
今回の記事では調節弁の騒音対策として、IEC規格に基づくノイズ予測と低減手法について解説します。
プラントにおける調節弁は、流体のエネルギー変換を行う装置であるため、プラントの主要な騒音源となり得ます。特に高差圧サービスでは、騒音は作業環境の悪化のみならず、配管・計装機器・バルブ本体の疲労や損傷を引き起こす重大な要因となる可能性があります。
本記事では、空気力学的騒音および水力学的騒音の発生メカニズム、IEC規格に基づく予測計算、そして具体的な低減対策について徹底解説します。
音響疲労破壊についてはこちらの記事で解説しているので、ご一読ください。
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コントロールバルブの騒音の基礎
騒音の定義と規制
騒音とは「望ましくない音」です。制御機器分野では、米国の労働安全衛生法(OSHA)などが基準となります。
OSHAが規定している暴露時間と許容騒音レベルは以下の通りです。
例えば、8時間の曝露における許容騒音レベルは 90 dBA とされています 。
| 1日あたりの暴露時間 | 許容騒音レベル (dBA) |
| 8 時間 | 90 |
| 4 時間 | 95 |
| 2 時間 | 100 |
| 1 時間 | 105 |
| 30 分 | 110 |
| 15 分以下 | 115 |
音響用語の定義
周波数 (Frequency):
音の高さ。Hzで表されます。
音響出力レベル (Sound Power Level, ):
音源から発散される総エネルギーのことを指します。
音圧レベル (Sound Pressure Level, SPL):
実際に測定される音の大きさ。基準圧力 Pa に対する比のデシベル値。
dBA (A特性):
人間の耳の感度(周波数特性)に合わせて補正された音圧レベル 。
主な騒音源
コントロールバルブの騒音源は大きく3つに分類されます 。
機械的振動騒音:
バルブを通過する乱流や渦流がトリム部品に衝突し、近傍表面に振動が生じることで発生する騒音が機械的振動騒音です。
この騒音では、乱流誘起振動の振動数がプラグ・ステム組合せの固有振動数に接近した際に共振が発生し、トリム部品を疲労破壊させる危険性が最も大きいです。
そのため、騒音低減より疲労破壊防止が優先され、具体的には以下のような対策がなされます。
- トリム形状・容量の変更
- ガイドクリアランスの低減
- プラグステム径の増加
- プラグ質量の変更
- 流れ方向の変更
空気力学的騒音:
流体がバルブの縮流部を通過する際、流れの機械的エネルギーが音響エネルギーに変換されて発生する騒音が空気力学的騒音です。
エネルギー変換比率を「音響効率」と呼び、入口/出口の圧力比およびバルブ設計に依存します。また、気体サービスで最も一般的な騒音です。
水力学的騒音:
液体のキャビテーション、フラッシング、乱流によって発生します。
キャビテーションが最も深刻であり、バルブや配管の損傷リスクが非常に大きいです。
空気力学的騒音の低減

一般的に、空気力学的騒音の低減は「音源対策(発生防止)」または「経路対策(遮音・肉厚増加・サイレンサ等)」でのどちらかとなります。
ただし、一度発生した騒音は実質的に減衰せず下流へ伝播し、高い騒音レベルは下流配管・機械装置に過度の振動と損傷を与えるため、可能な限り音源対策を行うことが望ましいです。
また、バルブの下流に制限オリフィスを設置することも有効な対策となります。
音源対策
音源対策としては低騒音弁を採用することが一般的です。低騒音弁を採用することで「噴流サイズの低減」と「摩擦を伴う断熱流」の2つの効果により、低騒音化が期待されます。
噴流サイズの低減
噴流サイズを小さくすることで次の3つの効果が得られます。
・ 渦が小さくなり、機械的パワーから音響パワーへの変換効率が減少する。
・ 音響エネルギーが高周波域へシフトし、管壁を透過する騒音が急激に減少する。
・ 10,000 Hzを超える高周波は人間の耳に感知されにくくなる。
また、噴流の適切な間隔により相互干渉位置を制御し、臨界流れ下での衝撃渦の相互作用(主たる騒音源)を減少させ、音響効率をさらに低下させることも可能です。
摩擦を伴う断熱流
長いパイプラインの圧力損失に類似した効果で減圧する原理です。
多数の絞り部を曲がりくねって通過させ、衝撃波ではなく水頭圧損失によりエネルギーを発散させ、トリム流路面積を下流に向けて徐々に拡大させることで、絞り過程全域でほぼ一定流速を保ちます。
標準単座弁では内部エネルギーが速度に変換され、下流の乱流・衝撃波が不快な絞り騒音の主要音源となりますが、多段型低騒音弁では速度変化が最小化され、エンタルピレベルがほぼ一定に保たれます。
