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【配管】破裂板(ラプチャーディスク)の種類と特徴の解説-安全弁との違い-

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回の記事では破裂板(ラプチャーディスク)の種類と特徴について解説します。

プラントで使用される圧力放出装置の代表的なものとしては安全弁がありますが、プラントのプロセス特性や目的によっては、破裂板(ラプチャーディスク/Rupture Disc)が使用されることもあります。この時、破裂板のみが設置されたり、安全弁と組み合わせて設置されることもあります。

本記事では安全弁との違い、破裂板の種類について解説します。

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安全弁との違い

破裂板と安全弁との違いは以下の通りです。

圧力放出速度が早い

安全弁でなく、破裂板を採用する最大の理由が、圧力放出速度が早いことです。

例えば、Shell/Tube熱交換器において、高圧、高温をプロセス流体を冷却水で冷却する場合はチューブラプチャー(Tube Rupture)によりプロセス流体が冷却水側に混入することを考慮します。通常、冷却水側は低圧なので、高圧のプロセス流体により急激に圧力が上昇するため、安全弁では吹き出し速度が不十分な場合があります。

このような場合、冷却水側に安全弁ではなく破裂板を設置することもあります。

ただし、熱交換器の低圧側の設計圧力を上げることで、安全弁や破裂板の設置が不要となるケースがありまし。詳細はこちらの記事を参照ください。

 

漏れがない

安全弁はどうしても運転中にプロセス流体の漏れのリスクは生じますが、破裂板はその構造上、運転中に漏れるリスクはほとんどありません

そのため、毒性流体や可燃性流体を扱うプラントでは破裂板を採用することもあります。

動作不良のリスクが無い

安全弁は構造が複雑なので、性能を維持するためにはメンテナンスが必要となります。これを怠ると動作不良を起こし、想定している吹き出し圧で作動しない可能性が生じます。

しかし破裂板は可動部がなく、構造が単純のため、動作不良のリスクは小さいです。

そのため、動作不良を起こしやすい高粘度の流体や固着性の流体を扱うプラントでは破裂板を採用することもあります。

ただし安全弁と違い、一度作動してしまうと、破裂板そのものを交換しなければなりません。

材料選定の幅が広い

破裂盤は構造が単純のため、耐食材料やコーティング材など、選定できる材料の幅が安全弁よりも広いです。

そのため高い腐食性を持つ流体を扱うプラントに適しています。



破裂板の種類

破裂板はドーム状の金属板ですが、ドームをプロセス流体側に向けるか、放出側に向けるか、で大きく2種類に分けることができます。

破裂板の種類

・引張型
・反転型

引張型は流体の流れる方向に向けてドームを設置するタイプで、反転型は流れる方向の逆向きにドームを設置するタイプです。

それぞれに特徴があるので、次項から解説していきます。

引張型破裂板

出典:The Process Piping

流体の流れる方向に向けてドームを設置するため、板の材料の引張強さの限界で破裂、開口します。

板の引張強度でプロセス流体を抑えつけているために、本質的に金属疲労を起こしやすく、疲労寿命が短いという特徴があります。

主なタイプとしては以下のものがあります。

主な引張型破裂板

・金属単体型破裂板
・複合型破裂板
・溝付き破裂板

金属単体型破裂板

出典:VALWO

金属板をドーム状に成形しただけの構造で、破裂板の中では最も基本的な形式です。

主な特徴は以下の通りです。

金属単体型破裂板

・流体に合わせて様々な材料を適用可能
・小口径から大口径まで様々な径に対応可能
・気体、液体どちらでも対応可能
・特に金属疲労に弱く、運転圧と破裂圧力(作動圧)が近い場合は不適
・背圧が高い場合、負圧環境にはあまり適さない
・破裂時に破片が飛散するので安全弁と併用できない

複合型破裂板

出典:Fike

破裂圧力を制御するためのスリットディスクと流体をシールするためのシールディスクを組み合わせた形式の破裂板です。

主な特徴は以下の通りです。

複合型破裂板

・スリット加工による低い破裂圧力に対応可能
・気体、液体どちらでも対応可能
・シールディスクがPTFE製だと腐食性流体にも対応可能
・背圧が高い場合、負圧環境にはあまり適さない
・破裂時に破片が飛散するので安全弁と併用できない

溝付き破裂板

出典:Zook

金属単体型の破裂板に溝加工を施した破裂板です。

主な特徴は以下の通りです。

溝付き破裂板

・溝加工により、破裂時に破片が飛散しない
・気体、液体どちらでも対応可能
・金属単体型よりも厚い板を用いるため、高圧の系、負圧の系にも適用可能だが、高圧の系に適する



反転型破裂板

出典:The Process Piping

流体の流れる方向と逆向きにドームを設置するため、ドームが座屈、反転した時に破裂、開口します。

引張型と違って、金属疲労は起こしにくく、疲労寿命は長いというメリットはありますが、液体の系には不適です。

主なタイプとしては以下のものがあります。

主な反転型破裂板

・ナイフ付き反転型破裂板
・溝付き反転型破裂板
・特殊溝付き反転型破裂板

ナイフ付き反転型破裂板

出典:Environmental Expert

二次側に取り付けられたナイフ(上記画像の上側)によるドームが切り裂かれることで圧力を放出する構造で、最も耐久性の高い破裂板です。

主な特徴は以下の通りです。

ナイフ付き反転型破裂板

・金属疲労を最も起こしにくく、寿命も長い
・運転圧力の脈動にも強く、10万回の圧力サイクルに耐える
・破裂時に破片が飛散しない
・液体の系には使用不可

溝付き反転型破裂板

出典:Fike

ナイフではなく、ディスクの溝が開くことで圧力を放出する構造の破裂板です。

主な特徴は以下の通りです。

溝付き反転型破裂板

・金属疲労を起こしにくく、寿命も長い
・破裂時に破片が飛散しない
・比較的高圧の系に適する
・液体の系には使用不可

特殊溝付き反転型破裂板

出典:BASCO

反転型の中でも液体の系でも使用できるタイプの破裂板です。

反転型のメリットを有したまま液体でも使用できるため、最近では主流の破裂板です。

主な特徴は以下の通りです。

特殊溝付き反転型破裂板

・金属疲労を起こしにくく、寿命も長い
・破裂時に破片が飛散しない
・気体、液体どちらでも対応可能

まとめ

今回の記事では破裂板(ラプチャーディスク)の種類と特徴について解説しました。

破裂板には大きく分けて引張型と反転型があり、主な種類は以下の通りです。

主な引張型破裂板

・金属単体型破裂板
・複合型破裂板
・溝付き破裂板

な反転型破裂板

・ナイフ付き反転型破裂板
・溝付き反転型破裂板
・特殊溝付き反転型破裂板

プラントで使用される圧力放出装置の代表的なものとしては安全弁がありますが、プラントのプロセス特性や目的によっては、破裂板の方が適することもあるため、プロセスエンジニアとしては、破裂板の知識は必要です。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

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  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在100記事達成。月1.6万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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