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プラント用急速ろ過設備の基礎知識と計画・設計・トラブル対応マニュアル

今回の記事ではプラントの急速ろ過設備の基礎知識と計画・設計・トラブル対応について解説します。

プラントの水処理設備において、不純物を取り除く「ろ過(Filtration)」は非常に重要なプロセスです。

しかし、一口にろ過と言っても、重力式や圧力式、ろ材の選定、逆洗の計算など、その設計には多くの知識が必要です。

本記事では、近年普及している膜ろ過(MF/UFなど)ではなく、砂による急速ろ過についてろ過設備の基本から詳細設計の手法、実際のトラブル事例までを徹底的に解説します。

ろ過方式の種類と選定

ろ過器は水の流し方によって、重力ろ過器(Gravity Filter)圧力ろ過器(Pressure Filter)の大きく2種類に分けられます。

項目 重力ろ過器 圧力ろ過器
構造 開放型の水槽(自由水面あり)。コンクリート製が一般的 鋼板製の密閉容器(圧力容器)。ポンプ等で加圧
ろ過流速 100〜200 m/日 200〜400 m/日
最大差圧 約 5 m 10 m でも問題なし(高差圧でも運転可能)
特徴 1池の面積を大きく取れる。ろ層の監視が容易 高流速・高差圧が取れる。藻類の発生リスクが少ない
推奨される前処理 沈殿池の後段(無圧のため、成長したフロックをポンプ撹拌で壊さない) 凝集ろ過(ライン中で凝集剤を入れ、加圧状態で送水するため)

使い分けの考え方:

凝集ろ過 → 圧力ろ過。原水にライン注入した凝集剤をスタティックミキサで混合し、加圧状態で送るため。濁度が沈殿除去されず差圧が上昇しやすいことにも適する。

沈殿池後段 → 重力ろ過。沈殿後水は無圧で、圧力ろ過器へ送るポンプ搬送は緩速攪拌で成長させたフロックを壊すおそれがあり好ましくない。

ろ材の選定と設計

ろ過性能を決める「砂(メディア)」の構成には、単層、複層、多層の3種類があります。

単層ろ材(Single Media)

粒径0.5 mm程度の珪砂のみを使用します。有効径0.45〜0.70 mm、均等係数1.70以下。標準的なろ過速度は120〜150 m/dayです。

 JWWA A103-1に準拠すると、仕様は以下の通りです。

項目 規格値
逆洗濁度 30 度以下
密度 2.57〜2.67 g/cm³
強熱減量 0.75% 以下
摩滅率 3.0% 以下
塩酸可溶率 3.5% 以下
有効径(10%通過径) 0.45〜0.70 mm
均等係数(60%径/10%径) 1.70 以下
粒径範囲 最大2.0mm以下・最小0.3mm以上(逸脱は1%以下)
砂層厚さ 60〜70 cm(標準)
ろ過速度 120〜150 m/日(一般的)

ろ層厚とろ材粒径の関係(参考)

経験式 L / D ≧ 800(L:ろ層厚さ[m]、D:調和平均径[m])を満たせば概ね安全とされています。

複層ろ材(Dual Media)

珪砂の上に、比重の軽い「アンスラサイト(無煙炭)」を載せたものです。上層で大きなゴミ、下層で小さなゴミを取る理想的な構成に近づき、240 m/day以下のろ過速度に対応します。

 標準的な2層ろ過の構成は以下の通りです。(単位:mm)

ケース アンスラサイトろ層厚 アンスラサイト有効径 珪砂ろ層厚 珪砂有効径/総厚
ケース1 200〜300 0.9〜1.4 300〜400 0.45〜0.6 / 600
ケース2 200〜400 0.9〜1.4 300〜500 0.45〜0.6 / 700
ケース3 300〜500 0.9〜1.4 300〜500 0.45〜0.6 / 800
多層ろ材(Mixed Media / 3層)

