プラントエンジニアリング プロセスエンジニアリング 化学工学 移動現象

【移動現象】粒子の抵抗係数と終端速度の計算方法の解説

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回の記事では粒子の抵抗係数と終端速度の計算方法について解説します。

終端速度は終末速度や終末沈降速度とも呼ばれ、流体中を沈降する粒子が抗力と釣り合って速度が一定になった時の速度です。

プラントでは主に液体中の個体粒子を分離する固液分離装置の設計において、終端速度や粒子径が重要な因子となります。

今回の記事では終端速度及び粒子径の簡便な計算法について解説します。

スポンサーリンク

抵抗係数Cdと終端速度uの関係

球形の粒子がある流体中を沈降している時、流体が球形粒子に及ぼす抵抗は、
「抵抗係数」×「運動エネルギー」×「運動方向に垂直な面積」
で表現することができ、抵抗をRとすると、以下の数式で表現することが出来ます。

$$R=C_d\biggl(ρ\frac{u^2}{2}\biggl)\biggl(\frac{π{D_p}^2}{4}\biggl)$$

これを整理して、

$$R=C_d\biggl(\frac{π}{8}\biggl){D_p}^2u^2ρ$$

R:抵抗
Cd:抵抗係数
ρ:流体の密度 [kg/m3]
u:粒子の終端速度 [m/s]
Dp:粒子径 [m]

 

また、この時は粒子は終端速度uが一定であるため、粒子に及ぼす抵抗Rと浮力は重力と釣り合っています

そのため、抵抗R=重力-浮力という等式が成り立ち、数式で表すと以下の通りになります。

※数式表示が途切れている場合はスライドすると表示されます。

$$R=\frac{4}{3}π\biggl(\frac{D_p}{2}\biggl)^3ρ_pg-\frac{4}{3}π\biggl(\frac{D_p}{2}\biggl)^3ρg=\frac{π}{6}{D_p}^3(ρ_p-ρ)g$$

また、

$$R=C_d\biggl(\frac{π}{8}\biggl){D_p}^2u^2ρ$$

なので、終端速度uについて整理すると、以下の通りになります。

$$u=\sqrt{\frac{4gD_p(ρ_p-ρ)}{3ρC_d}}$$

u:終端速度 [m/s]
Dp:粒子径 [m]
ρg:粒子の密度 [kg/m3]
ρ:流体の密度 [kg/m3]
g:重力加速度 (=9.81 [m/s2])
Cd:抵抗係数

また、粒子径Dpについて整理した場合は以下の通りになります。

$$D_p=\frac{3ρC_du^2}{4g(ρ_p-ρ)}$$

これらの計算式から、終端速度u、或いは粒子径Dpを計算することが可能ですが、抵抗係数Cdはレイノルズ数Reの関数であるために、このままでは直接計算することができません。

レイノルズ数は以下の式で表せられる無次元数ですが、式中に終端速度uと粒子径Dpが含まれており、求めようとする未知数が計算式に含まれているためです。

$$Re=\frac{ρD_pu}{μ}$$

Re:レイノルズ数
ρ:流体の密度 [kg/m3]
Dp:粒子径 [m]
μ:流体の粘度 [Pa・s]



「Cd・Re^2」及び「Cd/Re」の計算

そこで、式変形を行い、未知数を消去します。

終端速度uを計算する場合はuにReを代入することでuを消去します。

終端速度の計算式のuにReを代入して整理すると、以下の通りになります。

$$Re=\frac{ρD_pu}{μ}$$

$$u=\frac{μRe}{ρD_p}$$

と変形して

$$u=\sqrt{\frac{4gD_p(ρ_p-ρ)}{3ρC_d}}$$

に代入すると、

$$\frac{μRe}{ρD_p}=\sqrt{\frac{4gD_p(ρ_p-ρ)}{3ρC_d}}$$

さらに「Cd・Re^2」について整理すると、以下の通りになります。

$$C_d・Re^2=\frac{4g{D_p}^3ρ(ρ_p-ρ)}{3μ^2}$$

u:終端速度 [m/s]
Dp:粒子径 [m]
ρg:粒子の密度 [kg/m3]
ρ:流体の密度 [kg/m3]
g:重力加速度 (=9.81 [m/s2])
μ:流体の粘度 [Pa・s]
Cd:抵抗係数
Re:レイノルズ数