経路対策
主な経路対策として、サイレンサー、配管肉厚増加、インシュレーションの3つが挙げられます。
サイレンサー
バルブ直下流にサイレンサーを設置して騒音を低減します。ただし、大容量では低流速要求で非実用的な場合あり。流体適合性・使用条件が課題とされています。
配管肉厚増加
配管肉厚を増加も有効な騒音低減対策の一つです。
ただし、下流配管系全域に実施しないと効果が表れません。
インシュレーション
インシュレーションも一定の効果があるとされていますが、全域に施工必要の他、インシュレーションの欠落防止対策が必要です。
また、高温でバインダが焼失し性質変化することに要注意です。
実用限界は 11〜12 dBA程度とされています。
制限オリフィス
標準弁または低騒音弁の下流に設置し、全体の圧力降下をバルブと制限オリフィスに分割して発生騒音を低減します。
制限オリフィスを多段化、多孔化することで、騒音を低減することも可能です。
制限オリフィスを設置することでバルブ出口圧力が上がり、出口流速の音速化と高流速騒音を回避でき、より小さいバルブの適用が可能となります。
- 標準弁との組合せ:条件により最大 20 dBA の低減。
- 低騒音弁との組合せ:条件により 30 dBA 以上の低減。
- 圧力比 3:1 以上の用途で特に有効(多段/多流路構造の効果が最大化)。
水力学的騒音の低減

水力学的騒音はキャビテーション騒音・フラッシング騒音、乱流騒音およびそれらに伴う機械的振動を含みます。
空気力学的騒音と異なり、低い騒音レベルでも破壊的となり得るため、適切なバルブ選定が必要です。
キャビテーション騒音
縮流部の静圧が飽和蒸気圧以下に下がると気泡が発生します。
バルブは圧力回復機構を持つため、下流圧力が飽和蒸気圧より高い場合、気泡は崩壊して液体に戻ります。
この気泡崩壊がキャビテーションです。
崩壊時の局部圧力は 700 MPa にも達し、高差圧下でボディ・トリムの急激な損傷、騒音・振動を招く恐れがあります。
圧力回復の程度はボディ内部形状に依存し、流線形なほど圧力回復が大きくキャビテーションが起こりやすいとされています。
キャビテーションの度合いを示す指数を「キャビテーション指数」と言います。キャビテーション指数の計算についてはこちらの記事を参照ください。
キャビテーション騒音の対策
バルブのトリム材質として、マルテンサイト系ステンレス鋼やステライト等の高硬度材を適用することで、トリム損傷を抑制することができます。
より本質的な抑制/防止策をより経済性の高い順)に挙げると以下の通りです。
キャビテーション騒音対策
- 低い圧力回復係数(大きな FL)を持つバルブの採用。
- バルブ差圧 ΔP を小さくする(取付位置・高さ関係の変更等)。
- 下流に制限オリフィスを設置し バルブ二次圧P₂ を高める。
- 多孔の低騒音型トリム構造の採用(キャビテーションコントロール)。気泡崩壊を金属表面からそらす設計だが、吸収エネルギー量には限界あり。
- アンチキャビテーション弁の採用。高入口圧力・高差圧向け。
フラッシング騒音、乱流騒音
フラッシング騒音は、縮流部で気化した気泡が下流でも消滅しない場合に発生します。
キャビテーション騒音と比較して、騒音は低レベルです。
フラッシング騒音の予測は難しく、予測計算式は十分には確立されていません。
また、乱流騒音は一般に騒音レベルは低く問題となりにくいとされていいます。
フラッシング騒音の対策
フラッシングにより、内部流体が高速でボディにぶつかるため、バルブボディへの浸食(エロージョン)も問題となります。
対策は次の通りです。
フラッシング騒音対策
- トリムをフルポートではなくレデューストポートとし、シート部とボディ内壁の間隔を確保して噴流衝撃を緩和する。
- 厳しい条件ではクロム・モリブデン鋼等の耐エロージョン材ボディを検討する。
配管設計での騒音対策
バルブの騒音は予測式に基づいて計算可能ですが、それは無反響室・音響的に理想化された配管系という実験室条件に基づいたものです。
実プラントでは音響的環境(現場の大きさ、境界・他機器からの反射による増加)を別途考慮する必要があり、配管設計でもバルブの騒音への配慮が必要となります。
騒音が大きいことが予測される場合の配管設計の考慮事項を挙げると次の通りです。
前後の直管部
上流に口径の10倍以上、下流に口径の20倍以上の直管部を確保することが推奨されます。
流速(出口)
出口マッハ数が標準弁で0.3、低騒音弁で0.2を超える場合は出口騒音補正が必要(IEC 60534-8-3)。
