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【配管】配管の有効相当長はどう決める?プラント設計初期の圧力損失計算の「Hopperの方法」を解説

今回の記事ではプラント設計の初期に圧力損失計算を行う際に使用されるHopperの方法について解説します。

プラント設計の見積時や受注直後の基本設計において、まだ機器配置や詳細な配管ルートが決まっていない段階で、ポンプの定格決定や計装品見積のために先行してハイドロリックス計算(配管の圧力損失計算)を行わなければならない場面は頻繁にあります。

配管図面がないこの初期段階で、直管長にエルボやバルブなどの抵抗を足し合わせた「有効相当長」をどのように設定すればよいのか、頭を悩ませた経験はないでしょうか?

今回は、従来の曖昧な経験値に頼らず、理論的根拠をもって相当長を推定できる「Hopperの方法」について解説します。

プラント設計初期段階の相当長

配管の圧力損失は、配管の長さに比例します。

ただし、実際の配管には直管のほかにエルボ、ティー、レジューサー、バルブなどがあり、これらも流れの抵抗になります。

そこで、これらの抵抗を「同じ圧力損失を生じる直管の長さ」に置き換えて、直管長に足し合わせたものを有効相当長 Le と呼びます。

個々の部品の抵抗は、配管径 D の何倍の直管に相当するか(Le/D)で表すのが一般的です。

配管設計が進んで配管図(アイソメ図など)ができていれば、エルボやバルブの数を数えて正確に計算できます。

しかし、見積時や受注後の基本設計では、プロット(機器配置)が確定する前に、ポンプや計装品の見積のために先行してハイドロリックス計算をしなければなりません。

そのように基礎データが確定していない段階では、直管長(水平 + 垂直)+ エルボ、バルブなどフィッティング類を合計した有効相当長(Le/D)をどう決めるかが問題となります。

通常の設計では、次の例のように、ある範囲の特定値が採用されることが多いです。

配管の区分 有効相当長(一例)
オンサイト(複雑) 300 m
オンサイト(シンプル) 200 m
オフサイト(ユーティリティも含む) 100 m

しかし、これらは経験値と考えられ、根拠が不明という問題があります。

そこで本記事ではでは、その根拠づけの一つとして、数多くのプラントで実証されているという Hopper の方法を紹介しています。

Hopperの方法

Hopperの方法は、有効相当長を配管径 D と、系の複雑さを表す Fc ファクターで決めるもので、最終的に次の簡単な式にまとまります。

Hopperの方法

$$\frac{L_e}{L} = 1 + 2.16\left(D^{1/2} + 0.1\right)F_c$$

L:直管長(水平 + 垂直)[m]
Le:有効相当長 [m]
D:配管径 [m]
Fc:系の複雑さを示すファクター

1) Hopper, W. B., "Predict fitting for pipng systems", Chem. Eng., May 17, p.127–129 (1982)

2) Grant S. Brown, "How to predict Pressure Drop before designing the piping", Chem. Eng., May 16, p.85–86 (1987)

Fc ファクターは、配管系が標準からどれだけ偏っているか(複雑さ)を表す係数で、担当するエンジニアの経験によって定まるものです。

代表的な Fc の値は次のようにとります。

Fc 配管の種類
4 極めて複雑な配管マニフォールド配管
2 標準的なマニフォールド配管
1 標準的な配管
1/2 直管が長い配管
1/4 ユーティリティ配管および外部へのオフサイト配管

Fc が大きいほど、直管 1 m あたりに含まれるフィッティング類やバルブ類の数が多くなります。

多くの機器を集合管(マニフォールド)でつなぐ配管では曲がりや分岐が多いので Fc は大きくなり、ラックを長く走るオフサイト配管では直管が大部分を占めるので Fc は小さくなります。

例えば、標準的なオンサイト配管(Fc = 1)では Le/L は 2 倍程度となり、3〜4 倍をとるのは過大であることがわかります。

Hopperの式の導出

ここでは前項で紹介したHopperの方法(Hopperの式)の導出を行います。

Hopperの方法は、いかに配管のフィッティング個数やバルブ個数を正しく推測するか、を念頭において導かれた手法です。

フィッティング類の個数 Nfと相当長

バルブ以外のフィッティング類の個数は、Hopper によると、配管 1 m 当たり次のようになります。

$$N_f = \frac{0.182\,F_c}{D^{1/2}}\qquad[\mathrm{pcs/m}]$$

Nf:バルブ以外のフィッティング類の個数
D:配管径 [m]
Fc:系の複雑さを示すファクター

配管径 D が大きいほど 1 m あたりの個数は少なくなります。

太い配管は一般に長い距離をまっすぐ走ることが多く、細い配管ほど機器まわりで細かく曲がる、という実態を表していると考えられます。

フィッティング類の加重平均相当長

次に、下表のようにフィッティング類の割合を想定して、加重平均の相当長を求めます。

なお、ここでティーの半分は主管(直進方向)、残り半分は枝管(分岐方向)と仮定しています。

フィッティング Le/D 推定割合 加重平均 Le/D
フランジ 0 0.45 0
90° エルボ 16 0.25 4.0
ティー 40 0.15 6.0
レジューサー 15 0.10 1.5
45° エルボ 16 0.025 0.4
プラグ、キャップ 0 0.025 0
計 1.00 11.9

