今回の記事ではプラントで使用されるサイトグラスの種類と特徴について解説します。
サイトグラスは「検流器」とも呼ばれ、配管中の流体の流動状態を人間の目で見て確認するための機器で、様々な箇所で使用されています。
サイトグラスの使用目的
・ 流体の流動状態を目で見ることで流量変化、機器の動作を確認
・ 配管内の空気の吸込み有無を確認
・ 流体の色を確認して流体(潤滑油、冷却水など)の汚れの度合いを確認
サイトグラスは人間が目視しやすいように、のぞき窓が大きく、多少汚れがついても流体の汚れ、色が判別できるようなものが望ましいです。ただし、耐圧部にガラスを使用しており、割れによる漏洩事故、災害のリスクがあることは認識しておく必要があります。
さらに、ガラス自体の耐熱性が高くないため使用可能温度は200℃程度であること、アルカリ性の流体でガラスが腐食してしまうのことにも留意が必要です。
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サイトグラスの種類
サイトグラスは以下のような種類があります。
サイトグラスの種類
・ 透視式(空洞式)サイトグラス
・ フラッパー式サイトグラス
・ ボール式サイトグラス
・ ランタン式サイトグラス
・ 羽根車式サイトグラス
次項から各タイプの特徴について解説します。
透視式(空洞式)サイトグラス
最も一般的なタイプで、サイトグラスと言えばこのタイプのことを指します。
内部に流れを確認する物体がないため、気泡や渦の有無を見て流れを確認します。
配管の向きによらず設置可能で、広い温度、圧力条件に対応できるというメリットがありますが、無色の流体では流れの確認が分かりづらいことや、ガラスが汚れてしまうと確認しづらくなるデメリットがあります。
また、小流量用途(油の滴下確認など)で内部にノズルが組み込まれたノズル式タイプもあります。ガラス面に流体が直接接触しないため、汚れがつきにくいメリットがあります。ただし、水平配管や満水状態になるラインには使用不可というデメリットがあります。
フラッパー式サイトグラス
内部に平板を組み込み、その開度により流れを確認するタイプです。
フラッパーが存在することで、ガラスが多少汚れていても流れの確認が可能で、無色の流体に対しても流れの確認がしやすいです。
また、ガラスの目盛りとフラッパーの開度から、流量自体もある程度の精度で判別可能です。
ボール式サイトグラス
ボールを内蔵し、その動きの変化で流れを確認するタイプです。
ガラス面にボールが接触するため、ガラスに汚れが付きづらく、ボールの動きで流動状態が分かりやすいメリットがあります。しかし、ボールの材質により、設置可能な流体、温度、圧力条件に制限があるというデメリットがあります。
ランタン式サイトグラス
円筒ガラスを設置することで、どの角度からでも流動状態の目視が可能で、液だまりも少ない構造です。そのため、粉体のラインに適しているタイプです。
ただし、ガラスが配管の一部となってしまうため、温度、圧力条件は狭く、割れのリスクが大きいことに注意が必要です。
羽根車式サイトグラス
羽根車を内蔵し、その動きで流動状態を監視するタイプです。
小流量での使用に適していますが、大流量では回転が速くなりすぎて目視できなくなるため、大流量ラインには向いていません。また、羽根車の軸受けの消耗も早いことにも留意しておく必要があります。
サイトグラスのオプション
上記のタイプ選定に加え、流体や使用条件で様々なオプションをつけることも可能です。一例を紹介します。
ライニング
鉄系材料が使用できない流体にはテフロンライニングがなされます。(PTFEなど)
サイトグラスを設置することの多い海水ラインについては、ゴムライニングやナイロンコーティングが実施されることもあります。
ガラス保護シート
ガラスを腐食する蒸気(清缶剤由来)やアルカリ流体のラインにサイトグラスを設置する場合は保護シートを取り付けます。
例えば、蒸気に対してはマイカシート、アルカリ流体についてはテフロンシートが適用されます。