仕切バルブ
流れ抵抗が最小となるフルボア形状が好ましいとされています。
エキスパンダ/レデューサ
上流側は内角30°以下、下流側は15°以下の同心形状が推奨されます。ただし制限オリフィス併用時は短い(大内角)レデューサが推奨されます。
ベンド・ティー等
極端な分岐は騒音源となるので、ロングエルボの最小、流線形に分岐、合流するようにします。
配管サポート
薄肉配管(Sch 5S/10S等)では要所にサポートを設け、構造的問題と騒音を軽減します。
騒音予測計算式
IEC規格(60534-8-3)では騒音の予測式が記載されており、よく使う予測式について紹介します。
圧縮性流体に対する予測式
適用制限
- バルブおよび接続管内で発生する空気力学的騒音のみを予測する。
- 騒音測定点より下流に少なくとも2mの直管を有する据付を想定。
- 流速(マッハ数)制限:バルブ出口 Mo≤1.0、下流レデューサ入口 MR≤1.0、下流配管 M2≤0.8。
流れの状態の判別
| 流れの状態 | 範囲 |
| 状態 I | p2 ≥ p2c |
| 状態 II | p2C > p2 ≥ pvcc |
| 状態 III | pvcc > p2 ≥ p2B |
| 状態 IV | p2B > p2 ≥ p2CE |
| 状態 V | p2CE > p2 |
計算の流れ
騒音予測は次の順に計算します。順次計算を進め、流れの状態に応じて振り分けて計算します。
- 縮流部圧力の計算(流れの状態の判別)
- 音響パワー及びピーク周波数の計算(状態 I〜V、トリム出口部の管路)
- 各周波数での配管透過損失の計算
- 各周波数での騒音の計算(音圧レベル)
記号の説明
| 記号 | 項目 | 単位 |
| A | 単一流路の面積 | m² |
| Cv | バルブの容量係数 | 無次元 |
| cvc | 縮流部における音速 | m/s |
| cvcc | 縮流部の臨界条件での音速 | m/s |
| c2 | 下流側配管における音速 | m/s |
| D | バルブ入口径 | m |
| d | 流路の直径(円形以外についてはdHを使用) | m |
| dH | 単一流路の水力直径 | m |
| di | バルブ出口又はエキスパンダ入口のいずれか小さい方の内径 | m |
| Di | 管の内径 | m |
| do | 全流路面積の等価円の直径(縮流部) | m |
| Dj | 縮流部における噴流の直径 | m |
| Fd | バルブ形状修正係数 | 無次元 |
| FL | 継手類がついていない調節弁の液体圧力回復係数 | 無次元 |
| FLP | 配管継手付き調節弁の液体圧力回復係数と配管形状修正係数FPの複合係数 | 無次元 |
| FP | 配管形状修正係数 | 無次元 |
| fg | 外部コインシデンス周波数 | Hz |
| fo | 外部コインシデンス周波数 | Hz |
| fg | 内部コインシデンス周波数 | Hz |
| fp | 発声ピーク周波数 | Hz |
| fpR | バルブ出口又はエキスパンダ入口における発生ピーク周波数 | Hz |
| fr | リング周波数 | Hz |
| Gx, Gy | 周波数係数 | 無次元 |
| l | 放射状流路の長さ | m |
| Iw | 単一流路の周長(濡れ縁長さ) | m |
| LpeR | エキスパンダに起因する管壁1mでのA特性音圧レベル | dB(A) |
| Lg | マッハ数による補正レベル | dB |
| LpAe | 管の外部でのA特性音圧レベル | dB(A) |
| LpAe,1m | バルブから1mでのA特性音圧レベル | dB(A) |
| Lpi | 内部音圧レベル | dB(A) |
| LpiR | エキスパンダに起因する管壁での内部音圧レベル | dB(A) |
| LpS | LpAe,1mとLpeRを合成した管壁1mでのA特性音圧レベル | dB(A) |
| Lwi | 全音響パワーレベル | dB(A) |
| Lwi | 内部音響パワーレベル | dB |
| M | 流体の分子量 | kg/kmol |
| Mj | 状態Ⅱ~Ⅳの自由膨張噴流のマッハ数 | 無次元 |
| Mj5 | 状態Ⅴの自由膨張噴流のマッハ数 | 無次元 |
| Mo | バルブ出口部のマッハ数 | 無次元 |
| MR | エキスパンダ入口のマッハ数 | 無次元 |
| Mvc | 縮流部におけるマッハ数 | 無次元 |
| M2 | 下流側配管におけるマッハ数 | 無次元 |
| m | 質量流量 | kg/s |
