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【配管】プラントで使用されるスチームトラップの種類と特徴の解説

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回の記事ではプラントで使用されるスチームトラップ(蒸気トラップ)の種類と特徴について解説します。

プラントの運転に必要な熱媒として最もよく用いられるのが蒸気(スチーム)ですが、蒸気は放熱や熱交換により必ずドレン(凝縮水)が発生します。

このドレンを放置すると、熱交換器のトラブル、ウォーターハンマー、腐食振動などの様々問題の原因となります。

スチームトラップはドレンを効率的に除去する設備ですが、ドレン量、圧力、発生頻度などを考慮して最適なタイプが選定されなければなりません。

主なスチームトラップ

・ 機械式(メカニカル)スチームトラップ
・ 温調式(サーモスタティック)スチームトラップ
・ 熱力学式(サーモダイナミック)スチームトラップ

スチームトラップは、大型プラントでは数千台もの数が使用されますから、タイプの選定は非常に重要です。

次項から各タイプの特徴について解説します。

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機械式(メカニカル)スチームトラップ

メカニカルスチームトラップは蒸気とドレンの比重差を利用して作動させるタイプです。

大きく分けてバケット式とフロート式の2つがありますが、それぞれドレンの量に応じてバケットあるいはフロートが上下することでトラップ内の弁が開閉してドレンを排出します。

バケット式スチームトラップ

出典:Indiamart

ドレンが流入してトラップ内部がドレンで満たされると、内部のバケットが沈んだ状態になるため、排出弁が開き、ドレンが排出されます。

このままドレンが排出されると、トラップ内に蒸気が入るため、再びバケットが浮いた状態になるため、排出弁が閉まり、ドレンの排出が止まります。

 

このような作動原理のため、バケット式スチームトラップはある程度のドレンが存在しないと、バケットが上手く動作せず、蒸気が吹きっぱなしの状態となります。そのため、ドレンがほとんど発生しない過熱蒸気に対しては不向きです。

フロート式スチームトラップ

出典:Gestra

作動原理は基本的にはバケット式スチームトラップと同じです。

フロート式スチームトラップは、トラップ内部おいてフロートと呼ばれる球が比重差により浮き沈みすることで、ドレンの排出を行います。

バケット式と違い、フロート自身が排出弁の役割を果たすため、構造はシンプルですが、フロートに対しては高い真円度が求められます。

 

バケット式同様、非凝縮性ガスに対しては不向きですが、フロート式はウォーターハンマーや凍結に弱いため、これらが起こりやすい場所に対しては注意が必要です。

温調式(サーモスタティック)スチームトラップ

サーモスタティックスチームトラップは蒸気とドレンの温度を利用して作動させるタイプです。

大きく分けてバイメタル式バランスプレッシャー式があります。

トラップに達したドレンは蒸気よりも必ず低温になっていることを利用しています。

バイメタル式スチームトラップ

出典:Barthel

二種類の金属から成るバイメタルを重ね合わせ、温度変化でバイメタルがたわむことを利用してドレンの排出を行います。

そのため、ドレンの温度を設定できるという特徴があります。

しかし、必ず飽和蒸気温度よりも低い温度でないと作動しないので、トラップの上流側には常にドレンが溜まっている状態となります。

 

上記のような特徴から、ドレン量が大きい場所、変動が大きい場所での使用は不向きですが、一般にはスチームトレースなどに適しています。

バランスプレッシャー式(蒸気圧式)スチームトラップ

出典:Sealing systems

バランスプレッシャー式スチームトラップは、ベローズ式、ダイアフラム式などの種類がありますが、よく使われるダイアフラム式スチームトラップについて解説します。

ダイアフラム式はダイアフラム内に封入された、揮発しやすい液体が感温体となり、温度により液体が沸騰、凝縮することで、ダイアフラムが伸縮して排出弁を開閉します。

そのため、バイメタル式同様にドレン温度を設定できる、という特徴がありますが、飽和蒸気温度よりも低い温度にしなければなりません。

用途に関しては基本的にバイメタル式同様ですが、注意点としてスチームトラップ自体に保温してしまうと、ドレンが作動温度まで冷却されず、作動不良を起こすため、保温することは推奨されません。また、ドレンを冷却するためにある程度の配管長も必要です。

熱力学式(サーモダイナミック)スチームトラップ

出典:Indiamart

サーモダイナミックスチームトラップは蒸気の凝縮作用と上記とドレンの熱力学上の差を利用して作動するタイプです。

代表的なタイプはディスク式スチームトラップです。

ドレンがトラップ内に流入すると、ディスク弁を押し上げて出口側からドレンが排出されます。

排出が終わり、蒸気がトラップ内に流入すると、ディスク弁の下側を流れる蒸気の速度がドレン速度よりも早いため、ベルヌーイの定理により蒸気側の圧力が低くなり、ディスク弁が押し下げられます。更に変圧室に流入した上記によりディスク弁を抑える力が働くため、ディスク弁が閉まります。

この状態から、トラップ内で蒸気が凝縮してドレンが発生すると、弁を抑える力が弱くなり、再びディスク弁を押し上げて、ドレンが排出されます。

このようにサーモダイナミックスチームトラップはトラップ内で蒸気が凝縮することによる圧力変動を利用して作動します。

 

サーモダイナミックスチームトラップ、特にディスク式スチームトラップは小型、軽量でコストが安く、取り付け方法の制約が無い、調整不要という特徴があるため、蒸気配管やスチームトレースのトラップとして幅広く使用されています。

ただし、その作動原理上、設置場所の気象条件や背圧条件により作動不良を起こすので、選定する際はそれらの条件をしっかりと確認しておくことが重要です。

まとめ

今回の記事ではプラントで使用されるスチームトラップ(蒸気トラップ)の種類と特徴について解説しました。

各スチームトラップの特徴をまとめると、以下の表の通りです。

スチームトラップは、大型プラントでは数千台もの数が使用されますから、ドレン量、圧力、発生頻度などを考慮して最適なタイプが選定されなければなりません。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

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  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在100記事達成。月1.6万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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