今回の記事ではプラントで使用される流量計(レベル計)の種類と特徴について解説します。
液面計はその名の通り、タンクやドラムにて貯蔵している液体の液面(レベル)を測定するための計器ですが、液体の性状、目的により様々な種類があり、それぞれの目的に応じ適切なタイプの液面計が選定されます。
逆に適切に選定されないと液面がうまく測定できないため、タンク内の液体の貯蔵量がわからなくなったり、液体を送り出すためのポンプのNPSHを満足しなくなりキャビテーションを起こし、破損させる、、、といったトラブル・事故の原因となります。そのため、液面計の選定は重要です。
液面計の種類
・ 圧力式
・ ディスプレーサ式 (Displacement type)
・ フロート式 (Float type)
・ 静電容量式 (Capacitance type)
・ 超音波式 (Ultra sonic type)
・ 電波式 (Microwave radar type)
・ 放射線式 (Radiation type)
・ 重量式 (Weight type)
・ レーザー式 (Laser type)
次項から、それぞれのタイプの特徴について解説します。液面計の選定の際の参考にして下さい。
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圧力式
圧力式液面計の測定対象は主に液体で、液体とエレメントが接触する接触タイプの液面計です。
測定原理としては、液面レベルと密度によって生じる圧力変化を検出することで、液面を求めます。
よく使用される圧力式の液面計としては差圧式(Differential pressure type)と気泡式(パージ式/Purge type)があります。
差圧式(Differential pressure type)
出典:VEGA
$$ΔP=P_1-P_2=ρH$$
ΔP:差圧
P1:高圧側圧力
P2:低圧側圧力
ρ:液密度
H:液面(高圧側ノズル~液面の距離)
液体の比重が一定であれば、高圧側(P1)と低圧側(P2)の圧力差が液面の高さに比例することから、この圧力差(差圧)を測定して液レベルを求めます。
タンクが大気開放系であれば、圧力の測定は高圧側のみとなります。
主な特徴は以下の通りです。
差圧式の特徴
・測定原理が明確
・液面計では最も実績があり、安心感がある
・液体の物性変化(特に密度)に弱い
気泡式(パージ式/Purge type
出典:Inst Tools
測定原理は差圧式と同じです。タンクの液中に挿入した気泡管の先端から一定量の気体を放出し、この時に気泡管にかかっている背圧を測定します。この背圧は液体の液レベルに比例するすので、この時の背圧を測定することで、液位を求めます。
気体は計装空気や窒素が用いられることが多いです。
上記のような測定原理のため、減圧弁(レギュレーター)、流量計、圧力計のセットで構成されます。
主な特徴は以下の通りです。
気泡式の特徴
・測定原理が明確
・液中に挿入されるのは気泡管のみであるため、腐食性液体、スラリー、高粘度流体に適用可能
・液体の物性変化(特に密度)に弱い
・気体(計装空気、窒素)の供給が無いと測定できない。
ディスプレーサ式(Displacement type)
ディスプレーサ式液面計の測定対象は主に液体で、液体とエレメントが接触する接触タイプの液面計です。
液中に浸したディスプレーサに働く浮力が液面の変動によって変動することを利用したものです。この浮力は液レベルに比例するので、浮力を測定することで、液レベルを求めます。
後述するフロート式とは異なり、ディスプレーサ自体は動くことはありません。
主な特徴は以下の通りです。
ディスプレーサ式の特徴
・原理が簡単
・高い信頼性
・二液相の界面の測定でも仕様可能
・高粘度液体や液密度が小さい液体には不向き
フロート式(Float type)
出典:Inst Tools
フロート式液面計の測定対象は主に液体で、液体とエレメントが接触する接触タイプの液面計です。
ワイヤーやテープなどで吊り下げたフロートを液面に浮かべ、液レベルの変動によるフロートの位置変化をワイヤーやテープをプーリーに巻き取る構造になっています。巻き取ったプーリーの長さは液レベルの変動を表すため、これを測定することで、液レベルを求めます。
ディスプレーサ式との違いはフロート自体が液レベルの変動に応じて動くことです。
また、大型の大気圧タンクにおける液レベル測定で良く用いられます。
主な特徴は以下の通りです。
フロート式の特徴
・原理が簡単
・可動部があるため、故障しやすい
・高いメンテナンス頻度を要する
静電容量式(Capacitance type)
静電容量式液面計の測定対象は液体・粉体で、液体・粉体とエレメントが接触する接触タイプの液面計です。
タンクと電気的に絶縁された電極(Electrode)をタンク内に挿入し、タンク内液体の液レベル変化によって生ずる電極-タンク壁間の静電容量の変化を検出します。静電容量は液レベルに比例するので、静電容量を測定することで液レベルを求めます。