| No | バルブトリムにおける独立流路数 | 無次元 |
| pa | 管外部の実際の大気圧 | Pa |
| po | 標準音圧(=2×10⁻⁵) | Pa |
| ps | 標準大気圧(=1.0132×10⁵) | Pa |
| pvc | 亜音速流条件での縮流部絶対圧力 | Pa |
| pvcc | 臨界流条件での縮流部絶対臨界圧力 | Pa |
| p1 | バルブ入口絶対圧力 | Pa |
| p2 | バルブ出口絶対圧力 | Pa |
| p2B | ブレークポイントにおけるのバルブ出口絶対圧力 | Pa |
| p2C | 臨界流条件でのバルブ出口絶対圧力 | Pa |
| p2CE | 一定音響効率の領域が始まる点でのバルブ出口圧力 | Pa |
| R | 一般気体定数(=8.314) | J/(mol·K) |
| rw | 音響パワー比 *グローブ弁、アングル弁:rw=0.25 *バタフライ弁、制限オリフィス:rw=0.5 |
無次元 |
| Tvc | 亜流速流条件での縮流部絶対温度 | K |
| Tvcc | 臨界流条件での縮流部絶対温度 | K |
| T1 | 入口での絶対温度 | K |
| T2 | 出口での絶対温度 | K |
| TL | 音圧レベルの透過損失 | dB |
| TLR | エキスパンダに起因する音圧レベルの透過損失 | dB |
| tp | 配管の肉厚 | m |
| UP | 下流配管でのガス流速 | m/s |
| UR | エキスパンダ入口での流速 | m/s |
| Uvc | 亜音速条件での縮流部における流速 | m/s |
| Wa | 音響パワー | W |
| WaR | エキスパンダに起因する音響パワー | W |
| Wm | 質量流量の流れのパワー | W |
| WmR | バルブ出口又はエキスパンダ入口における質量流量の流れのパワー | W |
| Wms | 音速での質量流量の流れのパワー | W |
| Wo | 基準音響パワー(=1×10⁻¹²) | W |
| α | 回復補正係数 | 無次元 |
| β | バルブ出口又はエキスパンダ入口部における収縮係数 | 無次元 |
| γ | 比熱比 | 無次元 |
| η1~η5 | 音響効率係数(状態Ⅰ~状態Ⅴ) | 無次元 |
| ηR | エキスパンダ入口における音響効率係数 | 無次元 |
| ρ1 | バルブ入口の密度 | kg/m³ |
| ρ2 | バルブ出口の密度 | kg/m³ |
圧力及び圧力比の計算
$$p_{vc}=p_1-\frac{p_1-p_2}{(F_{LP}/F_P)^2}$$
$$p_{vcc}=p_1\left(\frac{2}{\gamma+1}\right)^{\gamma/(\gamma-1)}$$
$$p_{2C}=p_1-(F_{LP}/F_P)^2\,(p_1-p_{vcc})$$
$$ \alpha=\frac{p_1/p_{2C}}{p_1/p_{vcc}}$$
$$p_{2B}=\frac{p_1}{\alpha}\left(\frac{1}{\gamma}\right)^{\gamma/(\gamma-1)}$$
$$p_{2CE}=\frac{p_1}{22\,\alpha}$$
縮流部における噴流の直径の計算
※数式が途切れている場合、スライドして表示させてください
$$d_H=\frac{4A}{I_w}$$
$$d_o=\sqrt{\frac{4\,N_o\,A}{\pi}}$$
$$F_d=\frac{d_H}{d_o}$$
標準トリムの場合
$$D_j=N_{14}\,F_d\sqrt{C_v\,(F_{LP}/F_P)}\qquad(N_{14}=4.6\times10^{-3})$$
低騒音トリムの場合
$$D_j=N_{14}\,F_d\sqrt{C_v\,[\,0.9-0.06(l/d)\,]}\qquad(l/d)_{max}=4$$
音響パワー及びピーク周波数の計算(状態 I)
$$U_{vc}=\sqrt{2\left(\frac{\gamma}{\gamma-1}\right)\left[1-\left(\frac{p_{vc}}{p_1}\right)^{(\gamma-1)/\gamma}\right]\frac{p_1}{\rho_1}}$$
$$W_m=\frac{m\,U_{vc}^{2}}{2}$$
$$T_{vc}=T_1\left(\frac{p_{vc}}{p_1}\right)^{(\gamma-1)/\gamma}$$
$$c_{vc}=\sqrt{\frac{\gamma R\,T_{vc}}{M}}$$
