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国内最大の油田「八橋油田」~住宅街の現役油田~

こんにちは。Toshi@プラントエンジニアのおどりばです。

今回、国内最大の油田である「八橋油田」を見学してきましたので、この記事にて解説・紹介します。

管理人は現役プラントエンジニアなので、この視点で八橋油田を見学、気付きについて解説していきます。

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八橋油田とは

八橋油田は秋田県秋田市にあるINPEX管理下の油田です。

日本の原油輸入量は国内消費量の99.7%と言われていますが、逆に言うと0.3%分は国内の油田にて原油を産出していることになります。

国内の油田は主に新潟県、秋田県、山形県、北海道に分布しており、稼働中の油田の中で最大のものが八橋油田です。

年間の生産量は8000 トン/年(2017年)で、国内全体の2%程度の原油が八橋油田から産出されています。

 

油田と言っても一般的なイメージの砂漠の中にあるものではなく、住宅街の空き地の草原に「ポンピングユニット」があり、精製プラントに送液される配管、及び計器があるだけです。(写真参照)

騒音についても、ポンピングユニットのモーター音が聞こえますが、低速で回転しているため、非常に静かで、近隣住民の生活の中に溶け込んでいるようです。



八橋油田の場所

八橋油田は秋田市の郊外の住宅地に位置しており、JR秋田駅からは車で約20分、秋田空港からは車で約30分程度の距離にあります。

ポンピングユニットはいくつかの場所に点在しているのですが、本記事では「八橋プラント周辺」と「外旭川地区」の油田群に焦点を当てて解説していきます。



八橋プラント周辺

 YR-72基地

Google mapではYR-138基地とありますが、実際にはYR-72が正です。

閑静な住宅街の中にYR-72基地が設置されています。ポンピングユニットは2基ありましたが、残念ながらこれらのポンピングユニットは休止中でした。

写真左側にポンピングユニットそばにあるポリタンクやドラム缶はサンプリング時の廃液入れでしょうか。

八橋油田におけるポンピングユニットが全て同じメーカーで、型式も同じでした。メーカー名は「LUFKIN」という名前です。検索してみると、米国テキサス州のメーカーのようです。

少量生産のため、ランニングコスト削減のために、メーカー、型式を統一しているのではないかと思います。

ポンピングユニットの吐出側の写真です。圧力計と割りフランジ、バルブが設置されています。

フランジは、メンテナンス時にユニットを引き抜くために、ここで割るために設置されているのだと思います。

また、マニュアルバルブは開閉札で、開閉状況がわかるようになっていました。

コスモス公園

八橋プラントのとなりには「パブリ」というホームセンターがあり、そばにはコスモス公園があります。その公園中にもポンピングユニットと八橋油田の紹介があります。

このポンピングユニットは配管やモーターが取り払われており、公園内のモニュメントとして扱われているようです。

近隣住民や観光客向けに八橋油田を紹介するための展示物と思いますが、人はおらず、誰も気に留めていない様子でした。

公園内からは川をまたぐ配管が伸びていました。

各油田のポンピングユニットから原油を集める配管や、八橋プラントで精製した石油を送液するための配管のようです。サイズは3~4インチほどです。

柵で囲って人が乗らないようにしたり、人が触りそうな所は火傷防止のための保温がなされており、安全対策はしっかりなされているようです。

八橋プラント

周囲の油田から集めた原油を精製するためのプラントです。

外部から確認できる範囲では、蒸留塔とタンクが確認できました。

規模が小さいため、蒸留塔も小さいです。そのため周囲のプラットフォームが無く、設置されている計器も必要最小限のみで、安全弁も無く、非常にシンプルな見た目の蒸留塔です。



外旭川地区

八橋プラントから県道72号線を北に数分移動すると、外旭川地区に着きます。

このあたりは、秋田市郊外の市街地で車通り、人通りも多く、飲食店も軒を連ねている中に油田が点在しています。

外旭川油井(SR-86)

交差点のちょうど角にポンピングユニットがありました。

このユニットは稼働しており、水飲み鳥のようにヘッド部(写真黄色部)が上下運動していました。このユニットも八橋プラント近くと同じメーカーですが、こちらの方が新しいように見えました。

写真のようにモーターの側にはマイクのような検知器が設置されていました。モーター音を連続監視しておき、ポンピングユニット異常時にはアラーム等で精製プラントの計器室に異常を知らせる目的でしょうか。

なぜか、この油田には蒸留塔と思われる機器が設置してありました。

配管を追っていくと、ポンピングユニットの吐出側の配管から蒸留塔に供給され、TOP側、BTM側それぞれの配管で送液される配管ルートになっているようです。また、蒸留塔をバイパスしてBTM側配管に接続される配管もあり、切り替えて運転できるようになっています。

このようなシステムになっている理由はわかりませんが、蒸留塔を含め、廻りの配管、計器類は新しいので、省エネルギーのために、最近になって油田で精製してから送液するシステムに改造したのかもしれません。

交差点の反対側にも別の油田がありました。この辺りの地区はたくさん油田があるようです。

このポンピングユニットはかなり老朽化しているようですが、こちらも稼働していました。ただ、上述したものよりも速度はゆっくりでした。

ポンピングユニット吐出側配管を追っていくと、どの油田においても写真のような計器があります。

タイプは分かりませんが、恐らく流量計の発信機で、精製プラントの計器室から流量を常時監視しているのだと思われます。

SR-27基地

交差点から北に数分歩くと、SR-27基地があります。

広い敷地の中にポツンと一基のポンピングユニットがあります。吐出側配管は写真手前のバルブユニットを通り、地下につながっています。

このバルブユニットはハンドルも取り払われており、フランジ毎耐火材で覆われていました。操作することが無いため、漏れのリスクを小さくするべくこのような施工にしたのでしょうか。

敷地の手前側にはフラッシュドラムらしき機器が設置されてありました。しかし、運転されているようには見えず、休止設備なのかもしれません。

外旭川プラント

SR-27基地の近くには外旭川プラントがあります。確認できる範囲では、蒸留塔やタンクがあります。

外旭川地区で採取された原油はここに集められて精製されるようです。

外旭川プラントでは水処理設備の存在が確認できました。

外見は新しく、用役としての水を製造するにしては大掛かりな設備だと思っていましたが、これは原油に同伴する水の廃水処理設備のようです。

INPEXのプレスリリースによると、千代田化工建設とメタウォーターと共同で開発した廃水処理技術の実証設備で、2017年より稼働開始とのことです。

この設備により原油に同伴してくる水分の廃水を川に放流できる水質に浄化しているとのこと。INPEXは環境負荷の軽減にも力を入れているようです。

まとめ

国内最大の油田である「八橋油田」について解説しました。

八橋油田は最盛期では25万kl/年もの生産量だったとのことです。現在は生産量こそ全盛期に遠く及びませんが、この記事でも紹介したとおり、産油技術が着々と改良されています。

ポンピングユニットの動画はYoutubeでも観ることは可能ですが、やはり実物を直接見る臨場感には叶いません。

プラントに興味のある方なら、ぜひ一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。

この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。



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  • この記事を書いた人

Toshi

30代前半プラントエンジニア |ブログでプラントエンジニアリングの業務に役立つ内容を発信しています。| 旧帝大化学工学専攻卒| 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 | 海外化学プラント設計、試運転経験有り| 副業で 投資(高配当+インデックス投資)による資産形成もブログで報告しています。趣味は旅行とウイスキー。よろしくお願いします。

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