今回の記事ではプラントで使用されるストレーナーの種類と特徴について解説します。
ストレーナー(Strainer)はプロセス流体中の異物(固形物)を除去し、ポンプ、コンプレッサー、タービンなどの機器類や一部の計器(オーバル型、タービン型など異物の混入が許されない計器)、一部のバルブ類、スチームトラップを保護することです。
主なストレーナー
① コニカルストレーナー
② Y型ストレーナー
③ T型ストレーナー
④ バケット型ストレーナー
⑤ 自動ストレーナー
プロセス流体中に異物が混入することによるトラブルはプラント運転で最も良く起こるトラブルの一つです。そのため、それを防止するためのストレーナーの選定は適切に行われなければなりません。
そこで今回の記事ではこれらの種類のストレーナーの特徴、圧力損失の考え方について解説します。
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コニカルストレーナー
出典:Indiamart
円錐形や円錐台形のストレーナーをコニカルストレーナーと呼びます。一般には、コンプレッサーの吸い込み側のテンポラリーストレーナーとして用いられる ことが多いです。
補足:テンポラリーストレーナーとは試運転時など、一時的に設置するストレーナーです。試運転時は建設時の洗浄しきれなかった異物が残っている可能性が高いので、試運転時のみストレーナーを設置することがあります。
設置方向はコーンの向きを流れ方向に向ける場合とその逆に設置する場合とで両方あります。
コーンの向きを流れ方向に向けた場合(下図の左側)は、異物がコーンの頂点に集まるので異物の除去が容易であることです。しかし、集まった異物によりストレーナーに大きな負担がかかり、ストレーナーが裂けてしまうことがあります。特に大きな異物がある場合は要注意です。
一方、逆向き(下図の右側)に設置した場合は、異物はストレーナーの側面に集まることで、配管の圧力損失が小さくなるため、開放、メンテナンスの頻度を減らせることが可能です。また、大きな異物が混入してもストレーナーが破損しにくいというメリットもあります。しかし、異物が配管内壁部に滞留し続けることにより、腐食を発生させることもあるので要注意です。
Y型ストレーナー
上図のようにY 字型となるように配管に設置するストレーナーをY型ストレーナーと呼びます。
配管からストレーナー本体を取り外さず にエレメント(スクリーン、パンチングプレート)を取り外す事ができる構造となっています。
口径が大きくなると、フランジを取り外すことが難しくなるため、一般的には小、中口径(特に2-3 inch以下)に適しています。しかし、フランジを外すだけで内部のエレメントを交換できることは大きなメリットであることから、幅広く使用されているストレーナーです。
価格は他のタイプよりも安いため、小口径に対してはこのタイプのストレーナーが選定されることが多いです。
T型ストレーナー
出典:KQ
T字型で配管継ぎ手のティーを使用したストレー ナをT型ストレーナーと呼びます。T型ストレーナーも配管からストレーナ本体を取り外さずにエレメント(スクリーン、パンチングプレート)を取り外す事が出来る構造となっています。
なお、T型ストレーナーと配管との接続は原則として付き合わせ溶接とすることが多いです。
Y型ストレーナー同様、エレメントの取りつけ、取り外しも容易であるため幅広く使用されますが、中~大口(は4-6Inch以上)で使用されることが多いです。
価格はY型ストレーナーよりも若干高いですが、メンテナンス性を優先する場合はこちらのタイプのストレーナーが選定されます。
バケット型ストレーナー
形状はT型ストレーナーと似ていますが、大流量、大口径の配管に対してはバケット側ストレーナーが適用されます。
エレメントを上方向に取り出さなければならないので、作業性は Y型やT型と比べると良くないですが、大口径の配管に適用可能というメリットがあるため、大口径配管、特に8インチ以上ではこのタイプが選定されることが多いです。
また、圧力損失も他のタイプと比較して小さいため、系内の圧力損失を抑えたい場合はこのタイプが選定されることもあります。
自動ストレーナー
出典:AQUADEVICE
固定エレメント内側に目詰まりした異物を、外部からハンドルや電動により、クレーパーで掻取りし、スラッジポットに蓄積させてドレンより外部に排出させる方式を自動ストレーナーと呼びます。
基本的構造は従来のY タイプ、T タイプおよびバケットタイプと同じで、従来のものよりメンテナンスの回数を減らす事ができるという大きなメリットがあります。
ただし、価格が非常に高いため、詰まり頻度が高いが、できるだけメンテナンス頻度を下げたい系に限定されて使用されることが多いです。
ストレーナーの圧力損失
ストレーナーにおける圧力損失は、ほとんどの場合は全体の圧力損失に対し、無視できるほど小さいため、考慮しなくても問題にはなりませんが、プラント全体の圧力バランス、特にポンプやコンプレッサー廻りの圧力バランスを検討する際に気をつけておくべきことを記載します。
・ 一般的にストレーナーのメッシュ数増やしても圧損は増加しない。逆にメッシュ数を下げても必ずしもストレーナー圧損が減少するとは限らない。
・ ポンプ吸込配管に設置する場合、流速が1.0m/sec位までであればストレーナー圧損は無視できるほど小さい。そのため、メッシュ数をかえてもエレメント面積をふやしても圧損はほとんど減少しない。
・ ストレーナーでの圧損が非常に厳しい場合は、型式の変更や配管径の変更が有効となる。
・ プラント設計初期段階で全体のプロセスフローを検討する際は、ΔP=0.03㎏/cm2程度で考えておくと、後から設計変更するリスクが抑えられる。
まとめ
今回の記事ではプラントで使用されるストレーナーの種類と特徴について解説しました。
ストレーナー(Strainer)はプロセス流体中の異物(固形物)を除去し、ポンプ、コンプレッサー、タービンなどの機器類や一部の計器(オーバル型、タービン型など異物の混入が許されない計器)、一部のバルブ類、スチームトラップを保護することです。
主なストレーナー
① コニカルストレーナー
② Y型ストレーナー
③ T型ストレーナー
④ バケット型ストレーナー
⑤ 自動ストレーナー
プロセス流体中に異物が混入することによるトラブルはプラント運転で最も良く起こるトラブルの一つです。そのため、それを防止するためのストレーナーの選定は適切に行われなければなりません。
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