$$M_{vc}=\frac{U_{vc}}{c_{vc}}$$
$$ \eta_1=(1\times10^{-4})\,M_{vc}^{\,3.6}$$
音響パワー
$$W_a=\eta_1\,r_w\,W_m\,(F_{LP}/F_P)^2$$
音響パワーレベル(参考値)
$$L_{wi}=10\log_{10}\frac{W_a}{W_o}$$
ピーク周波数
$$f_p=\frac{0.2\,U_{vc}}{D_j}$$
音響パワー及びピーク周波数の計算(状態 Ⅱ)
$$T_{vcc}=\frac{2\,T_1}{\gamma+1}$$
$$c_{vcc}=\sqrt{\frac{\gamma R\,T_{vcc}}{M}}$$
$$W_{ms}=\frac{m\,c_{vcc}^{2}}{2}$$
$$M_j=\sqrt{\frac{2}{\gamma-1}\left[\left(\frac{p_1}{\alpha\,p_2}\right)^{(\gamma-1)/\gamma}-1\right]}$$
$$\eta_2=(1\times10^{-4})\,M_j^{\,6.6\,(F_{LP}/F_P)^2}$$
音響パワー
$$W_a=\eta_2\,r_w\,W_{ms}\,\frac{p_1-p_2}{p_1-p_{vcc}}$$
音響パワーレベル(参考値)
$$L_{wi}=10\log_{10}\frac{W_a}{W_o}$$
ピーク周波数
$$f_p=\frac{0.2\,M_j\,c_{vcc}}{D_j}$$
音響パワー及びピーク周波数の計算(状態 Ⅲ)
※Tvcc、cvcc、Wms、Mjの計算は状態Ⅱと同一
$$\eta_3=(1\times10^{-4})\,M_j^{\,6.6\,(F_{LP}/F_P)^2}$$
音響パワー
$$W_a=\eta_3\,r_w\,W_{ms}$$
音響パワーレベル(参考値)
$$L_{wi}=10\log_{10}\frac{W_a}{W_o}$$
ピーク周波数
$$f_p=\frac{0.2\,M_j\,c_{vcc}}{D_j}$$
音響パワー及びピーク周波数の計算(状態 Ⅳ)
※Tvcc、cvcc、Wms、Mjの計算は状態Ⅱと同一
$$\eta_4=(1\times10^{-4})\left(\frac{M_j^{2}}{2}\right)(\sqrt{2}\,)^{\,6.6\,(F_{LP}/F_P)^2}$$
音響パワー
$$W_a=\eta_4\,r_w\,W_{ms}$$
音響パワーレベル(参考値)
$$L_{wi}=10\log_{10}\frac{W_a}{W_o}$$
ピーク周波数
$$f_p=\frac{0.35\,c_{vcc}}{1.25\,D_j\sqrt{M_j^{2}-1}}$$
音響パワー及びピーク周波数の計算(状態 Ⅴ)
※Tvcc、cvcc、Wmsの計算は状態Ⅱと同一
$$M_{j5}=\sqrt{\frac{2}{\gamma-1}\left[(22)^{(\gamma-1)/\gamma}-1\right]}$$
$$\eta_5=(1\times10^{-4})\left(\frac{M_{j5}^{2}}{2}\right)(\sqrt{2}\,)^{\,6.6\,(F_{LP}/F_P)^2}$$
音響パワー
$$W_a=\eta_5\,r_w\,W_{ms}$$
音響パワーレベル(参考値)
$$L_{wi}=10\log_{10}\frac{W_a}{W_o}$$
ピーク周波数
$$f_p=\frac{0.35\,c_{vcc}}{1.25\,D_j\sqrt{M_{j5}^{2}-1}}$$
騒音の計算
$$\rho_2=\rho_1\left(\frac{p_2}{p_1}\right)$$
$$c_2=\sqrt{\frac{\gamma R\,T_2}{M}}$$
$$M_o=\frac{4m}{\pi D^{2}\rho_2\,c_2}$$
$$L_{pi}=10\log_{10}\left[\frac{(3.2\times10^{9})\,W_a\,\rho_2\,c_2}{D_i^{2}}\right]$$
$$f_r=\frac{5000}{\pi D_i}$$
$$f_o=\frac{f_r}{4}\left(\frac{c_2}{343}\right)$$
$$f_g=\frac{\sqrt{3}\,(343)^{2}}{\pi\,t_p\,(5000)}$$
【周波数係数 Gx, Gy】
fp < fo の場合
