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プラントで使用される保温材・断熱材の種類と特徴について解説

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回の記事ではプラントで使用される保温材・断熱材の種類と特徴について解説します。

プラント建設プロジェクトの初期段階では、機器、配管への保温材、断熱材の仕様を規定するために保温基準書を作成します。(プロジェクトスペックの一つ)

保温基準書は客先の要求事項、プラントの特性などを考慮して作成する必要がありますが、プラントでは以下のような保温材、断熱材が使用されます。

主な保温材・断熱材

・ ケイ酸カルシウム
・ パーライト
・ ロックウール
・ グラスウール
・ フォームグラス
・ 硬質ウレタンフォーム
・ ポリスチレンフォーム
・ フェノールフォーム

それぞれの保温材、断熱材の特徴については次項から解説します。プロセスエンジニアであれば、それぞれの特徴を知っておいて損はありません。

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ケイ酸カルシウム

出典:Johns Manville

ケイ酸カルシウムは、保温材、断熱材としては最も代表的なものです。

成分的には無機質で、珪藻土と石灰を主原料として、化学的に結合させて結晶化し、乾燥させた成形品となります。

 

熱伝導率は0.04 kcal/m・h・℃で保温材、断熱材の中では最も低いもののと一つで、使用温度範囲も広く、常温から650℃程度まで使用することができます。また、耐火被覆材として使用されるものは900℃まで使用可能なものもあります。

さらに難燃性で比重も小さく、比較的安価であることからも、幅広く使用されています。

ただし、ケイ酸カルシウムはその構造上、吸水性は大きく、低温用には適さないという短所もあります。

パーライト

出典:PERLINDUSTRIA

パーライトはケイ酸カルシウムと似た特徴を持ち、広く使用されている保温材、断熱材です。

成分的には、原料は真珠岩で、これを粉砕して微粒子化し、高温で焼成して発泡させたものがパーライトです。また、これに水ガラス系の結合剤を混合した成形したものも使用されています。

 

熱伝導率、比重、価格はケイ酸カルシウムと同程度で、難燃性ですが、強度はやや劣るという特徴があります。

パーライト自身は吸湿性ががありますが、撥水加工されたものは雨水にも適応することができます。

パーライトの特殊な使用方法としては、成形せずに粉体のまま保温、保冷剤として使用することです。例えばLNG、液体窒素、液体酸素などの極低温の液体を貯蔵する二重殻タンクの断熱用充填剤として使用されます。

ロックウール

出典:Indiamart

 

ロックウールは岩綿とも呼ばれ、安山岩などの天然の岩石を配合溶融し、圧縮空気を吹き付けて繊維したものです。

熱伝導率や価格はケイ酸カルシウムやパーライトと同程度で、難燃性なので、プラントで広く使用されています。

ケイ酸カルシウムやパーライトは、高温にになると収縮して隙間が生じることで、保温、断熱効果が薄れてしまいますが、ロックウールはその構造上、収縮を起こさないという特徴があります。

また、保温の被施工側が高温による熱膨張があるため、保温材はこの熱膨張を吸収するように施工しなければなりませんが、ロックウールは特別な施工をしなくても膨張を直接吸収することができます

しかし、成形品の継ぎ目の隙間が見えにくいため、施工時に十分密着させないと、断熱性能が小さくなってしまうので、施工時は十分に注意する必要があります。

また、ロックウールの繊維が皮膚に刺さってかぶれることもあるので、取り扱いには注意が必要です。



グラスウール

出典:Indiamart

グラスウールはロックウールとよく似た保温材、断熱材ですが、ロックウールよりも繊維が細いため、皮膚がかぶれるリスクは比較的小さいです。

グラスウールは種類が多く、目的に応じて多種多様の製品がありますが、非常に軽量で、熱伝導率も非常に小さいという特徴があります。また、価格も他の本剤、断熱材と比較して安価な傾向にあります。

 

グラスウールの使用温度は一般的には300℃程度と、あまり高温部には使用できませんが、極低温の保温材、断熱材として使用できるタイプもあります。

フォームグラス

出典:FOAMGLASS

フォームグラスは細胞上のガラスの独立気泡よりなる成形断熱材です。

その成分や構造上、非吸水性、非吸湿性、耐薬品性を有しており、さらに使用温度範囲も極低温から450℃程度まで幅広い温度範囲で使用することが出来ます。

ただし熱伝導率は0.045 kcal/m・h・℃で他のタイプと比べて大きいので、施工時の保温厚さが大きくなってしまう欠点もあります。

硬質ポリウレタンフォーム

出典:JDSteelPipe

ポリウレタンフォームは、イソシアネートとポリオールを触媒の存在下で混合、ウレタン樹脂の生成と同時に発泡させて施工させる合成樹脂断熱材です。

最大の特徴は熱伝導率が最も小さく、保温厚みを低減することが出来ることです。

ただし、施工時に化学反応を必要とするため、施工条件や施工者の熟練度合いで生成されるフォームの状態が変化し、施工が難しいという欠点があります。

また、使用温度範囲については、極低温でも使用可能なタイプもありますが、高温部には使用できません。

また、高価で燃焼すると有毒ガスが発生することから、プラントにおいては使用される頻度はそれほど多くはありません。



ポリスチレンフォーム

出典:Science History Insutitute

ポリスチレンフォームは、ポリスチレンを発泡させた保温材、断熱材です。一般的には発泡スチロールという名称で知られています。

硬質ポリウレタンフォームよりも寸法安定性が良く施工しやすい、熱伝導率も比較的小さい、吸水率も少ない、低温でも使用可能、安価という長所があることから、国内では過去のプラントではよく使用されていました。

しかし、耐熱性に乏しく、高音部に使用できない、石油系溶剤に溶解してしまうという欠点があるため、最近ではプラントの保温材としては、ほとんど使用されることはありません。

フェノールフォーム

出典:Made in China

フェノールフォームは、フェノール樹脂を加熱、発泡させた合成樹脂からなる保温材、断熱材です。

同じ合成樹脂フォームである、硬質ポリスチレンフォームやポリスチレンフォームと比較して最も難燃性に優れています

熱伝導率も硬質ポリスチレンフォームに次いで小さく、使用温度も100-120℃程度と、比較的高温部にも使用可能で、極低温でも使用可能です。

高価というデメリットがあるものの、上記のようなメリットがあることから、LNGタンクから重油タンク、原油タンクの保温材として広く使用されています。



まとめ

今回の記事ではプラントで使用される保温材・断熱材の種類と特徴について解説しました。

プラント建設プロジェクトの初期段階では、機器、配管への保温材、断熱材の仕様を規定するために保温基準書(プロジェクトスペックの一つ)を作成しますが、客先の要求事項、プラントの特性などを考慮して作成されます。

主な保温材・断熱材

・ ケイ酸カルシウム
・ パーライト
・ ロックウール
・ グラスウール
・ フォームグラス
・ 硬質ウレタンフォーム
・ ポリスチレンフォーム
・ フェノールフォーム

プロセスエンジニアであれば、それぞれの特徴を知っておいて損はありません。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。

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  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在120記事、月1.8万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有/投資による資産形成もブログで報告。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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