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「濾過助剤」とは?プラントで使用される濾過助剤の種類と特徴について解説

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回の記事ではプラントで使用される濾過助剤の種類と特徴について解説します。

プラント内で生成されるスラリー(固体粒子が液体中に分散した懸濁液)の固液分離を行う代表的な単位操作の一つが「濾過(ろ過/沪過)」です。これにより固体粒子とろ液に分離することが出来ます。

この単位操作はフィルターによる固液分離によって行われることが一般的ですが、スラリーが希薄な場合や固体粒子径が非常に小さい場合、フィルターが目詰まりを起こして上手く固液分離を行うことが出来ない場合があります。

そのような場合には、「濾過助剤(ろ過助剤/沪過助剤)」を添加することが一般的な対策となります。ただし、濾過助剤として使用できる物質には一定の条件が要求されます。

そこで、この記事では濾過助剤の概要と各助剤の種類と特徴について解説します。

補足:濾過助剤を添加することは、ケーキ層(分離された固体粒子)にとっては異物が混入することになるため、ケーキ層が製品になる場合には使用できません。濾液が製品である場合に限られます。

濾過助剤の概要

目的と条件

濾過助剤は、希薄スラリー中に懸濁する微粒子やコロイド状物質などを吸着、包含させることにより、濾過抵抗の低減、濾材の目詰まり防止、高清澄度の濾液を得るために使用されます。

そのためには、濾過助剤は以下の条件を満足する必要があります。

濾過助剤の条件

・ かさ密度が小さく沈降性がひくいこと
・ 非圧縮性(圧縮性指数n<0.3)で透過抵抗が小さいこと
・ 粒子を捕捉しやすく、高清澄度の濾液が得られること
・ 濾液に対して不活性、不溶性で化学的に安定であること

濾過助剤の添加方法

濾過助剤の添加方法として、プリコート法とボディフィード法の2種類があります。

プリコート法は上図のように濾過助剤のみからなるスラリーを濾過し、濾材表面に濾過助剤のケーク層(1~2mm程度)を形成させ、これを濾材として原液のスラリーを濾過する方法です。

必要に応じて2段のプリコート層を形成させる場合もありますが、この時、1段目は粗い粒度の濾過助剤を使用する必要があります。

ボディフィード法は、上図のようにスラリー原液に濾過助剤を直接混入させて濾過する方法です。

濾過助剤の存在によりケーク内の微粒子が密着することをふせぐため、濾液が通れる空隙が確保されます。この結果、ケークの比抵抗が減少するため、濾過速度を向上させることが可能です。このため、濾過の効率はプリコート法よりも高いです。

ただし、濾過助剤の添加量を増やしすぎると、かえって抵抗を増大させるので、添加量には注意が必要です。

一般に、濾過速度と濾液の清澄度は相反する関係にあるので、要求される清澄度が得られる範囲内で、最も濾過速度が大きい濾過助剤、添加方法を選択する必要があります。

主な濾過助剤

珪藻土(ラヂオライト)

珪藻土は最もよく使用される濾過助剤の一つです。

原料珪藻土を乾燥、粉砕、分級した後に焼成することで製造され、不規則な形状、多孔質を持ち不活性という特徴から、他の助剤にくらべ最も理想的助剤に近いと言われています。

また、加工と分級によって品質を広範囲に変えることができるため、目的の清澄度と濾過速度に応じて、最適な製品を選択できるというメリットもあります。

パーライト

パーライト濾過助剤は真珠岩を加熱して膨張させ、粉砕、分級して製造されます。

主成分は珪酸アルミニウムなので珪藻土と同様に不活性、不溶性です。粒子の形状は不規則ですが、珪藻土ほど不規則でなく、多孔質でもありません。

珪藻土と比べて構成粒子が根本的に異なるので、同一流速では珪藻土よりも清澄度は若干落ち、高い圧力ではやや圧縮性を示します。

また、かさ密度も珪藻土よりも小さいため、同じ厚さのケーキを形成した場合、珪藻土よりもケーキの重量が小さくなるため、他の濾過条件を満足するときには有利となる場合があります。

セルロース

濾過助剤としてのセルロースは、多孔質のケーキを形成しますが、珪藻土やパーライトほどの清澄度を得ることはできません

ケーキも非常に圧縮性であり、価格も珪藻土やパーライトの数倍以上するため、ケイ素を溶解してしまう液の濾過や僅かなケイ素の混入を許容されない場合など、特殊な用途に限られる濾過助剤です。

炭素質濾過助剤

ここでは吸着を主目的に使用される活性炭ではなく、純粋に濾過助剤としての炭素について解説します。

粒子は多孔質で形状も不規則ですが、そのケーキは珪藻土やパーライトと比べて密度は大きく、清澄能力も小さいです。

また、価格も非常に高価であるため、セルロース同様、ケイ素を溶解してしまう液の濾過や僅かなケイ素の混入を許容されない場合など、特殊な用途に限られる濾過助剤です。

アスベスト

非常に大きな圧縮性を持ち、紙状のケーキを形成します。また、不燃性で吸着能を有することから、過去では一部の濾過プロセスで使用されてきました。

しかし、アスベストは人体への健康被害の問題があるため、最近では使用されることはありません。

まとめ

今回の記事ではプラントで使用される濾過助剤の種類と特徴について解説しました。

プラント内で生成されるスラリー(固体粒子が液体中に分散した懸濁液)の固液分離を行う代表的な単位操作の一つが「濾過(ろ過/沪過)」です。これにより固体粒子とろ液に分離することが出来ます。

この単位操作はフィルターによる固液分離によって行われることが一般的ですが、スラリーが希薄な場合や固体粒子径が非常に小さい場合、フィルターが目詰まりを起こして上手く固液分離を行うことが出来ない場合があります。

そのような場合には、「濾過助剤(ろ過助剤/沪過助剤)」を添加することが一般的な対策となります。ただし、濾過助剤として使用できる物質には一定の条件が要求されます。

濾過助剤の条件

・ かさ密度が小さく沈降性がひくいこと
・ 非圧縮性(圧縮性指数n<0.3)で透過抵抗が小さいこと
・ 粒子を捕捉しやすく、高清澄度の濾液が得られること
・ 濾液に対して不活性、不溶性で化学的に安定であること

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在150記事、月3.2万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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