今回の記事では渦流量計の設置上のポイントについて解説します。
渦流量計はこちらの記事でも解説している通り、振動に弱く、スラリーや腐食性流体の測定には向かないものの、オリフィス流量計よりもレンジアビリティが広く、精度も良いので、最近では使用されることが多く、特に蒸気配管に使用されることが多いです。また、圧力損失もオリフィス流量計よりも小さいです。
しかし、流量を適切に測定するためには、設置する配管のレイアウトにおいて留意しておくべき項目があります。
本記事では最低限気をつけなければならない設置上のポイントについて解説します。
各流量計のタイプ選定や設計時の留意点についてはこちらの記事で解説しています。
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配管直管長
渦流量計は差圧式流量計と比べると比較的短くても良い(5D~10D程度)ですが、それでもある程度の直管長が必要です。
必要な直管長は前後の配管部品の種類により、各配管部品における必要直管長を記載します。
補足:「D」は配管径を表します。例えば5Dの場合は配管径の5倍の長さの直管長が必要ということです。
レデューサー
<縮小管>
・ 流量計上流側の縮小管:5D
・ 流量計下流側の縮小管:5D
<拡大管>
・ 流量計上流側の縮小管:10D
・ 流量計下流側の縮小管:5D
エルボ
・ 流量計上流側のエルボ:5D
・ 流量計下流側のエルボ:直管長不要
バルブ
・ 流量計上流側のバルブ:20D
・ 流量計下流側のバルブ:5D
圧力、温度タップ
圧力計、温度計を設置するためのタップは、渦流量計の下流側に設置します
・ 圧力タップ:2D~7D
・ 温度タップ:圧力タップから1D~2D
アキュムレータ
の吐出側に渦流量計を設置する場合はアキュムレータからの直管長を確保する必要があります。
・ 流量計上流側:20D
・ 流量計下流側:5D
振動・脈動
渦流量計はその原理上、振動・脈動に弱いため、配管に振動や脈動が生じていると出力エラーを起こすことがあります。
特に、ポンプやコンプレッサーなどは振動、脈動を起こしやすい機器なので、これらの機器の吐出側に設置する場合、アキュムレータなどの減衰機構の設置などの配慮が必要となります。
また、脈動を回避、減衰させる対策としては、制御弁を流量計の上流側に設置することが有効です。ただし、バルブを設置する場合は上述した直管長を確保することが必要となります。
付着物
流体に含まれる付着物、異物等は、流量計隙間への詰まりによる出カエラーを発生する場合があります。
そのため、汚れが多い流体やスラリー流体、腐食性の高い流体に対しては、渦流量計は不向きとなります。
流量計選定時は計測する流体の性状を正確に把握することが重要です。
二相流
渦流量計は液体中に含まれるガスの比率が5%程度の二相流であれば測定可能ですが、数%のエラーが発生してしまいます。
そのため二相流の流量測定においては渦流量計は基本的に不向きです。
渦流量計で蒸気流量を測定する場合は、蒸気が湿り蒸気になってしまうとエラーが発生するので、飽和蒸気を測定する場合は、その蒸気が乾き蒸気であることを確実に確認しなければなりません。
まとめ
今回の記事では渦流量計の設置上のポイントについて解説しました。
渦流量計はこちらの記事でも解説している通り、振動に弱く、スラリーや腐食性流体の測定には向かないものの、オリフィス流量計よりもレンジアビリティが広く、精度も良いので、最近では使用されることが多く、特に蒸気配管に使用されることが多いです。また、圧力損失もオリフィス流量計よりも小さいです。
しかし、流量を適切に測定するためには、流量計に設置において留意しておく項目があります。
本記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。