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【配管】プラントで使用されるガスケットの種類と特徴の解説

今回の記事ではプラントで使用されるガスケットの種類と特徴について解説します。

ガスケットは、配管や静機器のフランジ部の密封に使用される固定用シール材のことを指します。ガスケットには様々な種類があり、使用条件により適切なタイプを選定する必要があります。

ガスケットには大きく分けて次のタイプに分類されます。

主なガスケットのタイプ

・ ソフトガスケット
・ セミメタルガスケット
・ メタルガスケット

プラント建設プロジェクトでは、設計の初期段階で配管材料基準を規定しますが、この時、各配管クラス毎にガスケットのタイプも合わせて規定することが一般的です。そのため、配管エンジニア以外のプラントエンジニアも内容を理解しておく必要があります。

次項から各タイプの特徴について解説します。

ソフトガスケット

ソフトガスケットは構成材料に金属を含んでいないため、非金属ガスケットと呼ばれることもあります。

使用条件としては、比較的温和な条件で適用され、さらにジョイントシートガスケット、フッ素樹脂系シートガスケット、膨張黒鉛シートガスケット、フッ素樹脂被覆ガスケットに分類されます。

ソフトガスケットの分類

・ ジョイントシートガスケット
・ フッ素樹脂系シートガスケット
・ 膨張黒鉛シートガスケット

ジョイントシートガスケット

ジョイントシートガスケットはガスケットの中でも最も汎用的に使用されているタイプです。無機/有機繊維、ゴム、充填材などから構成されており、ゴムの弾性によりシール性が付与されています。

従来は石綿ジョイントシートが使用されていましたが、石綿規制により、最近では非石綿ジョイントシートや、フッ素樹脂系・膨張黒鉛シートガスケット(後述)が多く使用されるようになっています。
※非石綿ジョイントシートはノンアスシートガスケットとも呼ばれます。

また、ジョイントシートガスケットは、高温環境、特に高温蒸気環境では繊維やゴムが劣化してしまうため、このような環境には適さないことに注意が必要です。

フッ素樹脂系シートガスケット

 

フッ素樹脂系シートガスケットは、フッ素樹脂(PTFE)を使用しており、ゴムなどの他の樹脂に比べて、耐薬品性、耐熱性を有しているため、腐食性流体や汚染を嫌うプロセスラインに広く使用されています。

ただし、PTFEは変形しやすく、特に高温下で変形しやすくなる特性を有するため、ガスケットとしての耐熱性はそれほど高くないことに注意が必要です。使用温度域は100-200℃程度(300℃程度までの耐熱性を有するものもあり)です。

膨張黒鉛シートガスケット

膨張黒鉛シートガスケットは、膨張黒鉛(黒鉛粉末を薬品で処理、加熱して体積を膨張させたもの)をシート状に成型したもので構成されるガスケットです。

極低温から400℃程度までの広範囲の温度領域で使用可能で、さらに耐薬品性、耐放射線性にも優れます。

ただし、フランジの締め付けが緩いと透過・漏洩を起こしやく、シート表面が傷つき、はがれやすい性質があるため、フランジへの装着、締め付け時の取り扱いには注意が必要です。

セミメタルガスケット

セミメタルガスケットは非金属材料と金属材料を組み合わせることで、それぞれの材料の特性を補完したもので、ソフトガスケットよりも高温高圧の条件で使用されます。

セミメタルガスケットの分類

・ 渦巻き形ガスケット
・ メタルジャケットガスケット

渦巻き形ガスケット

渦巻き形ガスケットは、V字形状に金属帯(フープ)と軟質密封帯(フィラー)を渦巻き状に巻き付けたガスケットです。

高温高圧用として設計されたガスケットで、シール性や耐熱性に優れていることから、プラントのプロセス配管、機器などで広く使用されています。

渦巻き形ガスケットでは内輪、外輪の要否を指定する必要があります。

内輪はガスケット本体の変形防止が目的で、フィラーの材料や圧力レーティングと配管サイズによっては内輪が必須となりますが、最近ではフィラー材料や圧力レーティング、サイズによらず内輪を要求することが一般的です。外輪は、ガスケット本体の外側への変形防止とガスケット設置の際の中心出しが目的ですが、特別な理由が無い限りは外輪は要求するのが一般的です。

内輪、外輪の要求有無については、ガスケット仕様の表記において、例えば「W/IOR」と記載されたものは「with inner and out outer rings」の略称なので、内輪、外輪の両方を要求していることが分かります。

 

渦巻きガスケットの性能はフィラーのタイプよって大きく変わるため、適用する流体によって適切なフィラーを選定する必要があります。

非石綿フィラー

有機/無機繊維、充填材、ゴムバインダーを混合したもので、最高使用温度は500℃程度です。

膨張黒鉛フィラー

最高使用温度は450℃程度ですが、シール性に優れるというメリットがあるため、プロセス流体用途として最も広く使用されています。

このフィラーにマイカ等の無機フィラーを接着して、膨張黒鉛フィラーの酸化消失を抑えることで、最高使用温度を600℃程度まで高めたものもあります。

フッ素樹脂フィラー

腐食性流体や酸素ガス、極低温流体のラインに使用されることが多いです。

メタルジャケットガスケット

メタルジャケットガスケットは無機繊維板を金属で被覆したガスケットです。

金属面がフランジ面に当たるため、シール性はそれほど高くないですが、加工性に優れ、様々な形状に加工することができるため、静機器(熱交換器など)のフランジに使用されることがあります。

メタルガスケット

メタルガスケットは金属材料のみで構成されたガスケットです。

金属が持つ耐熱性と弾性により、使用条件は他のタイプのガスケットよりも広く、ソフトガスケットやセミメタルガスケットが使用できないような、低温から高温領域、真空から超高圧まで使用可能です。

高圧用の配管クラスで良く使用されるリングジョイントガスケットもメタルガスケットに分類されます。

  • この記事を書いた人

Toshi

プラントエンジニア/ 技術ブログでプラントエンジニアリング業務に役立つ内容を発信中 / 現在160記事、月7万PV達成 / 得意分野はプロセスエンジニアリング / 化学メーカーからエンジニアリング会社に転職 / 旧帝大化学工学専攻卒 / 海外化学プラント設計、試運転経験有。 保有資格:危険物取扱者(甲種),高圧ガス製造保安責任者(甲種化学),エネルギー管理士(熱)

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