全性や操作性も考慮した上で、アクチュエータやアクセサリ類とバイパスラインとの空間を確保することも重要です。

バイパスラインを設置しない場合

取り扱う流体やプラント全体の運転思想によっては、バイパスラインを設置することで発生するトラブル(漏れ、誤操作など)がどうしても許容されない場合があります。そのような場合は、その調節弁がメンテナンスでプラントを停止せざるを得ない場合でもバイパスラインは設置されません。

また、経済性の観点から、配管の施工量を減らして建設コストを下げるために、あえてバイパスラインを設置しないケースもあります。

上記は運転性、メンテナンス性に対する考え方と建設コスト、運転コストの考え方を総合的に考慮して決定されるので、顧客や関係部署とよく協議して決定する必要があります。

バイパスラインを設置しない場合は、上図のように調節弁に操作ハンドル(ハンドホイール)を設け、必要に応じて現場での手動運転できるようにすることもあります。

ただし、調節弁選定時において非定常運転時の低開度、高開度での運転ケースをバイパス無しでカバーしているか(そのようなレンジアビリティを持ったタイプの調節弁になっているか)考慮する必要があります。

また、上図のように遮断回路を含んだ調節弁では、バイパスラインを設けない場合が多いです。

これは、バイパスラインの誤操作による開放が原因で、遮断回路が働いているにも関わらず、バイパスラインから危険性流体が流出するというリスクを考慮しているためです。

まとめ

今回の記事では調節弁バイパスラインの要否の考え方について解説しました。

配管に調節弁を設置する場合、バイパスラインが設置する場合と設置しない場合があります。

バイパスラインの設置要否は、特に要求の無い場合は、安全性、操作性、保全性、経済性などを考慮して、P&ID作成者(プロセスエンジニア)によって判断されますが、プロセスライセンサーや客先の要求事項で決まることもあります。

バイパスライン要否の基準は、考え方を纏めた図書に明記し、さらにP&IDのレジェンドシート(リードシート)に記載することで、プロセス設計部門と配管設計部門が共通認識を持ち、設計に確実に反映しなければなりません。

今回の記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在150記事、月3.2万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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