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【計装】差圧式流量計(オリフィス、フローノズル、ベンチュリ管)データシート作成方法の解説

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回は差圧式流量計(オリフィス流量計、フローノズル流量計、ベンチュリ管流量計)のデータシート作成方法について解説します。

流量計の中で最もよく使われているのは差圧式流量計、特にオリフィス流量計ですが、プラントの改造、新設で新規に手配しようとすると、仕様書、データシートの作成時に何を記載すれば良いか迷うこともあると思います。

今回の記事では差圧式流量計エレメントの選定基準差圧取り出し方向の選定基準エレメントのデータシートの作成方法について解説したいと思います。

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差圧式流量計の選定基準

差圧式流量計は大きく分けて3種類に分類されます。

主な差圧式流量計の種類

・オリフィス(Orifice)流量計
・フローノズル(Flow Nozzle)流量計
・ベンチュリ(Venturi)流量計

それぞれメリット、デメリットも合わせて記載します。

オリフィス流量計

プラントで最もよく使用される流量計です。

メリット:
〇構造が簡単で製作が容易
〇安価

デメリット:
×圧損が大きい
×固形物に弱い(オリフィスのエッジが摩耗するため)

 

プラントと最もよく使用される理由は、何と言っても製作が容易で、安価というメリットのためです。

流量計の検討では、まずオリフィス流量計の検討を視野に入れます。

逆にデメリットが許容できない場合は他のタイプの流量計を検討します。

フローノズル流量計

 

ボイラ給水配管や蒸気配管に対してよく使用されます。

メリット:
〇耐久性に優れる
〇圧損が小さい
〇多少の固形物は許容される

デメリット:
×構造が複雑で製作が難しい
×高価
×ベンチュリ管と比べると圧損は大きい

ボイラ給水配管や蒸気配管は高温、高圧であるためにプラント内ではかなり過酷な環境となります。

そのため、オリフィスを適用することが難しい場合、フローノズル流量計が検討されます。

ベンチュリ管流量計

異物を含む可能性のある流体、許容圧損が小さい流体に使用されます。

メリット:
〇耐久性に優れる
〇圧損が小さい
〇構造的に沈殿物が蓄積しにくい

デメリット:
×構造が簡単だが許容製作誤差が小さい
×材料費が嵩み、高価
×スペースが大きいので、配管レイアウトに制限がある

 

測定原理や構造を考慮すると、差圧式流量計が最も適用可能な広く適用可能ですが、高価かつスペースが大きいというデメリットのため、出来れば使用を避けたいタイプの流量計です。

特に、差圧式流量計は流速を安定化させるために流量計前後のある程度の長さ(およそ配管径の5倍~10倍)を直管にしないといけないので、流量計そのもの大きさも相まって、配管レイアウトが制限されてしまいます。

新設のプラントならまだしも、既設プラントの改造でベンチュリ管を新たに設置することは、レイアウト上かなり厳しいと思います。

オリフィス、フローノズルの適用がどうしても難しい場合に選定される流量計です。



差圧取り出し方向選定基準

大きく分けて3種類に分類されます。

主な差圧取り出し方法

・非凝縮性ガス(ドライレグ/Dry Leg)
・蒸気、凝縮性ガス(ウェットレグ/Wet Leg)
・液体(ウェットレグ/Wet Leg)

 

上記以外の流体としてスラリーや常温で固まる液体などもありますが、これらの流体は導圧管で閉塞し、うまく計測できない可能性がありますから、別の測定方式を検討する方が良いと思います。
(一応、導圧管を加熱(ヒートトレース)することもできますが、施工が大変なので、あまり好まれません。)

日本計装工業会標準に分かりやすい図がありましたので、そちらから引用して解説します。

非凝縮性ガス(ドライレグ/Dry Leg)

 

Dry窒素やDry空気など、凝縮がまず起こらない気体について適用されます。

導圧管取り出しは水平から上向きに取り出します。

こうすることで、万が一導圧管内に凝縮液が発生しても、導圧管に溜まらず、母管に戻ります。

蒸気、凝縮性ガス(ウェットレグ/Wet Leg)