複層ろ材の下に、さらに比重が重く細かい「ガーネット」を加えた構成です。

上から「粗 → 中 → 細」という理想的な逆粒度構成を実現します。

全層で濁質を捕捉できるため、300 m/dayという高速ろ過が可能です
(※R高水質要求時は240 m/day以下を推奨)

多層ろ材の標準構成例(総層厚 800 mm)としては以下の通りです。

構成 ろ材名 層厚 有効径 / 特徴
上層 アンスラサイト 420 mm 1.0〜1.1 mm(比重1.55以上)
中層 珪砂 230 mm ASTM 10#〜40# 級配
下層 ガーネット 110 mm ASTM 30#〜70# 級配(比重4.0以上)

支持材の選定と設計

支持層(砂利層)は、ろ材が下部集水装置を通って流出しないよう支持するとともに、逆流洗浄時に噴出洗浄水を均等分散させる役割を持ちます。

粗粒を下層・細粒を上層とし、順序良く敷きならす必要があります。

JWWA A103-4に準拠すると、仕様は以下の通りです。

下部集水装置 最小径 (mm) 最大径 (mm) 層数 全層厚 (mm) 層構成の例
ストレーナ形/ホイラー形 2 50 4層以上 300〜500 2-5/5-10/10-15/15-20mm を各100〜150mm
多孔管形 2 25 4層以上 500 2-5/5-9/9-16/16-25mm
有孔ブロック形 2 20 4層 200 2-3.5/3.5-7/7-13/13-20mm 各50mm

3層ろ過の支持材

3層ろ材はガーネットを含むため、より小さい支持材が必要となります。

逆洗時に流動させないため、比重の大きな支持ガーネットを用います。

ろ材と支持材の構成例を以下に示します。

ろ材構成

ろ材 密度 有効径 (mm) 均等係数 層厚 (mm)
アンスラサイト 1.45 1.30 1.40 420
珪砂 2.6 0.45 1.35 230
ガーネット 4.0 0.25 1.40 110

支持材構成

支持材 密度 粒径 (mm) 層厚 (mm)
支持ガーネット2 4 0.84〜1.68 40
支持ガーネット1 4 1.68〜4.0 40
支持砂利3 2.6 5〜10 75
支持砂利2 2.6 10〜20 75
支持砂利1 2.6 20〜40 810

下部集水装置(Underdrain System)

ろ過水を集め、逆洗水を均等に吹き出すための装置です。以下の種類があります

下部集水装置は、ろ材の支持・ろ過水の集水・逆流洗浄水の均等配分の機能を併せ持ちます。

洗浄が平面的に不均一だと、よく洗浄された部分のみを水が通り、ろ過速度の極端に速い部分やろ層の部分的閉塞が生じてしまいます。

そのため、洗浄の均一性はろ過器機能の継続上、非常に重要です。

主な下部集水装置

・有孔ブロック形
・ストレーナ形
・多孔管形
・多孔板形
・ホイラー形

有孔ブロック形

分散室・送水室を持つ成型ブロックを並べます。

主な材質は陶磁器やプラスチックで、ブロックが軽く支柱不要で施工が容易という特徴があります。

ストレーナ形

底板上の管または支持板にストレーナを取付け、ろ過水と逆洗水を出し入れします。

最下孔近くまでコンクリートを充填し滞留部をなくします。

多孔管形

通水孔を下向きに開けた管を底板上の支台に設置します。

管長が長すぎると逆洗時に管内水圧が不均衡になることに注意が必要です。

また、洗浄時に振動しやすく支台に十分定着が必要です。

多孔板形

径数mmの粒状物を菓子の「おこし」状に成形した板です。

砂利層を省略でき構造を浅くできまずが、水質により目詰まりを起こすことがあるため注意が必要です。

ホイラー形

過去に急速ろ過器で多用されてタイプで、底板上の支柱にコンクリート成形品を緊結し、成形品と底板間を圧力水室とします。

倒角錐形凹部にセラミックボールを配置します。

ろ過流量調節

定速ろ過方式定圧ろ過方式(減衰ろ過)があります。

定速ろ過方式(Constant Rate)

