プラントエンジニアリング 技術情報 配管

【配管】プラントの配管で使用されるボルト, ナットの種類と特徴について解説

今回の記事ではプラントの配管で使用されるボルト, ナットの種類と特徴について解説します。

プラントの新設、改造プロジェクトで作成する配管材料基準書では、適用する流体や圧力、温度区分に応じて配管クラスが作成されます。配管クラスでは配管そのものでけではなく、バルブの仕様やレデューサーやティーなどの配管部品の他、フランジ締結用などでボルト、ナットの仕様についても規定する必要があります。

本記事では配管材料基準書で良く使用されるボルト、ナットの種類と特徴について解説していきます。

ボルトの種類

ボルトはスタッドボルト(Stud Bolt)マシンボルト(Machine Bolt)の2種類が適用されます。

スタッドボルトは、マシンボルトに比べて以下のようなメリットがあります。

スタッドボルトのメリット

・ マシンボルトよりも長尺物の加工がし易い
・ 締め幅を調整しやすい
・ 高温膨張時の増し締め(ホットボルティング)がし易い
・ ボルトの形状が均一なので横方向の引っ張りに強い

そのため、配管材料基準においては、特に指定のない限りスタッドボルトを使用することが一般的になっています。

一方、マシンボルトは取り付け、取り外しがし易いというメリットがあるので、常温、低圧のUtility配管に対しては、マシンボルトを使用することもあります。(漏れても危険性が小さく、施工性優先の観点で)

実際に、ASME B16.5(JPI-7S-15)では原則として全ねじ(Full Thread)のスタッドボルトの使用が規定されているものの、圧力-温度レーティングのクラス150、クラス300の比較的低圧の区分においてはマシンボルトの使用も認められています

ナットの種類

ナットはASME B16.5(JPI-7S-15)に従い、ASME B18.2.2に 規定されるHeavy Hex Nutとすることが一般的です。

ただし、マシンボルト用ナットのねじの呼びが3/4-10UNC以 上の場合は、炭素鋼に限りHex Nutを 用いることが許容されます。

ボルト/ナットの材料の種類

ボルト、ナットの材料はASME B16.5 Table 1B(JPI-7S-15 付属書I)に従って選定されます。性能と経済性を考慮して、通常は上記の表で示した材料が選定されます。

ねじの基準

ねじはASME B16.5(JPI-7S-15)に従い、ねじのピッチ及び等級 (仕上げ)を指定します。

原則としてユニファイねじが適用され、ボルトのサイズが1"以下の場合はASME B1.1に定義されている、UNC/Unined Coarse Seriesが適用され、それより太いボルトの場合は8UN(8-Thread Series)が適用されます。

等級は、ASME B1.1に 定義されているClass2A(ボルト)やClass 2B(ナット)が適用されます。

また、国内ではメートルねじが適用されるケースも多く、その場合はJPI-7S-15の 付属書Iに従って適用されます。

留意点

ボルトのサイズや長さは、使用されるフランジ、ガスケットの厚さとナットの高さに合わせて決定されます。

ただし、フランジの間にバルブやスペーサーなどが挟み込まれる場合には、挟み込まれる部品の長さの分だけ長いボルトが必要となるので、ボルトの長さには注意が必要です。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在160記事、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

-プラントエンジニアリング, 技術情報, 配管

© 2025 プラントエンジニアのおどりば Powered by AFFINGER5