主な特徴は以下の通りです。
静電容量式の特徴
・高温、高圧の過酷な環境下で使用可能
・高粘度液体に適する
・粉体のレベルの測定も可能
・液体の誘電率が変動する場合は使用不可
・誘電率が低い粉体には不適
超音波式(Ultra Sonic type)
出典:Industrial Technical Services
超音波式液面計の測定対象は液体・粉体で、液体・粉体とエレメントが接触しない非接触タイプの液面計です。
振動子から発射された超音波が測定面で反射し、戻ってくるまでの時間を測定します。この時間は液面・粉体レベルに反比例するので、時間を測定することにより液レベル、粉体レベルを求めます。
主な特徴は以下の通りです。
超音波式の特徴
・粉体のレベル測定に使用可能
・非接触で測定可能
・真空では測定不可
・高温、高圧な環境には不向き
・ベーパーが発生する系、粉塵が発生する系では測定不可
電波式(Microwave radar type)
出典:Inst Tools
電波式液面計の測定対象は液体・粉体で、液体・粉体とエレメントが接触しない非接触タイプの液面計です。レーダー式(Rader type )とも呼ばれます。
マイクロ波を液面、粉体面に発射し、往復までの時間を測定します。この時間は液面、粉体面に反比例するので、これを測定することで液レベル、粉体レベルを求めます。
ただし、マイクロ波は分散し易い性質があるため、非接触タイプ(上図左側)は損失が多くなり、精度が悪くなります。これに対し、ガイドウェブタイプ(Guide Wave Rader/上図右側)は、検出端が流体に接触してしまうものの、損失を小さくすることで、精度が良くなります。
主な特徴は以下の通りです。
電波式の特徴
・粉体のレベル測定に使用可能
・温度、圧力変動に強く、測定対象の密度変動に強い
・非接触タイプは腐食性流体に適用可能
・ベーパーが発生する系、粉塵が発生する系では測定不可
放射線式(Radiation type)
出典:Inst Tools
放射線式液面計の測定対象は液体・粉体で、液体・粉体とエレメントが接触しない非接触タイプの液面計です。
線源(Source)から放出されるγ線が物質を透過する時に吸収されることを利用したものです。γ線は透過力か強いため、タンク外に置かれた放射線源からタンクを透過してくる線量を測定することで、液レベル・粉体レベルを求めます。
他のタイプの液面計と違って、プラントで使用されることは少ないです。
主な特徴は以下の通りです。
放射線式の特徴
・他のタイプでは使用できない過酷な環境の液レベル、粉体レベルを測定可能
・完全な非接触なので、メンテナンスがほぼ不要
・測定精度が悪い
・法的に放射線使用の届出、許可が必要
(届出、許可が不要なものもある)
重量式 (Weight type)
出典:HBM
重量式液面計の測定対象は液体・粉体で、液体・粉体とエレメントが接触しない非接触タイプの液面計です。
タンクごと重量を測定し、その重量変化により液レベル、粉体レベルを求めます。液面計というよりは秤のイメージです。
重量を測る際はロードセルと呼ばれる荷重変換機を用います(上図の右側支柱)。ロードセルは力に比例して変形する起歪体とその変形量であるひずみを測定するゲージからできています。
主な特徴は以下の通りです。
重量式の特徴
・高精度である。
・設置費用が高い
レーザー式(Laser type)
出典:AZO
レーザー式液面計の測定対象は液体・粉体で、液体・粉体とエレメントが接触しない非接触タイプの液面計です。
発光素子から射出したレーザーから反射したレーザーを受光素子で検出し、このレーザー光と射出時のレーザー光の位相差を検出することで、反射して戻ってくるまでの時間を測定します。これにより液レベル、粉体レベルを求めます。
比較的最近になって開発された液面計です。
主な特徴は以下の通りです。
レーザー式の特徴
・狭い場所に設置可能
(上図右側ののように撹拌機とタンクとの間の狭いスペースで測定可能)
・斜めでも測定可能なので、安息角の大きい粉体レベルの測定が可能
・実績が少ない
・ベーパーが発生する系、粉塵が発生する系では測定不可
まとめ
今回の記事ではプラントで使用される液面計(レベル計)の種類と特徴について解説しました。
液面計はその名の通り、タンクやドラムにて貯蔵している液体の液面(レベル)を測定するための計器ですが、液体の性状、目的により様々な種類があり、それぞれの目的に応じ適切なタイプの液面計が選定されます。
逆に適切に選定されないと液面がうまく測定できないため、タンク内の液体の貯蔵量がわからなくなったり、液体を送り出すためのポンプのNPSHを満足しなくなりキャビテーションを起こし、破損させる、、、といったトラブル・事故の原因となります。そのため、液面計の選定は重要です。
この記事が役に立てば幸いです。ではまた他の記事でお会いしましょう。