ろ層閉塞の進行に伴い、上流側水位を高めるか下流側流量制御系の抵抗を下げる(バルブを開く)ことでろ層にかかる圧力差を増し、一定のろ過流量を保つ方式です。

一般に広く使用される方式です。

流量制御方式

流出側に計量装置と流量調節装置を設置。初期は調節装置で大きな損失水頭を発生させ流量を抑制、閉塞進行に応じバルブを開きます。

砂面〜流入渠水位の高低差を小さくできるが、装置が複雑・高損失水頭時の負圧で水質悪化のおそれがあることに注意が必要です。

水位制御方式

ろ過器水位を検知し水量調節機構へ伝達して定速を維持する方式です。

比較的浅い砂面上水深にできるが機構が複雑です。

自然平衡方式

流出側の砂面より高い位置に堰を設け、砂面上水深が徐々に高まることで通水量減少を防止する方式です。

調節装置不要で、負圧発生の危険が少なく水質保持に優れるというメリットがありますが、槽深が深くなってしまうデメリットもあります。

定圧ろ過方式(Constant Pressure / Declining Rate)

ろ層にかかる圧力差を一定にする方式で、閉塞に伴いろ過流量は徐々に減少する特徴があります。

一例として減衰ろ過方式がありますが、沈殿池からの流入水量をそのままろ過し、ろ過水量減少に伴いろ過器内水位が自然上昇、水位が一定以上に上がるとろ槽を洗浄して能力を回復させる方式です。

ただし、減衰ろ過方式は、多数のろ過器を持つ場合にのみ採用可能です。メリットとデメリットは以下の通りです。

メリット:機構が単純・必要水頭が少ない・自然の流入減少にゆだねるため濁質漏洩の危険が少ない。

デメリット:ろ過器数が少ないと流量管理が難しく、休止・復帰に伴うろ過速度や水位の変動が大きい。

洗浄方式(Washing)

一般的に、ろ層の洗浄は 逆流洗浄+表面洗浄 を標準とし、必要に応じ 空気洗浄 を組み合わせます。

表面洗浄(Surface Wash)

表層部には多くの濁質が抑留され、逆流洗浄のみでは泥状物質が蓄積して濁質抑留容量を減少させ、マッドボール形成に至ることがあります。

表層部に圧力水を噴射し、水流エネルギーで泥状層を破砕して洗浄効果を高める方式です。

逆流洗浄(Backwash)

逆流洗浄は2段階からなる洗浄方式です。

第1段階

逆洗水でろ層を流動状態とし、粒子相互の衝突・摩擦と水流のせん断力で付着濁質を剥離・分離します。

付着濁質の剥離・分離はろ層を20〜30%膨張させた時に最も有効とされています。

第2段階

分離した濁質を速やかに排出します。

最適逆流洗浄速度の計算

洗浄速度を増すほど効果は向上するが、ある速度を超えると粒子間距離が増して相互衝突摩擦が減り、洗浄効果はかえって減少してしまいます。

ろ材相互の衝突摩擦回数が最も多い点が最適洗浄であるとすると、最適逆流洗浄速度はろ材
粒子の沈降速度によって変わり、次のように表されます。

$$Ub = \frac{1}{10} Ut$$

$$Ut = \biggl(\frac{4}{225} × \biggl(\frac{(ρs−ρF)² g²}{ρF·μ}\biggl)^{\frac{1}{3}} × D$$

Ub:最適逆流洗浄速度 [m/s]
Ut:ろ材の単一沈降速度 [m/s]
ρs:ろ材真比重 [kg/m3]
ρF:逆洗水比重 [kg/m3]
μ:水の粘性係数 [kg/m s]
g:重力加速度 [m/s2]
D:ろ材調和平均径 [m]