$$G_x = (f_o/f_r)^{(2/3)} · (f_p/f_o)^4$$
fo<fgで
$$G_y = f_o/f_g$$
fo≧fgで
$$G_y = 1$$
fp ≧ fo の場合
fp<frで
$$(f_p/f_r)^{(2/3)}$$
fp≧frで
$$G_x = 1$$
fp<fgで
$$G_y = f_p/f_g$$
fp≧fg1で
$$G_y = 1$$
※数式が途切れている場合、スライドして表示させてください
$$TL=10\log_{10}\left[(7.6\times10^{-7})\left(\frac{c_2}{t_p\,f_p}\right)^{2}\frac{G_x}{\frac{\rho_2 c_2}{415\,G_y}+1}\left(\frac{p_a}{p_s}\right)\right]$$
$$M_2=\frac{4m}{\pi D_i^{2}\rho_2\,c_2}$$
$$L_g=16\log_{10}\left(\frac{1}{1-M_2}\right)$$
$$L_{pe}=5+L_{pi}+TL+L_g$$
トリムに起因する騒音
$$L_{pAe,1m}=L_{pAe}-10\log_{10}\left[\frac{D_i+2t_p+2}{D_i+2t_p}\right]$$
バルブ出口マッハ数 Mo が、標準トリムで 0.3、低騒音トリムで 0.2 を超えない場合は、この L_pAe,1m をバルブの騒音予測値とします。
超える場合は引き続き計算を進め、エキスパンダに起因する騒音を考慮します。
$$U_p=\frac{4m}{\pi\,\rho_2\,D_i^{2}}$$
$$U_R=\frac{U_p\,D_i^{2}}{\beta\,d_i^{2}}$$
$$W_{mR}=\frac{m\,U_R^{2}}{2}\left[\left(1-\frac{d_i^{2}}{D_i^{2}}\right)^{2}+0.2\right]$$
$$f_{pR}=\frac{0.2\,U_R}{d_i}$$
$$\eta_R=(1\times10^{-3})\,M_R^{\,3}$$
$$M_R=\frac{U_R}{c_2}$$
$$W_{aR}=\eta_R\,W_{mR}$$
$$L_{piR}=10\log_{10}\left[\frac{(3.2\times10^{9})\,W_{aR}\,\rho_2\,c_2}{D_i^{2}}\right]$$
周波数係数 Gx, Gy は騒音の計算と同じ表をfpRについて適用します。
$$TL_R=10\log_{10}\left[(7.6\times10^{-7})\left(\frac{c_2}{t_p\,f_{pR}}\right)^{2}\frac{G_x}{\frac{\rho_2 c_2}{415\,G_y}+1}\left(\frac{p_a}{p_s}\right)\right]$$
エキスパンダに起因する騒音
$$L_{pAe}=5+L_{pi,e}+TL_p+L_g-10\log_{10}\left[\frac{D_i+2t_p+2}{D_i+2t_p}\right]$$
合成バルブ騒音
$$L_{pAe,1m}=10\log_{10}\left(10^{\,0.1\,L_{trim}}+10^{\,0.1\,L_{exp}}\right)$$
L_trim:トリム騒音
L_exp:エキスパンダ騒音
非圧縮性流体に対する予測式
非圧縮性流体についても同様にIEC規格では騒音の予測式が記載されており、よく使う予測式について紹介します。
適用制限
- バルブおよび接続管内で発生する水力学的騒音のみを予測する。
- 層流やフラッシング流れには適用できない
- バルブ出口流速 U2≤1.0、弁容量係数(Cv値) 0.116≦Cv≦6940、差圧比 0.01≦xF≦0.95、内部音響パワーレベルLwi≧40
計算の流れ
騒音予測は次の順に計算します。
- 内部音響パワーレベルの計算
- 内部音響パワーレベルの周波数依存スペクトルの計算
- 管壁の透過損失の計算
- 外部音響パワーレベルの計算
- 騒音の計算(外部A特性音圧レベル)
記号の説明
| 記号 | 説明 | 単位 |
| cF | 液体を伝播する音速(≒1440) | m/s |
| cp | 管壁内を伝播する縦波による音速(≒5100) | m/s |
| Cv | 弁容量係数 | 無次元 |
| di | 下流配管の内径 | m |
| do | 下流配管の外径 | m |
| f | 周波数 | Hz |
| fm | オクターブバンドの中心周波数 | Hz |
