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プラントの照明最適化について解説~防爆照明の省エネと安全性向上~

今回の記事ではプラントの照明最適化、特に防爆照明の省エネと安全性向上について解説します。

近年では国内外においても、化学、エネルギープラントの省エネルギーへの取り組みはかつてないほど切実な課題です

プラントのプロセス最適化による省エネルギー化はもちろん重要ですが、プラント内に膨大な数が設置されてある照明設備の改善も、省エネルギーに大きく貢献できる可能性を秘めています。

また、建設から数十年以上経過し、老朽化したプラントも多く、安全性確保の観点からも照明設備の見直しが急務となっています。

そこで、本記事では、プラントに不可欠な防爆照明について、「省エネ」と「安全性」の両立を目指した設備の最適化手法と、次世代光源として注目されるLED照明の防爆分野への適用について解説します。

照明設備の省エネの方向性

一般的に建築物におけるエネルギー消費のうち、照明設備が占める割合はオフィスビルで20%、一般家庭でも16%程度と言われています。この比率からわかるように、照明設備の省エネは工場全体の省エネに大きく寄与する可能性があります

照明設備の省エネにおける基本は、エネルギー消費効率に優れたランプやシステムを採用することです。

プラントの照明においては、具体的に以下の施策が有効とされています。

照明設備改善の施策

・蛍光灯の更新白熱灯器具やラピッド蛍光灯器具を、高効率なHf蛍光灯器具やLED灯器具へ更新する
・水銀灯の更新:水銀灯器具を、セラミックメタルハライド灯器具やLED灯器具へ更新する
・誘導灯の更新:従来の誘導灯器具を、高輝度誘導灯化器具へ更新する

ランプの発光効率は年々向上しており、老朽化した設備を最新のものに更新するだけで、大きな省エネ効果が期待できます。

白色LEDの劇的な進化

現在、照明市場で急速に普及が進んでいるのがLED照明です。

光源となる白色LEDは、従来の白熱電球(熱放射)や蛍光灯(ルミネセンス)とは全く異なる、半導体を用いた光源であり、以下のような優れた特長を持っています

LED照明の特徴

・長寿命、高耐久:発光部にフィラメントがないため振動に強く、寿命が長い
・熱への影響が少ない:
照明光に熱放射が含まれないため、照射物の熱劣化を防げる
・配光制御が容易:
発光面積が非常に小さいため、レンズとの組み合わせで配光をコントロールしやすい

さらに特筆すべきは、発光効率の著しい進化です。

LED照明が市場投入された初期の発光効率は5Lm/W程度でしたが、近年では100Lm/Wを超える製品も多く登場しており、他の光源からの置き換えが加速しています。

そのため、白色LEDは、照明のあり方を根本から変える可能性を秘めた次世代の光源と言えます。

照明設備の安全性確保と老朽化対策

プラントでは、省エネだけでなく、安全性の確保も設備更新の重要な目的です。

特に防爆照明は、老朽化による性能低下が爆発火災事故に直結する恐れがあるため、定期的な保守と更新が不可欠です。

化学、エネルギープラントの多くは海岸沿いの工業地帯に位置しており、塩害による腐食リスクに常に晒されています。点検を怠ると腐食が進行し、器具の強度が低下して落下などの危険な状態を招くことがあります。

そのため、外観に異常がなくても、内部のパッキンや配線が劣化しているケースもあるため、定期的な点検が重要です

一般的に照明器具の性能限界は累積点灯時間40,000時間と言われており、30,000時間を超えると絶縁物の故障率が増加します

事故データでも経年劣化による事故が多数報告されていることから、設置後10年を目処に重点点検を実施し、更新計画を立てることが推奨されています。

防爆形LED灯器具の導入

一般照明市場と同様に、防爆照明の分野でも、省エネ性能とメンテナンスコスト削減(ランプ交換頻度の低減)の観点から、LED照明の導入が進んでいます。

現在実用化されている主な防爆形LED灯器具とその導入効果の一例を紹介します。

安全増防爆形LED灯器具(ベース照明)

工場内の広いエリアで使われているラピッド式蛍光灯などの代替として導入が進んでいます

導入効果: 従来の高効率(Hf)蛍光灯器具と比較して、同じ明るさで器具台数を約20%削減、消費電力を約30%低減できます 。さらに電源装置の熱特性などを工夫することで、モデルによっては約60,000時間の長寿命を実現し、交換費用を削減します

安全増防爆形LED灯器具(局部照明)

複雑な装置周りなどの局部照明として使われていた白熱電球(100〜200W)や環形蛍光灯(60W程度)の代替です。

導入効果: 200W白熱灯器具と比較して、明るさが10%向上しつつ、消費電力を約80%削減できることが期待されます。

耐圧防爆形LED透視灯

槽内の状況確認に使われる透視灯は、従来白熱電球が多く使われていましたが、撹拌の振動によるランプ切れが課題でした

導入効果: LED化により振動によるランプ切れの心配がなくなり、メンテナンスコストを削減できます。100W白熱灯と比較して、明るさが約30%向上し、消費電力を約80%削減できることが期待されます。

耐圧防爆形LEDハンディライト

LEDの「小型で指向性が高い」という特徴を活かした携帯用照明です。

導入効果: 従来の豆電球式懐中電灯に比べて小型・軽量で扱いやすく、使用中のランプ切れリスクがないため、作業時の安全性が向上します。

さいごに:選定と保守のポイント

LEDは照明設備の省エネにおけるキーテクノロジーとなりつつあり、多くの製品が市場に出回っています。しかし、中には安全性や基本性能に疑問が残る製品も存在します

特に防爆照明は、高い省エネ性能だけでなく、確実な防爆性能と、過酷な屋外環境に耐えうる堅牢性が求められます 。導入にあたっては、これらの要件を満たしているかを十分に検討することが重要です。

また、防爆電気設備の保守点検は専門知識を持つ有資格者が行う必要があります。

近年は保守点検ができる技術者が減少傾向にありますが、第三者機関による「セーフティベーシックアセッサ(防爆電気機器安全分野)」などの資格制度を活用し、適切な保守体制を維持することが推奨されます

照明設備の最適化は、単なるコスト削減にとどまらず、プラントの安全性と持続可能性を高める重要な投資です。老朽化設備の更新や省エネ対策として、防爆LED照明の導入を検討することで、プラントの省エネルギーに貢献することが可能です。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 技術情報を200記事以上執筆、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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