最も数が多いのはフランジ(45 %)ですが、相当長は 0 なので寄与しません。

加重平均に最も大きく寄与しているのはティー(6.0)と 90° エルボ(4.0)です。

単位長さ当たりのバルブ類個数 Nv と相当長

同様にして、Hopper に従い、バルブ類の 1 m 当たりの個数 Nv を次式で求めます。

$$N_v = \frac{0.0075\,F_c}{D}\qquad[\mathrm{pcs/m}]$$

Nv:バルブ類の個数
D:配管径 [m]
Fc:系の複雑さを示すファクター

想定する標準的なバルブ類の割合と有効相当長 Le/D を計算すると以下の通りです。

バルブのタイプ Le/D 推定割合 加重平均 Le/D
ブロック弁 20 0.90 18
チェッキ弁 50 0.08 4
グローブ弁(全開) 340 0.02 6.8
計 1.00 28.8

グローブ弁は割合がわずか 2 % ですが、Le/D が 340 と非常に大きいため、加重平均には 6.8 も寄与しています。

ブロック弁は仕切弁・ボール弁などの遮断用の弁を指していると考えられます。

系全体の有効相当長 Le/D

以上をまとめると、直管 1 m あたりの有効相当長(Le/D で表したもの)は、直管そのものの分、フィッティング類の分(個数 × 加重平均 Le/D)、バルブ類の分(個数 × 加重平均 Le/D)の合計になります。

$$\frac{(L_e/D)}{L} = \frac{1}{D} + 11.9\left(\frac{0.182\,F_c}{D^{1/2}}\right) + 28.8\left(\frac{0.0075\,F_c}{D}\right)$$

なお、右辺第1項の 1/D は直管長部分を指しています(直管 1 m は Le/D で表すと 1/D)。

両辺に D を掛けると、次のようになります。

$$\frac{L_e}{L} = 1 + 2.166\,F_c\,D^{1/2} + 0.216\,F_c$$

11.9 × 0.182 = 2.166 ≒ 2.16、28.8 × 0.0075 = 0.216 = 2.16 × 0.1 なので、2.16 でくくると、最終的に、冒頭で紹介したHopperの式(Hopperの方法)となります。

$$\frac{L_e}{L} = 1 + 2.16\left(D^{1/2} + 0.1\right)F_c$$

L:直管長(水平 + 垂直)[m]
Le:有効相当長 [m]
D:配管径 [m]
Fc:系の複雑さを示すファクター

Hopperの式の考察、留意点

別途考慮するべき圧力損失

バルブ類のうち調節弁の圧損は別途としているので、ハイドロリックス計算の際は、例えば上記で求めた圧損の半分などから調節弁の圧損を求めて加算する必要があります。

また、装置の出入りの圧損も別途加算する必要があります。

調節弁や機器の圧損についてはこちらの記事を参照ください。

プロセスシミュレーションのモデリングにおける各機器の圧力損失の設定方法

Fc と配管径の影響

Fc を変数として、相当長と実管長の比Le/L と配管径の影響をみると、下図のようになります。

これから、標準的なオンサイト配管は Fc = 1 なので、Le/L は 2 倍程度とわかります。

一般的に3 から 4 倍程度を見込んでおくことも多いですが、相当長を過大に見込むと、ポンプの揚程や配管・機器の設計圧力が必要以上に大きくなり、コスト高につながる可能性があります。

いずれにせよ、プラント設計時に使用されたFcと実際のFc を比較してフィードバックすることにより、精度の高い設計が期待できます。

計算例

標準的なオンサイトプラント(Fc = 1)で、直管長さを 200 m として、代表径が 2B(= 0.05 m)のとき、有効相当長 Le を求めます。

Hopperの方法より、

$$\frac{L_e}{200} = 1 + 2.16\left(\sqrt{0.05} + 0.1\right)\times1 = 1 + 2.16\times0.3236 = 1.70$$

となります。

したがって、

$$L_e = 200\times1.7 = 340\ \mathrm{m}$$

となり、有効相当長は340mを計算することができました。

補足:例題の内訳

この条件でフィッティング、バルブ個数を計算すると、直管 1 m あたりのフィッティング類は約 0.81 個、バルブ類は約 0.15 個となります(下式)。

直管 200 m では、フィッティング類が約 160 個、バルブ類が約 30 個に相当します。

相当長の増分 140 m のうち、フィッティング類の分は 200 × 2.166 × 0.2236 ≒ 97 m、バルブ類の分は 200 × 0.216 ≒ 43 m です。

$$N_f = \frac{0.182}{\sqrt{0.05}} = 0.81\ \mathrm{pcs/m},\qquad N_v = \frac{0.0075}{0.05} = 0.15\ \mathrm{pcs/m}$$

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 技術情報を200記事以上執筆、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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