この式を用いて水温20℃の砂(ρs=2,630 kg/m³)をろ材としたときの最適洗浄速度は、粒径0.6mmで0.6m/min、0.7mmで0.7m/minとなります。

そのため、砂ろ過であれば最適逆洗速度は、簡易的に砂の粒径(mm)の数値をそのまま m/分 にした値と考えることが可能です。

温度補正を行う場合は以下のように計算することが可能です。

$$Ub(t) = Ub × \biggl(\frac{μ_{20}}{μ_{t}}\biggl)^{\frac{1}{3}}$$

Ub(t):温度t[℃]における最適逆流洗浄速度 [m/s]
Ub:最適逆流洗浄速度 [m/s]
μ20:20℃における水の粘性係数 [kg/m s]
μt:t℃における水の粘性係数 [kg/m s]

ろ層膨張率

ろ層の膨張率Eは以下の通りで計算することができます。

$$E = \frac{(Ub/Ut)^{0.22} − ε₀ }{1−(Ub/Ut)^{0.22}}$$

E:ろ層の膨張率
Ub:最適逆流洗浄速度 [m/s]
Ut:ろ材の単一沈降速度 [m/s]
ε0:静止ろ層の空隙率

最適膨張率 Em は、Ub/Ut = 1/10 を代入した静止ろ層の空隙率 ε₀ で決まり、それぞれの製紙ろ過空隙率ε0と最適膨張率Emとの関係は以下の通りです。

静止ろ層空隙率 ε₀ 最適膨張率 Em
0.48 0.30
0.50 0.25
0.52 0.20

空気洗浄(Air Scour)

ろ層下部から空気を吹き込み、付着濁質を剥離する方式です。

逆流洗浄と併用し、通常は表面洗浄は行わないため、逆流洗浄の水消費量削減が期待できます。

ただし、空気は水に比べ粘性が小さくわずかな圧力差でも噴出量が大きくばらつくため、空気を均等分散できる下部集水装置の選定が重要です。

圧力ろ過装置の設計手法

具体的な設計計算例を解説します。

基本設計事項

ろ過装置の設計にあたって確認しておく項目は以下の通りです。

確認項目 内容
水量 m³/日、m³/分、ピーク流量を確認
水質 原水/処理目標:TSS・濁度・BOD 等。廃水の場合は水温にも注意
予想持続時間 テスト等で確認。類似データで概略予想
運転方法 通常は全自動。半自動・手動の場合もある
その他 洗浄排水の放流先の要求事項、電力

計画上の要点

ろ過装置を計画する際の要点は以下の通りです。

ろ過器数量

なるべく複数とし、洗浄時の流量急変を小さくすることが望ましいです。

また、洗浄予備1基を持たせることが理想的です。

原水槽

ポンプピットとして逆洗中の水位上昇を吸収する容量を考慮します。

原水槽水位によるろ過水量比例制御方式を選択する場合、ろ過器に相当の余裕を見込む必要があります。

洗浄水槽(逆洗水槽)

容量は洗浄水量の10分間分以上もたせることが一般的です。

また、ろ過水槽と兼用しオーバーフロー流出させるようにします。

洗浄排水槽

直接放流できない場合は貯槽を設置します。

洗浄水量と同量を見込み、排泥・集泥方法を考慮します。

圧力ろ過器の設計手順

(1) 必要ろ過面積

$$A = \frac{Q}{ V}

A:必要ろ過面積[m²]
Q:処理水量[m³/日]
V:ろ過速度[m/日]

ろ過速度は V=300 m/日程度が標準ですが。低濁度が求められる場合は V=240 m/日程度が推奨されます。

一方、原水が工業用水で高分子助剤使用時は V=480〜600 m/日 程度に大きくすることも可能です。ただし逆洗サイクルは短くなることに注意が必要です。

(2) 形状の選択
形状 選定の目安
立型 鏡板寸法を目安に 1基あたり 7.0 m²以下。径3m程度まで。ろ材表面〜頂部は 700〜900mm。バッフルプレートで洗浄排水を均一化、最下部にドレン。
横型 径2.4mφ・3.0mφの2種。2.4mφは20m²程度まで、3.0mφは30m²程度まで。運搬を要考慮。
(3) 集水装置の計算