| fr | 管リング周波数 | Hz |
| FF | 液体臨界圧力比係数 | 無次元 |
| FL | 液体圧力回復係数 | 無次元 |
| lo | 基準管長(lo=1 として計算) | m |
| lp | 音源からの管長(lo=3 として計算) | m |
| LpAe | 管外部A特性音圧レベル | dB(A) |
| LWAn | 管外部でのn番目のオクターブバンドのA特性音響パワーレベル | dB(A) |
| LWe | 管外部音響パワーレベル | dB |
| LWAe | 管外部A特性音響パワーレベル | dB(A) |
| LWi | 内部音響パワーレベル | dB |
| ΔLF | バルブ固有の補正値 | dB |
| FLF | バルブ固有の補正基準値 | dB |
| Fx | キャビテーション及びバルブ固有の補正値係数 | 無次元 |
| m | 質量流量 | kg/s |
| po | 標準音圧(=2×10⁻⁵) | Pa |
| pv | 入口温度での流体の蒸気圧 | Pa |
| p1 | バルブ入口の流体絶対圧力 | Pa |
| p2 | バルブ出口の流体絶対圧力 | Pa |
| Δp | バルブ上流と下流側の圧力差(p1-p2) | Pa |
| Δpc | 臨界差圧 | Pa |
| T1 | 入口温度 | K |
| TL | 透過損失 | dB |
| t | 配管の肉厚 | m |
| U2 | バルブ出口での流速 | m/s |
| Wo | 基準音響パワー(=1×10⁻¹²) | W |
| xF | 差圧比 | 無次元 |
| xFz | 特性圧力比 | 無次元 |
| η_F | 音響効率係数 | 無次元 |
| ρF | バルブ入口側の密度 | kg/m³ |
| ρp | 配管材料の密度(≒7800) | kg/m³ |
内部音響パワーレベル(Lwi)の計算
差圧比
$$x_F=\frac{\Delta p}{p_1-p_v}$$
xF<xFZの場合 :
$$L_{Wi}=120+10\log\eta_F+10\log m+10\log\Delta p-10\log\rho_F$$
xF ≥ xFz かつ Δp ≤ FL²(p₁ − FF·pv) の場合 :
$$F_x=\frac{x_{Fz}^{\,0.0625}}{x_F^{\,x_{Fz}}}\,(1-x_F)^{0.8}\log\left(\frac{1-x_{Fz}}{1-x_F}\right)$$
$$\Delta L_F=F_{LF}\,F_x$$
$$L_{Wi}=120+10\log\eta_F+10\log m+10\log\Delta p-10\log\rho_F+\Delta L_F+180\,F_x$$
xF ≥ xFz かつ Δp > FL²(p₁ − FF·pv) の場合 :
$$\Delta p_c=F_L^{2}\,(p_1-F_F\,p_v)$$
$$F_x=\frac{x_{Fz}^{\,0.0625}}{x_F^{\,x_{Fz}}}\,(1-x_F)^{0.8}\log\left(\frac{1-x_{Fz}}{1-x_F}\right)$$
$$\Delta L_F=F_{LF}\,F_x$$
$$L_{Wi}=120+10\log\eta_F+10\log m+10\log\Delta p_c-10\log\rho_F+\Delta L_F+180\,F_x$$
音響パワーレベルの周波数依存スペクトル(LWi(f))の計算
オクターブバンド中心周波数 f_m = 500, 1000, 2000, 4000, 8000 Hz について計算
$$L_{Wi}(f)=L_{Wi}-10\log\left(\frac{f_m}{500}\right)-2.9$$
$$L_{Wi}(500)=L_{Wi}-10\log\left(\frac{500}{500}\right)-2.9$$
$$L_{Wi}(1000)=L_{Wi}-10\log\left(\frac{1000}{500}\right)-2.9$$
$$L_{Wi}(2000)=L_{Wi}-10\log\left(\frac{2000}{500}\right)-2.9$$
$$L_{Wi}(4000)=L_{Wi}-10\log\left(\frac{4000}{500}\right)-2.9$$
$$L_{Wi}(8000)=L_{Wi}-10\log\left(\frac{8000}{500}\right)-2.9$$
外部音響パワーレベル(L_We)の計算
※数式が途切れている場合、スライドして表示させてください