この式は粒子径Dpが既知で終端速度uを計算する時に使用します。

同様に終端速度の計算式のDpにReを代入して「Cd/Re」について整理すると、以下の通りになります。

$$\frac{C_d}{Re}=\frac{4gμ(ρ_p-ρ)}{3ρ^2μ^2}$$

この式は終端速度uが既知で粒子径Dpを計算する時に使用します。

 

このように変形することで、未知数を含んでいるCd及びReを左辺、既知の数値を右辺で表現することが可能です。

ここからさらに後述する「Cd・Re^2」vs Cd及び「Cd/Re」vs Cdの関係式を用いることで、抵抗係数Cdを計算することができます。

抵抗係数Cdの計算

上式で計算した「Cd・Re^2」と「Cd/Re」から抵抗係数Cdを計算します。

「Cd・Re^2」とCd、「Cd/Re」とCdは実測データを近似することで、以下の関係式で表すことが可能です。

※数式表示が途切れている場合はスライドすると表示されます。

<「Cd・Re^2」vs Cd>

$$\ln{C_d}=-0.00099t^3+0.058898t^2-1.15174t+\frac{0.005188}{t}+6.442049$$

$$t=\ln{(C_d・Re^2)}$$

<「Cd/Re」vs Cd>

$$\ln{C_d}=-0.00052t^3+0.009136t^2+0.432726t-\frac{0.00288}{t}+1.784044$$

$$t=\ln{\biggl(\frac{C_d}{Re}\biggl)}$$

なお、これらの関係式は、実用的なストークス域~アレン域(一般的に沈降速度が層流域であるRe<2000程度)で成り立つことが分かっています。



計算例

ある球形粒子が液体中を沈降する時の終端速度を計算します。

条件

粒子の密度:2000 [kg/m3]
流体の密度:1000[kg/m3]
粒子径:0.001 [m]
流体の粘度:0.0015 [Pa・s]

求めるのは終端速度uなので、まずは「Cd・Re^2」を計算します。

$$C_d・Re^2=\frac{4g{D_p}^3ρ(ρ_p-ρ)}{3μ^2}$$

に代入すると、

※数式表示が途切れている場合はスライドすると表示されます。

$$C_d・Re^2=\frac{4・9.81(0.001)^3(1000)(2000-1000)}{3(0.0015)^2}=5813$$

となります。

さらに「Cd・Re^2」vs Cdの関係式に代入すると、Cd=1.268となります。

また、終端速度uは

$$u=\sqrt{\frac{4gD_p(ρ_p-ρ)}{3ρC_d}}$$

で計算できるので、得られたCd及び各物性値を上式に代入すると、u=0.102 m/sとなります。

まとめ

今回の記事では粒子の抵抗係数と終端速度の計算方法について解説しました。

終端速度は終末速度や終末沈降速度とも呼ばれ、流体中を沈降する粒子が抗力と釣り合って速度が一定になった時の速度です。

プラントでは主に液体中の個体粒子を分離する固液分離装置の設計において、終端速度や粒子径が重要な因子となりますが、以下の手順で計算することができます。

終端速度を計算する場合

見出し(全角15文字)

① 「Cd・Re^2」を計算する。
② 抵抗係数Cdを計算する。
③ 終端速度uを計算する。

また、終端速度が分かっていて粒子径を計算する場合は以下の手順となります。

終端速度を計算する場合

見出し(全角15文字)

① 「Cd/Re」を計算する。
② 抵抗係数Cdを計算する。
③ 粒子径Dpを計算する。

※それぞれRe<2000のストークス域~アレン域で成り立つ

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

スポンサーリンク

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在100記事達成。月1.6万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

-プラントエンジニアリング, プロセスエンジニアリング, 化学工学, 移動現象

© 2021 プラントエンジニアのおどりば Powered by AFFINGER5