蒸気や凝縮性ガスなど、容易に凝縮液が発生する気体について適用されます。

コンデンセートポットで凝縮させ、液として差圧を測定するために、伝送器は配管の下部に設置します。

また、凝縮液がコンデンセートポットから母管に戻る際に、管壁を伝って戻るよう、真上に取り出すのではなく、水平~斜め上から取り出します。

配管レイアウト上の制約で、凝縮性ガスであっても、ドライレグ方式(導圧管斜め上取り出し、伝送器は母管の上部に設置)にすることもあります。

液体(ウェットレグ/Wet Leg)

流体が液体であれば、基本的にこの方式となります。

導圧管内に気泡が溜まると、計測誤差の原因になるので、必ず水平~下向き(斜め下)取り出しにします。



データシートの作成方法

これらの流量計の測定原理は同じなので、データシートに必要な情報は基本的に同じです。

そのため、データシートのフォーマットもほぼ同じとなります。
(それぞれのタイプ特有の情報については、それが分かるように解説します。)

基本事項

基本事項

・Tag 番号
・P&ID 番号/配管番号
・流体/流体の相(ガス、液、蒸気)
・大気温度
・設計温度
・設計圧力
・設置場所
・Accuracy(精度)

基本的にはP&ID情報、プロセス情報(PFDやマテリアルバランス)、プロジェクトスペックがあれば記入可能ですが、記入に迷いような項目について解説していきます。

設置場所

この計器の設置場所を記入します。可能であれば、「プラットホーム」や具体的なエリアを記載することが望ましいですが、情報がない場合でも「屋内」か「屋外」のどちらかを記入してください。

屋内仕様と屋外仕様で設計に違いが生じることもあるからです。

また、屋内に設置しても屋外仕様になることもあるのでご注意ください。

Accuracy(精度)

まだベンダーの情報が無い場合は、プロセス上や客先要求上、許容される精度を記載します。

メーカーが決まって、仕様も固まれば、精度の情報も入手できますので、その後に書き換えます。

差圧式流量計はその測定原理上、精度は2%程度です。

もし、それ以上の精度が求められる場合は、差圧式流量計自体が適さないので、別の測定原理の流量計を検討することになります。

プロセス条件

プロセス条件

・運転圧力(min./nor./max.)
・運転温度(min./nor./max.)
・流量(min./nor./max.)
・差圧(min./nor./max.)
・密度
・粘度
・分子量
・圧縮係数
・比熱
・配管サイズ(内径)

 

これらの項目も、基本的にはマテリアルバランスがあれば記入可能な項目です。

もし移動物性、熱物性がマテリアルバランスの中で表記されていなければ、プロセスシミュレーションを用いて物性値を計算して記入します。

 

記入する際に迷いそうな項目について、解説します。

運転圧力、温度(min./nor./max.)

ここでは最低運転圧力、最高運転圧力、最低運転温度、最高運転温度を記載します。

これらの温度、圧力についてはこちらの記事を参考下さい。

流量(min./nor./max.)

min.はそのプラントのターンダウン(最小運転ロード)における流量を記載します。

通常はターンダウンは60%ですので、normal値(PFD上の流量)の60%の数値を記載します。

max側はnormal値の110%とすることが多いです。

 

また、流量が異なる様々な運転モードがあり、それに応じたPFDが作成されている場合は、上記の計算で最も小さくなる数値をminに、最も大きくなる数値をmaxに記入します。

 

一方、流量計の測定レンジには限度がありますので(通常の流量計は測定レンジの20~100%程度)、min流量とmax流量とであまりにも差が大きいと対応できる流量計が無くなってしまうので、配管を分割して流量計を分ける、といった検討が必要になります。

差圧(min./nor./max.)