オクターブバンド中心周波数 f_m = 500, 1000, 2000, 4000, 8000 Hz について計算
管リング周波数
$$f_r=\frac{c_p}{\pi\,d_o}$$
透過損失(f = 500, 1000, 2000, 4000, 8000 Hz) について計算
$$TL(f)=10+10\log\frac{c_p\,\rho_p\,t}{c_F\,\rho_F\,d_o}+10\log\left[\frac{f_r}{f}+\left(\frac{f}{f_r}\right)^{1.5}\right]^{2}$$
$$TL(500)=10+10\log\frac{c_p\,\rho_p\,t}{c_F\,\rho_F\,d_o}+10\log\left[\frac{f_r}{500}+\left(\frac{500}{f_r}\right)^{1.5}\right]^{2}$$
$$TL(1000)=10+10\log\frac{c_p\,\rho_p\,t}{c_F\,\rho_F\,d_o}+10\log\left[\frac{f_r}{1000}+\left(\frac{1000}{f_r}\right)^{1.5}\right]^{2}$$
$$TL(2000)=10+10\log\frac{c_p\,\rho_p\,t}{c_F\,\rho_F\,d_o}+10\log\left[\frac{f_r}{2000}+\left(\frac{2000}{f_r}\right)^{1.5}\right]^{2}$$
$$TL(4000)=10+10\log\frac{c_p\,\rho_p\,t}{c_F\,\rho_F\,d_o}+10\log\left[\frac{f_r}{4000}+\left(\frac{4000}{f_r}\right)^{1.5}\right]^{2}$$
$$TL(8000)=10+10\log\frac{c_p\,\rho_p\,t}{c_F\,\rho_F\,d_o}+10\log\left[\frac{f_r}{8000}+\left(\frac{8000}{f_r}\right)^{1.5}\right]^{2}$$
外部音響パワーレベル(f = 500, 1000, 2000, 4000, 8000 Hz )について計算
$$L_{We}(f)=L_{Wi}(f)-17.37\,\frac{l_p}{2\,d_o}\,10^{-0.1\,TL(f)}-TL(f)+10\log\frac{4\,l_p}{d_o}$$
$$L_{We}(500)=L_{Wi}(500)-17.37\,\frac{l_p}{2\,d_o}\,10^{-0.1\,TL(500)}-TL(500)+10\log\frac{4\,l_p}{d_o}$$
$$L_{We}(1000)=L_{Wi}(1000)-17.37\,\frac{l_p}{2\,d_o}\,10^{-0.1\,TL(1000)}-TL(1000)+10\log\frac{4\,l_p}{d_o}$$
$$L_{We}(2000)=L_{Wi}(2000)-17.37\,\frac{l_p}{2\,d_o}\,10^{-0.1\,TL(2000)}-TL(2000)+10\log\frac{4\,l_p}{d_o}$$
$$L_{We}(4000)=L_{Wi}(4000)-17.37\,\frac{l_p}{2\,d_o}\,10^{-0.1\,TL(4000)}-TL(4000)+10\log\frac{4\,l_p}{d_o}$$
$$L_{We}(8000)=L_{Wi}(8000)-17.37\,\frac{l_p}{2\,d_o}\,10^{-0.1\,TL(8000)}-TL(8000)+10\log\frac{4\,l_p}{d_o}$$
外部A特性音響パワーレベル(L_WAe)の計算
$$L_{WA1}=L_{We}(500)-3.2$$
$$L_{WA2}=L_{We}(1000)$$
$$L_{WA3}=L_{We}(2000)+1.2$$
$$L_{WA4}=L_{We}(4000)+1.0$$
$$L_{WA5}=L_{We}(8000)-1.1$$
$$L_{WAe}=10\log\sum_{n=1}^{5}10^{\,0.1\,L_{WAn}}$$
騒音(外部A特性音圧レベル L_pAe)の計算
$$L_{pAe}=L_{WAe}-10\log\left[\frac{\pi\,l_p}{l_o}\left(\frac{d_i}{d_o}+1\right)\right]$$