逆洗速度 V=0.7 m³/m²/分を標準とし、逆洗水量 Q=V·A を求めます。

<オリフィス数量の決定>

まずはオリフィス数量を決定します。

$$q = 60·k·a·\sqrt{2gH}$$

$$n = \frac{Q}{q}$$

q:オリフィス一個あたりの流量 [m3/min]
Q:合計流量 [m3/min]
a:オリフィス面積 [m2](オリフィス径は5~8mm程度を仮定
k:オリフィス係数(k=0.7と仮定)
h:損失水頭 [m] (2.4~3.0m に仮定)
n:必要オリフィス数

全オリフィス断面積 na [m2] を計算し、以下の判定式からろ過面積A [m2]を計算します。

$$0.0015A < na < 0.005A$$

<ラテラルパイプの仕様決定>

ラテラルパイプの本数は、以下の判定式からラテラルパイプの全断面積ae [m2]を計算します。

$$0.25ae < na < 0.5ae$$

ラテラルパイプの系は通常1.5B~3B程度(圧力式の場合2Bを採用)なので、上で算出したパイプの全断面積から本数を計算します。

また、ラテラルパイプのピッチは200~250mm程度とすることが一般的です。

ラテラルパイプの長さはパイプ径の60倍以上とします。

<ヘッダーパイプの径>

ラテラル取出部断面積の1.5〜3.0倍とします。(やむを得ない場合は1.0倍)

(4) 洗浄トラフ(多孔管)の計算

洗浄トラフ(多孔管)は集水ラテラルと同じ計算で、損失水頭 h=0.3m とします。

$$q' = 60·k·at·\sqrt{2ght}$$

q':多孔管の流量 [m3/min]
k:オリフィス係数(k=0.7と仮定)
ht:損失水頭 [m] (h=0.3m )
at:多孔管の孔径 [m2](40φとし1.256×10^-3 m2)

(5) 配管・バルブ・ポンプ

配管径:

流速 V=2〜3 m/sec とすることが一般的です。

バルブ:

経済性からAir駆動のバタフライ弁とします。1基につき ①原水弁 ②ろ水弁 ③逆洗弁 ④表洗弁 ⑤洗浄排水弁 ⑥捨水弁 の6個が必要です。

基本的に自動弁が必要で、手動弁は捨水弁のみです(原水洗浄時は自動化)。

ポンプ:

原水ポンプ・洗浄(逆洗/表洗)ポンプ・返送ポンプが必要です。

ポンプ選定時はポンプ揚程に注意します。

逆洗ポンプはろ材膨張損失を見込む必要があります。

$$h_f=H₀\frac{r_s−r_w}{r_w}(1−E₀) $$

hf:損失水頭 [cm]
Ho:砂層厚 [cm]
rs:砂の密度 [g/cm3]
rw:水の密度 [g/cm3]
Eo:砂の空げき率

計装及び制御

ろ過設備で最も重要なのは運転制御です。

ろ過工程・洗浄工程の繰り返すため、ほとんどがシーケンス制御となります。

バルブ ろ過中 洗浄中
① 原水弁
② 逆洗弁
③ ろ過弁
④ 洗浄排水弁
⑤ 表洗弁
⑥ 正洗弁
ろ過流量調節

ろ過器数が多い場合や客先要望時は③のろ過弁を流量計と組み合わせフィードバック制御とします。

差圧検出

基本的に差圧計を設置して差圧を監視するようにします。連続監視が不要な場合は差圧スイッチのみとします。

逆洗時に高低圧が逆転するため、差圧計の選定に要注意です。

洗浄

洗浄はシーケンスタイマー(ピンボード、カムタイマー、ピンドラム、モータータイマーの組合せ)等によって、バルブを開閉させます。

洗浄開始信号の一例として、① ろ抗が設定値に達した場合、② タイマー(ろ過用)が設定値に達した場合。③ 手動による洗浄スイッチが入った場合、などがあります。

洗浄時のバルブの操作手順例は以下の図の通りです。

インターロック

以下のような場合は洗浄用のインターロックを設定します。

・洗浄用水槽の液面低
・洗浄排水槽の液面高
・他ろ過器の洗浄と重なるとき(同時洗浄可なら別)

