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【計装】流量計のタイプ選定、設計時の留意点について解説

こんにちには。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回の記事では流量計のタイプ選定、設計時の留意点について解説します。

プラント運転を安定に行うために、流量計でプロセス流体を正確に測定することは重要ですが、そのためには適切にタイプの選定、設計を行う必要があります。本記事ではプラント建設、改造で流量計を新たに設置する際、気をつけておくべきポイントについて解説しています。

タイプ選定、設計時の留意点

・ 測定流体の種類
・ 必要精度
・ プロセス条件の範囲
・ 流体性状
・ 使用環境、法規制
・ 配管条件
・ 保守性

流量計の各タイプの特徴選定基準についてはこちらの記事で解説していますので合わせてご一読下さい。

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測定流体の種類

気体(乾燥状態か湿り状態か)、液体、蒸気(飽和蒸気か過熱蒸気)か、二相流かを正確に把握する必要があります。

一般的に、二相流では流量を正確に測定することは難しいです。

流量測定の発生しやすいトラブルとして、ボイラから発生した飽和蒸気の流量を測定する際、流量計の設置位置がボイラよりも離れているために、放熱により温度が下がり、凝縮液が発生して二相流となったことで、流量が正確に測定できなくなるトラブルが挙げられます。

必要精度

流量計にはそれぞれの測定原理に応じて測定誤差があります。

そのため、流量計の選定においては、想定される誤差が許容されるかどうか、考慮する必要があります。

例えば、製品ラインの流量測定においては、その測定結果がプラント全体の性能の保証に関わるため、誤差は限りなく小さい方が望ましく、これらの配管ではコリオリ式が選定されることが多いです。

下表にそれぞれの流量計の測定誤差を記載しました。

それぞれの流量計の特徴についてはこちらの記事を参照下さい。

流量計の種類 測定対象 測定誤差
オリフィス ガス/蒸気/液体 測定流量の1~3%+差圧測定誤差
フローノズル ガス/蒸気/液体 測定流量の0.5~1%+差圧測定誤差
ベンチュリ ガス/蒸気/液体 測定流量の0.5~2%+差圧測定誤差
面積式 ガス/蒸気/液体 フルスケールの1~3%
容積式 ガス/液体 測定流量の0.2~1%
タービン式 (ガス)/液体 測定流量の0.2~0.5%
カルマン渦式 ガス/蒸気/液体 測定流量の0.5~1.5%
電磁式 液体 測定流量の0.5~1%
超音波式 ガス/蒸気/液体 フルスケールの1~3%
コリオリ式 ガス/液体 測定流量の0.2~0.5%
熱式 ガス/液体 測定流量の1~3%



プロセス条件の範囲

プラントの運転では、プラント設計時のに決定した温度、圧力条件(PFDやマテリアルバランスに記載する条件)と同一であることは、実際には少ないです。

例えば、配管を保温していても、日陰と日なた部分どの温度差や昼と夜の気温差により、配管内の流体温度に影響を与えることもあります。

また、配管長が長い場合は圧力損失によりプロセス流体の圧力が低下し、流量計前後での圧力が設計条件と異なる場合があります。このような場合、特にオリフィスやカルマン渦式流量計では誤差が大きくなります。

そのため、流量計の設置場所において、プロセス圧力がどの程度になるか計算しておくことは重要です。

 

また、プロセス流体の流量の変動範囲を明確にしておくことも重要です。

各流量計にはそれぞれレンジアビリティ(測定可能な最小流量と最大流量との比)が決まっています。通常は常用の流量は最大流量の50~60%で運転しますが、スタートアップ時やその他の特殊な条件で、最大流量と大きく流量が異なる流量を流すことが想定される場合、流量の変動幅がレンジアビリティの範囲内であることを確認しておくことが必要です。

下表に各流量計のレンジアビリティを記載しました。レンジアビリティの比が大きいほど幅広いレンジで流量を測定できることを示します。

流量計の種類 レンジアビリティ
オリフィス 1:5
フローノズル 1:5
ベンチュリ 1:5
面積式 1:10
容積式 1:20
タービン式 1:4
カルマン渦式 1:20
電磁式 1:10
超音波式 1:5
コリオリ式 1:20
熱式 1:50



流体性状

流体の腐食性の有無、固形物の有無、結晶化、付着性の有無は流量計の材料選定に大きく影響を与えます。

流量計は電磁式流量計のように測定管内に耐食材のテフロン、セラミックでライニングされた構造のものを除くと、接液部は耐食材で制作することになるため、耐食材によっては制作できないものもあります。

流量計の材質は基本的には配管材と同じものを選ぶことになりますが、配管が樹脂コーティングやガラスライニングされた配管である場合は、これに当てはまりません。このような場合は、使用を想定している材料の試験片をプロセス流体に浸漬して重量の変化の度合いや目視にて腐食性の有無を確認する必要があります。

固形物の混入は、流量計エレメントの摩耗の原因となり測定誤差が大きくなります。そのため、耐摩耗性の優れた材料を選定する必要があります。また、測定部の流速を遅くすることも摩耗を防ぐ有効な対策となります。

結晶化は、測定管での閉塞による測定誤差増大の原因となります。結晶化は配管内の温度低下、表面粗さ、フランジ、ガスケットの接合部の段差により促進されることもあるため、結晶化しやすい流体を扱う場合は、保温を徹底し、接合部の段差を解消しておく必要があります。

使用環境、法規制

流量計の使用環境は、屋内仕様と屋外仕様がありますが、ほとんどは屋外で使用されます。

例えば、JIS耐水形(IEC IP66)、防振形(IP 67)などで変換部や検出部が制作されているので、屋外の使用にも耐えることができます。

また、海岸部での使用を考慮する場合は対塩害塗装、高温多湿地域での使用を考慮する場合は熱帯塗装で対応します。

 

法規制を受ける用途といs,代表例としては計量法の適用を受ける水道メーターや、揮発油や石油類測定用、高圧ガス保安法の適用をうける高圧ガス認定品などの流量計があります。



配管条件

流量計の種類により、規定されている配管の直管長を満足する必要があります。

直管長は配管内の流れを整流するために必要な長さですが、必要直管長を満足しないと、測定誤差の原因となります。そのため、流量計の各タイプで規定されている必要直管長を遵守する必要があります。

電磁流量計渦流量計については、必要直管長を含め、配管への設置のポイントについてこちらの記事で解説しています。

配管への接続につては、危険性流体や高圧流体では、基本的にはフランジ接続が望ましいです。

それ以外は、軽量であるウエハ接続とすることがあります。

保守性

流量計には、検出部と変換部が一体になった一体形と分離した分離形があります。

一体形の場合は、表示変換部が壁や配管で遮蔽されないように、設置時に十分考慮する必要があります。

分離形では、検出器と変換器間は微小な電圧、電流を扱うために専用ケーブルがあるので、検出器と変換器との距離に注意する必要があります。

また、流量計の設置では、日常のメンテナンス、修理時に取り外すことを考えたスペースを確保しておくことも重要です。



まとめ

今回の記事では流量計のタイプ選定、設計時の留意点について解説しました。

プラント運転を安定に行うために、流量計でプロセス流体を正確に測定することは重要ですが、そのためには適切にタイプの選定、設計を行う必要があります。

タイプ選定、設計時の留意点

・ 測定流体の種類
・ 必要精度
・ プロセス条件の範囲
・ 流体性状
・ 使用環境、法規制
・ 配管条件
・ 保守性

適切に流量計のタイプを選定し、設計行うためには上記の留意点を考慮しておくことが重要です。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

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  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在120記事、月1.8万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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