プロセス上想定している差圧を記入します。

もし情報がなければ、プロセス許容される最大の差圧を記載します。

計器スペック

計器スペック

・計器タイプ
・測定レンジ
・アウトプット(差圧)
・許容差圧
・絞り直径比β
・材質
・プロセスコネクション
・差圧取り出し口サイズ
・差圧取り出し方向
・ドレン穴、ベント穴要否(オリフィスのみ)
・板厚み(オリフィスのみ)

計器タイプ

詳細なタイプを記載しますが、特に情報がなければ、空欄にしておき、メーカーおよび仕様が決まってから記載しても問題ありません。

測定レンジ

プロセス条件の項目で記載したmin~max流量をカバーするように測定レンジを記載します。

アウトプット(差圧)

上記の測定レンジに対応したアウトプット(差圧)を記載する項目です。

この項目もメーカー仕様が決まらないと記載できないので、空欄のままでも問題ありません。

許容差圧

選定された流量計が指示でできる範囲の最大の差圧を記入します。

この項目もメーカー仕様が決まらないと記載できないので、情報が無ければ、プロセス上許容される最大の差圧を記入することになります。

絞り直径比β

手計算でも計算可能ですが、この項目もメーカー仕様が決まらないと記載できないので、仕様確定後記入し、妥当かどうかチェックするために使用されます。

材質

この項目はタイプよって記載する項目が異なります。

オリフィスであれば、板、フランジ部、ボルト/ナットの材質、フローノズルであれば、ノズル部、ボルト/ナットの材質、ベンチュリ管であれば本体の材質を記入します。

特殊なプロセス要求がなければ、オリフィスとフローノズルはSUS316(L)が適用され、ベンチュリ管はCarbon Steelが適用されます。

プロセスコネクション

流体と接触している配管のサイズ、レーティング(150lb、300lbなど)、接続方法(溶接方法、フランジ接続であればフランジ面のタイプ)を記載します。

差圧取り出し口サイズ

差圧の取り出し口のサイズを記載します。

このサイズはプロジェクトスペックに基づいており、一律で決まります。

通常は導圧管は0.5インチのチュービングなので、そのサイズを記載しておきます。

差圧取り出し方向

角度を記載しますが、誤解を防ぐためにも、下図のようなスケッチ図も併記した方が良いと思います。

下図は45°斜め上取り出しの場合です。

ドレン穴、ベント穴要否(オリフィスのみ)

オリフィスのデータシートで必要な項目です。

通常は、導圧管が上向き取り出しであればドレン穴が必要で、下向き取り出しであればベント穴が必要となります。

板厚み(オリフィスのみ)

オリフィスのデータシートでのみ必要な項目です。

特殊な要求が無ければ2~3mm程度ですが、情報が無ければ空欄にしておいても良いです。

その他

プロセス要求で禁水処理(Non water treatment)、禁油処理(Non oil treatment)など、特殊が要求あれば、この項目で記載しておきます。



まとめ

差圧式流量計の選定基準差圧取り出し方向の選定基準データシートの作成方法について解説しました。

差圧式流量計は大きく分けて3種類に分類されます。

主な差圧式流量計の種類

・オリフィス(Orifice)流量計
・フローノズル(Flow Nozzle)流量計
・ベンチュリ(Venturi)流量計

また、差圧取り出し方法は大きく分けて3種類に分類されます。

主な差圧取り出し方法

・非凝縮性ガス(ドライレグ/Dry Leg)
・蒸気、凝縮性ガス(ウェットレグ/Wet Leg)
・液体(ウェットレグ/Wet Leg)

 

データシートを作成する際は、流量計と設置する配管が上記のタイプ、方式に適用できるかどうか確認して下さい。

スラリー流体や固結しやすい流体は差圧式流量計自体が適さない可能性があるので、別のタイプの流量計を検討する方が良いと思います。

また、DCS信号を読み取り、流量計として機能するためには、流量計そのもだけでなく、伝送器(Tramsmitter)も組み合わせなければなりません。

差圧式流量計の場合は流量計のエレメント(オリフィス、フローノズル、ベンチュリ管)と差圧式伝送器の(Differential Pressure Transmitter)二つが揃って初めて一つの流量計として機能します。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

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  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在100記事達成。月1.6万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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