ろ材敷込要領

ろ過器のろ材敷込み手順は以下の通りです。

準備

  1. 用具の準備、ろ過器内清掃、集水管の孔の詰まり点検・除去。
  2. ろ層・支持層材料の仮置場確保。
  3. 各層の敷込み層高をろ過器壁にマーキング。ガーネット・珪砂は投入時点(洗浄前)の層高もマーキング。アンスラサイトは洗浄後に消えるチョーク等でマーキング。

支持層材料の敷込み

  1. 砂利(10〜20mm)を集水管に直接落とさないよう敷込み、水張り・ならしで所定層厚に。
  2. 砂利(5〜10mm)を敷込み、同様に所定層厚に。2種敷込後 約15分洗浄し、砂利層上面まで排水。
  3. 支持ガーネット(2〜4mm)を敷込み水平ならし、次いで支持ガーネット(7〜2mm)を敷込み。2種敷込後 約20分洗浄し排水。

ろ層材料の敷込み

・ガーネット→珪砂→アンスラサイトの順に投入し、それぞれ所定より高め(ガーネット・珪砂+約50mm、アンスラサイト+約60mm)に均して洗浄・スキミング。

・最後に全体を洗浄(逆洗+表洗)する。

敷込み時の重要ポイント

洗浄時、ろ材中の空気が急に出てろ材流出を起こすため、流出しない範囲に洗浄水流速を抑える必要があります。

ただし流速が小さすぎると細粒・不純物が表層に出ず、スキミング本来の目的(細粒・不純物除去)が達成できない場合があります。

スキミング不十分だと運転時に細粒が上層に出て圧力損失増大の原因となります

水温による最適逆洗速度/洗浄標準は以下の通りです。

水温 (℃) 最適逆洗速度 最小 (m/分)
4.4 0.53
10.0 0.57
15.5 0.65
21.1 0.73
37.7 0.82

洗浄水量・水圧・時間の標準

項目 表洗併用/固定式 表洗併用/回転式 逆流洗浄のみ
表面噴射水圧 (m) 15〜20 30〜40
表面水量 (m³/min·m²) 0.15〜0.20 0.05〜0.10
表面時間 (min) 4〜6 4〜6
逆流洗浄水圧 (m) 1.6〜3.0 1.6〜3.0 1.6〜3.0
逆流水量 (m³/min·m²) 0.6〜0.9 0.6〜0.9 0.6〜0.9
逆流時間 (min) 4〜6 4〜6 4〜6

トラブル事例

例1:ポリマー添加によるSDI悪化)

事象: 前段の凝集沈殿槽でポリマーを使用したら、ろ過水質(SDI値)が悪化した。

原因: ろ過器へ流出したポリマーが分解・変質し、ろ過膜等を詰まらせた。

対策: 後段にRO膜がある場合、ポリマーは極力使用しない。どうしても使う場合は実機模擬試験で確認する。

例2:マイクロフロック法の限界

事象: 沈殿池を省略し、配管内で凝集させる「マイクロフロック法」を採用したが、処理水量が不足した。

原因: 薬品添加槽で大きなフロックができてしまい、それがろ材表面で「マッドボール(泥団子)」を形成して閉塞させた。

対策: マイクロフロック法は制御が難易度高。素直に前段に沈殿池(Clarifier)を設置すべき。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 技術情報を200記事以上執筆、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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